電気自動車(EV)にかかる税金は?税制優遇制度や課税額を解説

電気自動車(EV)にかかる税金は?税制優遇制度や課税額を解説

電気自動車(EV)は税制優遇があると言われていますが、ガソリン車といくらくらい違いがあるのでしょうか?この記事では、自動車に関する税金の種類や仕組みと電気自動車(EV)の税制優遇について解説し、ガソリン車と電気自動車(EV)を実際に購入した場合の税額の違いも紹介しています。電気自動車(EV)の購入を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

電気自動車(EV)にかかる主な税金は3つある

電気自動車(EV)に関連する主な税金は、購入時に納める「環境性能割」と、年に1度納める「自動車税」、新車登録時・車検時に納める「自動車重量税」の3つがあります。このうち環境性能割は車の環境性能に応じて税率が優遇される仕組みですが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などは非課税です。普通自動車・軽自動車いずれも電気自動車(EV)であれば環境性能割は課税されません。

自動車税と自動車重量税は電気自動車でも課税されますが、ガソリン車にはない税制優遇があります。まずは両者の税制の仕組みについて見ていきましょう。

自動車税は排気量が少ないほど安くなる

自動車税とは、原則4月1日時点で車を保有している人に対して課される地方税のことで、毎年5月に納税をします。納税額は自動車の排気量や用途(自家用・営業用など)によって異なり、排気量が少ない車ほど自動車税は安くなります。

■自動車税額

排気量 2019年10月1日より前に登録 2019年10月1日以降に新車登録
自家用乗用軽自動車 660cc以下 1万800円 1万800円
自家用乗用車 1,000cc以下 2万9,500円 2万5,000円
1,000cc超〜1,500cc以下 3万4,500円 3万500円
1,500cc超〜2,000cc以下 3万9,500円 3万6,000円
2,000cc超〜2,500cc以下 4万5,000円 4万3,500円
2,500cc超〜3,000cc以下 5万1,000円 5万円
3,000cc超〜3,500cc以下 5万8,000円 5万7,000円
3,500cc超〜4,000cc以下 6万6,500円 6万5,500円
4,000cc超〜4,500cc以下 7万6,500円 7万5,500円
4,500cc超〜6,000cc以下 8万8,000円 8万7,000円
6,000cc超 11万1,000円 11万円

自動車重量税は経過年数に応じて税額が変わる

自動車重量税とは、新規登録(軽自動車の場合は新規検査時)や車検の際に納める税金です。車検の有効期間分をまとめて支払うことで納税が完了します。自動車重量税は購入時からの経過年齢に応じて税額が変わる仕組みです。

■自動車重量税(自家用自動車の場合)

自家用自動車
軽自動車を除く 軽自動車
新規登録〜12年目 年4,100円/0.5トン 3,300円/0.5トン
13〜17年目 年5,700円/0.5トン 4,100円/0.5トン
18年目以降 年6,300円/0.5トン 4,400円/0.5トン

電気自動車(EV)保有期間中の税制優遇「グリーン化特例」と「エコカー減税」

電気自動車(EV)には税制優遇制度があります。これは、2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減、また2050年までにカーボンニュートラル※の実現に向けた地球温暖化対策、公害対策と、産業育成のための国策という複数の側面から設けられた制度です。

このように環境対策につながる製品や行為の税金を優遇することを「税制のグリーン化」と言います。

※温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、実質ゼロにするという考え方

ここから、電気自動車(EV)に関する税制優遇について紹介します。

自動車税・軽自動車税を軽減するグリーン化特例

グリーン化特例とは排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車について、その性能に応じて自動車税・軽自動車税を軽減するとともに、一定年数を経過したものについては重課(税負担を重くする)する制度です。具体的には、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド(PHEV)などに該当した場合、自動車税及び軽自動車税の税率が概ね75%軽減されます。一方、新車登録後13年(ディーゼル車は11年)を経過した場合、排気量に応じた自動車税に対して約15%、軽自動車税は約20%税額が増額されます。本来2021年4月1日〜2023年3月31日までの制度でしたが、3年間延長となり2026年3月31日までに延長されました。

■グリーン化特例の内容

自動車税 軽自動車税
軽減 重課 軽減 重課
対象・要件 電気自動車(EV)
プラグインハイブリッド(PHEV)など
新車新規登録から13年(ディーゼル車は11年)経過した自動車 電気自動車(EV)など 初めて車両番号の指定を受けてから13年を経過した3輪以上の軽自動車
特例措置の内容 概ね75%軽減 概ね15%重課 概ね75%軽減 概ね20%重課

※参考「自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例 等)」

なお、自動車税は車の排気量によって税額が決まります。電気自動車(EV)はガソリンを使用しないため1,000cc以下に該当し、仮に2019年10月1日以降に新車登録した自動車であれば自動車税は2万5,000円になります。さらにグリーン化特例も適用されるため、最終的な自動車税額は概ね4分の1にあたる6,250円です。

自動車重量税を軽減するエコカー減税

エコカー減税は排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車について、その性能に応じて自動車重量税を免税・軽減する制度です。

具体的には、2023年12月31日までに電気自動車(EV)、燃料電池自動車、天然ガス自動車(平成30年排出ガス規制適合)、プラグインハイブリッド車(PHEV)で初回車検を受けた場合、自動車重量税が非課税となります。また要件を満たせば2回目車検の自動車重量税も非課税、つまり、最長5年間非課税が継続することになります。

クリーンディーゼル車、ガソリン車、LPG車の場合は、非課税あるいは税金が軽減され、2024年以降は段階的に一部の税率が引き上げられます。

■適用期間 令和5年5月1日〜令和5年12月31日

対象・要件など 税目 特例措置の内容
・電気自動車(EV)
・燃料電池自動車
・天然ガス自動車
・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)
重量税 新車新規検査 免税
クリーンディーゼル車(ハイブリッド車を含む) 免税
令和12年度燃費基準
60% 75% 90% 120%
ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) 重量税 新車新規検査 25%軽減 50%軽減 免税 免税

■適用期間 令和6年1月1日〜令和7年4月30日

対象・要件など 税目 特例措置の内容
・電気自動車(EV)
・燃料電池自動車
・天然ガス自動車
・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)
重量税 新車新規検査 免税
令和12年度燃費基準
70% 80% 90% 120%
クリーンディーゼル車(ハイブリッド車を含む) 重量税 新車新規検査 25%軽減 50%軽減 免税 免税
ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む)

■適用期間 令和7年5月1日〜令和8年4月30日

対象・要件など 税目 特例措置の内容
・電気自動車(EV)
・燃料電池自動車
・天然ガス自動車
・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)
重量税 新車新規検査 免税
令和12年度燃費基準
75% 80% 90% 達成 125%
クリーンディーゼル車(ハイブリッド車を含む) 重量税 新車新規検査 軽減なし 25%軽減 50%軽減 免税 免税
ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む)

※参考「自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例 等)」

電気自動車(EV)を購入後にかかる税額のシミュレーション

2024年に本体価格408万円、車両重量約1,500kgの電気自動車(EV)と、この車がガソリン車だった場合の5年分の税額を比較してみると、電気自動車(EV)は合計3万1,250円、ガソリン車は30万6,500円となります。

■電気自動車(EV)とガソリン車の税額比較

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
電気自動車(EV) 環境性能割 0円 0円 0円 0円 0円
自動車税(グリーン化特例適用) 6,250円
自動車重量税(エコカー減税適用) 0円
電気自動車(EV)税額合計 6,250円 6,250円 6,250円 6,250円 6,250円
ガソリン車 環境性能割 約12万円 0円 0円 0円 0円
自動車税(グリーン化特例なし) 少なくとも2万5,000円
自動車重量税(エコカー減税なし) 3万6,900円 0円 0円 2万4,600円 0円
ガソリン車税額合計 約18万1,900円 2万5,000円 2万5,000円 4万9,600円 2万5,000円

さらに電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHEV)といった環境負荷の低い自動車を購入する際に、補助金が受けられるCEVという制度もあります。補助金の上限は令和5年4月以降の登録の場合、電気自動車(EV)が68万円、プラグインハイブリッド(PHEV)が44万円、燃料電池車は204万円です。ただし常時募集しているとは限らない他、3〜4年の保有義務がある点には注意が必要です。

電気自動車(EV)はトータルコストで検討しましょう

電気自動車(EV)は環境性能割、グリーン化特例、エコカー減税などの税制優遇が用意されています。また電気自動車(EV)は、燃費や、任意で加入する自動車保険料でも安くなる可能性があるなど、保有期間中の維持費も抑えられる可能性があります。そのため電気自動車(EV)購入するときは取得価格だけでなく、保有期間中のコストを含めたトータルコストで検討するとよいでしょう。

※2024年4月時点の情報です。