自動車税の還付金とは?
必要な手続きやもらえる条件を解説

自動車税の還付金とは?必要な手続きやもらえる条件を解説

車の所有者には、自動車税種別割・軽自動車税種別割※(自動車税・軽自動車税)が課税されます。しかし条件が合えば、自動車税は還付金として戻ってくることがあります。そもそも自動車税とは何か、自動車税が還付されるケースや手続方法などについて解説します。

※ 2019年10月1日以降、「自動車税」は「自動車税種別割」へ、「軽自動車税」は「軽自動車税種別割」へ名称変更されました。本記事では通称の「自動車税」「軽自動車税」を使用しています。

自動車税の還付を受けられるのはいつ?

自動車税の還付を受けられるのは、車を廃車にしたときです。自動車税は1年分を納税するため、廃車の時期に応じて、納めた税金を還付金として納税者に戻す制度が設けられています。

還付金について見ていく前に、自動車税についてかんたんに触れておきます。

自動車税は、毎年4月1日時点で車検証上に記載されている車の所有者が納める税金で、5月31日までに納税するのが基本です。自動車税の詳細は以下の記事をご確認ください。

税額は車の用途(乗用自動車・貨物自動車など)や総排気量によって異なり、加えて自家用か営業用かによっても異なります。

例えば、2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車なら、排気量1リットル超〜1.5リットル以下で30,500円、自家用軽乗用車なら10,800円です。

なお、新車登録から13年が経過したガソリン車などは「重課」といって、自動車税の税額が上がります。

■自動車税の税額(乗用・自家用)

総排気量 新車登録時期別の税額
2019年9月30日以前 2019年10月1日以降
1リットル以下 29,500円 25,000円
1リットル超 1.5リットル以下 34,500円 30,500円
1.5リットル超 2.0リットル以下 39,500円 36,000円
2.0リットル超 2.5リットル以下 45,000円 43,500円
2.5リットル超 3.0リットル以下 51,000円 50,000円
3.0リットル超 3.5リットル以下 58,000円 57,000円
3.5リットル超 4.0リットル以下 66,500円 65,500円
4.0リットル超 4.5リットル以下 76,500円 75,500円
4.5リットル超 6.0リットル以下 88,000円 87,000円
6.0リットル超 111,000円 110,000円

■軽自動車税の税額(乗用・自家用)

最初の新規検査時期別の税額
2015年3月31日まで 2015年4月1日以降
7,200円 10,800円

車の税金には自動車重量税もある

車の所有に関する税金では、自動車重量税もあります。車の新規登録のときや車検(新車は3年、以降は2年毎)のときに、車検の有効期限分をまとめて納める税金です。

税額は車の用途や重さ(重量0.5トン毎)、エコカー減税の有無によって異なります。例えば、車両重量1.2トンのエコカーではない自家用乗用車の場合は、1年分で12,300円です。軽自動車は、用途や重量に関係なく定額で、1年分で3,300円になります。

また、自動車重量税にも重課があります。新車登録から13年と18年を経過すると税額が2段階で上がる仕組みになっています。

自動車重量税の詳細は以下の記事をご確認ください。

自動車税の還付を受けられるケース

では、自動車税の還付が受けられるケースを具体的に見ていきましょう。先述のとおり、還付を受けられるのは車を廃車にしたときです。廃車にするには、抹消登録という手続きが必要になります。

抹消登録とは、車の登録情報を破棄して利用を中止するための手続きです。「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2つがあり、どちらの場合でも自動車税は還付されます。

1 一時抹消登録

一時抹消登録は、単身赴任など、一時的に車に乗らなくなったときに行う手続きです。必要になれば、再登録もできます。登録したままだと、毎年自動車税の納税が必要ですが、一時抹消登録しておけば、その間は納税しなくて済みます。

2 永久抹消登録

永久抹消登録は、何らかの事情で車が使用できなくなったときや、解体する場合に行う手続きです。永久抹消登録の手続きをすると、車の登録情報は完全に抹消され、二度とその車を登録できず、乗ることもできません。

なお、廃車を専門業者に依頼した場合は、抹消登録の日は車を手放した日とは限りません。あくまでも、運輸支局などで抹消登録をした日です。抹消登録の日を把握したい場合は、依頼した業者に確認するようにしましょう。

抹消登録の手続方法は?

抹消登録の手続きは、車が登録されている管轄の運輸支局などに必要書類とナンバープレートを持参して行います。運輸支局の場所は、国土交通省のウェブサイトから検索することも可能です。必要書類などは下表のとおりです。

抹消登録時の必要書類
(業者に依頼する場合)
  • 自動車検査証
  • ナンバープレート(前後2枚必要)
  • 委任状(所有者の実印を押印したものが必要)
  • 印鑑証明書(所有者のもので発行後3ヵ月以内のもの)
  • 解体に係る移動報告番号、解体報告記録など(永久抹消登録の場合)
自分自身で手続きする場合は
以下の書類も必要
  • 抹消登録申請書(所有者本人の実印を押印。委任状は不要)
  • 手数料納付書(自動車検査登録印紙を添付)
  • 自動車税、自動車取得税申告書

なお、車を下取りに出したり売却したりした場合には、自動車税の還付はありません。ただし、売却のタイミングによっては税金の納めすぎになるため、自動車税の負担分を考慮して、下取りや買取りの査定額に還付金相当額が上乗せされることもあるようです。

自動車税が還付されるための条件

自動車税が還付されるためには、いくつかの条件があります。それぞれ見ていきましょう。

車の抹消登録をすること

先述の通り、車を抹消登録(一時抹消登録または永久抹消登録)しないと、自動車税は還付されません。

地方税の未納がないこと

地方税とは、都道府県や市区町村に納める税金です。自動車税をはじめ、住民税や固定資産税などさまざまな種類があります。これらの地方税に未納があると、自動車税の還付金が未納分に充当されて還付されないこともあります。ただし、未納分が還付金で相殺されたうえで余りがあれば、残りの金額分が還付されます。

軽自動車や貨物自動車は還付の対象外

車の中でも、軽自動車は還付の対象外です。還付の対象になるのは、主に人を乗せて移動のために使われる「乗用自動車」のみで、その中でも小型自動車・普通自動車が対象です。荷物を運ぶためのトラックなど、貨物自動車も還付の対象にはなりません。

自動車税の還付金額は?

では、実際に自動車税の還付金はどれくらい受け取れるのでしょうか。抹消登録の時期によって還付される金額は異なりますので、例を挙げながら見ていきましょう。

自動車税の還付金の計算式

自動車税の還付金は、以下のような計算式で算出できます。
納税した1年分の自動車税の税額を12ヵ月で割り、抹消登録の申請をした月の翌月から3月までの月数を掛けて計算します。100円未満の端数は切り捨てです。

<自動車税の還付金の計算式>

自動車税還付金額 =
1年分の自動車税額 ÷ 12ヵ月 × 抹消登録の翌月から3月までの月数
(100円未満切り捨て)

<計算例>

・9月15日に排気量2.0リットルの自動車を抹消登録した場合(1年分の自動車税:36,000円)

18,000円(還付金額) =
36,000円 ÷ 12ヵ月 × 6ヵ月(10月から3月まで)

例えば、上記の計算例のように、9月に排気量2.0リットルの車を抹消登録した場合の自動車税の還付金額は18,000円になります。月割で計算されるため、同じ月内に抹消登録すれば還付金額は変わりません。9月1日でも、9月15日でも還付金額は同じです。

※ 新車登録時期が2019年10月1日以降の自動車の場合

自動車税の還付手続きと還付時期

自動車税の還付手続きは、具体的にどのようにしたらよいのでしょうか。また、還付される時期についても見ていきます。

自動車税の還付手続きの方法は?

自動車税の還付手続きは、基本的には必要ありません。抹消登録の手続きが完了し、自動車税の還付金がある場合は、還付通知書(自治体により名称は異なる)が納税者の住所に送られてきます。

自動車税が還付される時期は?

自動車税が還付されるまでには、自治体によって異なりますが、抹消登録完了後1〜2ヵ月程度かかるようです。

また、還付金の受取方法についても、納税者の銀行口座への振込のほか、送金支払通知書(自治体によって名称は異なる)などの書類と免許証などの本人確認書類を、指定の金融機関に持参して受取る方法などがあります。

還付の時期や還付金の受取方法の詳細については、自治体によって異なりますので、居住地の都道府県のウェブサイトなどでご確認ください。

自動車税の還付の注意点

自動車税の還付については、抹消登録する時期によっては注意点がありますので、おさえておきましょう。

先述のとおり、還付金は1年分の自動車税を月割にし、抹消登録の翌月から3月までの月数をかけて計算します。そのため、3月に手続きしても還付金はありません。抹消登録を3月より前に行えるのであれば、還付金を受取るためには遅くとも2月中に手続きをする必要があります。

また、冒頭で解説したように自動車税は4月1日時点の所有者に課税されることから、4月中に抹消登録をしたとしても、4月下旬頃には納税通知書が届き、いったん1年分の自動車税を納める必要があります。

いったん納税しても、4月に抹消登録が完了していれば、あとから11ヵ月分の税金は戻ってきます。とはいえ、納税のための一時的な出費を避けたいのであれば、可能な限り3月末までに抹消登録の手続きをしましょう。特に軽自動車の場合は、抹消登録が4月1日にかかってしまうと、1年分の税額を納税しなければならないうえに還付金の制度がありませんから、3月末までに抹消登録をしておくのが賢明です。

また、4月1日時点での所有者になることを避けるために、3月中に抹消登録の申請をする人が多いことから窓口が混雑する傾向にあるようです。特に月末は繁忙になりますから、3月末に手続きしても、抹消登録が4月にずれこむ可能性もあります。

以上のことから、廃車予定があるならなるべく3月は避け、2月中に手続きするなど、余裕をもって対応することをおすすめします。

車を廃車にすると自動車税の還付金があるが時期によっては注意点も

抹消登録の申請手続をして車を廃車にすると、手続きが完了した時期に応じて自動車税が還付金として戻ってきます。還付金の額は月割になりますので、納めた税金がすべて戻ってくるわけではありません。また、還付金を受け取るためには、地方税に未納がないなどの条件をクリアしていることも必要です。

抹消登録の手続きは、買取業者などに依頼する人も多いかと思いますが、管轄の運輸支局などに出向いて自分自身で行うことも可能です。自身で手続きする場合は、事前に必要書類の確認を忘れないようにしましょう。
還付金の計算方法は決められているため、3月に手続きした場合、還付金はありません。また、4月に抹消登録するケースでは、いったん1年分の自動車税を納税する必要があり、その後還付金を受取る流れになります。
還付金を受取る条件や手続方法をおさえて、廃車のスケジュールには余裕を持って専門業者に依頼するか自身での手続きを行いましょう。

※2024年4月時点の情報です。