レンタカー利用時に自動車保険は必要?
基本補償とカバーされない費用、注意点をFPが解説

自動車保険の契約書と車の鍵、緑の自動車のイラスト

この記事は、一般的な自動車保険商品について説明しております。ソニー損保の自動車保険の詳細は「自動車保険トップページ」からご確認ください。

この記事で分かること

  • レンタカーの利用料金には対人・対物賠償などの基本補償が含まれている
  • 免責金額やノンオペレーションチャージ(NOC)など基本補償の対象外の費用がある
  • 自動車保険に付帯する他車運転特約がレンタカーにも適用される場合がある
  • 他車運転特約を使うと等級が下がり翌年以降の保険料に影響する可能性がある
  • レンタカー会社の補償プランと自分の保険内容を事前に確認しておくことが大切

レンタカーの料金には基本の自動車保険が含まれていますが、万が一の事故の際、すべての費用が補償されるわけではありません。安心して利用するには、補償内容を事前に把握しておくことが大切です。この記事では、レンタカーの基本補償の内容や自己負担になるケース、ご自身の自動車保険を活用する方法と注意点について解説します。

1.レンタカーには基本的な補償が含まれている

レンタカーの利用料金には、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険などの基本的な補償があらかじめ含まれています。レンタカー事業者は、国土交通省の定めにより自動車保険への加入が義務づけられているため、利用者は特別な手続きをしなくても一定の補償を受けることができます。

国が定める最低限の補償基準は、対人賠償が1人あたり8,000万円以上、対物賠償が1件あたり200万円以上、搭乗者傷害が1人あたり500万円以上です。ただし、多くのレンタカー会社はこの基準を上回る補償内容の保険に加入しており、一般的に対人賠償や対物賠償を無制限に設定しています。

補償の範囲や金額はレンタカー会社や車種、契約内容によって異なるため、レンタカーを借りる際は事前に補償内容を確認しておくと安心です。

参考:関東運輸局「自家用自動車の有償貸渡しの許可基準について

2.レンタカー利用時に含まれる自動車保険の補償内容

レンタカーの利用料金に含まれる自動車保険には、主に以下の4つの補償があります。補償の範囲や金額はレンタカー会社によって異なるため、利用前に確認しておくことが大切です。ここでは、代表的な補償内容を紹介します。

2-1.対人賠償責任保険

対人賠償責任保険は、レンタカーの運転中に発生した事故で他人を死傷させた場合に、治療費や慰謝料、休業損害などの人身損害を補償する保険です。多くのレンタカー会社では、対人賠償の補償額を無制限に設定しています。

2-2.対物賠償責任保険

対物賠償責任保険は、事故によって相手方の車両や建物、ガードレールなどを損壊させた場合に、その修理費用などの物的損害を補償する保険です。対物賠償についても無制限としているのが一般的ですが、5万円程度の免責金額(自己負担額)が設定されている場合があります。

2-3.人身傷害補償(または搭乗者傷害)

人身傷害補償は、レンタカーに乗車中の運転者や同乗者が事故で死傷した場合に、補償を受けられる保険です。実際にかかった治療費や休業損害、慰謝料などの実費(実損額)をもとに、限度額の範囲内で支払われるのが特徴です。

補償限度額は1人あたり3,000万円としているレンタカー会社が多く、一部では5,000万円まで補償されることもあります。

なお、人身傷害補償ではなく搭乗者傷害で対応しているレンタカー会社も存在します。搭乗者傷害保険は、実際の損害額にかかわらず、死亡・後遺障害の等級や入院・通院日数などに応じてあらかじめ定められた金額が支払われる点が、人身傷害補償と異なります。補償の仕組みが異なるため、契約前に確認しておきましょう。

2-4.車両補償

車両補償は、事故によって自分が運転しているレンタカー自体が損壊した場合に、その修理費用を補償する保険です。1事故につき車両の時価額を上限として補償されるのが一般的ですが、対物補償と同様に5万円程度の免責金額(自己負担額)が設定されていることが多い点に注意が必要です。

3.レンタカーの基本補償だけではカバーされない費用

レンタカーの基本補償は対人・対物賠償などの損害賠償を中心とした内容であるため、事故や故障に関連するすべての費用がカバーされるわけではありません。

たとえば、事故や故障によって車両の修理・清掃が必要になった場合、レンタカー会社はその期間中に車両を貸し出すことができなくなります。この営業損失を補うために利用者に請求されるのが「ノンオペレーションチャージ(NOC)」です。

NOCは過失割合に関係なく請求される場合があり、基本料金に含まれる保険では補償されません。一般的に、レンタカーが自走可能な状態で返却された場合は2万円程度、自走できない場合は5万円程度の費用が発生します。

レンタカー会社によっては、1日あたり1,000円〜2,000円程度のオプション料金で事故の際に利用者が負担する免責金額やNOCを免除できる制度を用意しています。利用前にこうした補償オプションの有無を確認しておくとよいでしょう。

4.自動車保険の他車運転特約が適用される場合がある

マイカーの自動車保険に加入している場合、契約に「他車運転特約」が付帯されていれば、レンタカー利用中の事故にも自分の保険を使える場合があります。

他車運転特約とは、他人から一時的に借りた車(レンタカーや代車、友人から借りた車など)を運転中に事故が起きた際、その車を自分の契約車両とみなして、自身の自動車保険から補償を受けられる特約です。一般的に、個人を記名被保険者とする自動車保険には自動的にセットされていることが多い特約です。

ただし、すべての「借りた車」が対象になるわけではありません。「同居の親族(父母・配偶者・子など)が所有する車」や、「マイカーのように常時使用している車」などは補償の対象外となる点に注意が必要です。

他車運転特約で補償される内容は、自分が契約している自動車保険の補償に準じます。対人賠償や対物賠償を無制限で契約していれば、他車運転特約でもその範囲で補償が受けられるため、レンタカーの基本補償で不足する部分をカバーできる場合があります。ただし、適用条件や補償範囲は契約内容によって異なるため、レンタカーを借りる予定がある場合は、事前にご自身で加入している保険会社に確認しておくと安心です。

ソニー損保からの補足説明

他車運転特約は、車を借りたときの事故リスクを自分自身の自動車保険でカバーできる特約です。
他車運転特約とは?補償範囲や補償対象外となるケース等を解説

5.レンタカーで他車運転特約を使うときの注意点

他車運転特約はレンタカー利用時にも活用できる場合がありますが、いくつかの注意点があります。以下のポイントを事前に把握しておきましょう。

5-1.保険を使用すると等級に影響する可能性がある

他車運転特約を利用して保険金が支払われた場合、マイカーで事故を起こした場合と同様に、翌年度の等級が下がります(対人・対物賠償の場合、通常3等級ダウン)。等級が下がるだけでなく、3年間は「事故あり」の低い割引率が適用されるため、トータルの保険料負担は想像以上に重くなる可能性があります。

レンタカーの利用は短時間であるにもかかわらず、万が一事故を起こして保険を使うと、その後長期にわたって保険料が増加する可能性があるため、安易に他車運転特約を利用することは避けたほうがよいでしょう。

まずはレンタカーに付帯する補償の利用を検討し、それでもカバーしきれない部分について、他車運転特約の利用を検討しましょう。

5-2.車両保険の条件によっては補償対象外となることがある

他車運転特約で車両の損害が補償されるためには、ご自身の自動車保険に車両保険が付帯していることが求められる場合があります。車両保険に加入していない場合、レンタカーの修理費用が他車運転特約の対象とならない可能性があります。

また、車両保険の補償タイプによっては、単独事故(自損事故)が補償対象外となっている場合もあるため、契約している車両保険の種類や補償範囲をあらかじめ確認しておくことが大切です。事前に保険証券や約款の内容を把握しておけば、レンタカー利用時の補償の過不足を判断しやすくなるでしょう。

5-3.ノンオペレーションチャージ(NOC)は補償対象外となることが多い

他車運転特約を利用した場合でも、レンタカー会社から請求されるノンオペレーションチャージ(NOC)は自動車保険の補償対象とならないことが一般的です。

他車運転特約で補償されるのは、対人賠償・対物賠償・車両損害など事故に起因する損害が中心であり、基本的に、車両を貸し出せない期間の営業損失にあたるNOCまでは、カバーされません。NOCの負担を避けたい場合は、レンタカー会社が用意しているNOC免除オプションへの加入を検討しましょう。

6.レンタカーを利用する前に知っておきたい!補償についての注意点

レンタカーの補償には、利用前に知っておきたい注意点があります。以下のポイントを確認しておきましょう。

6-1.運転者として登録した人のみが補償の対象となる

レンタカーの補償は、出発時に運転者として申告・登録した人が運転している場合に適用されるのが一般的です。登録されていない人が運転中に事故を起こした場合、レンタカー会社の補償が適用されないことがあり、損害賠償や修理費用を自己負担しなければならない可能性があります。

複数人で交代しながら運転する予定がある場合は、レンタカー会社に事前に運転者全員を登録しておきましょう。

6-2.免責金額(自己負担額)が設定されている場合がある

レンタカーの基本補償には、事故発生時に利用者が一定額を負担する「免責金額(自己負担額)」が設定されている場合があります。一般的に、対物補償と車両補償にそれぞれ5万円程度の免責金額が設定されていることが多く、事故の際にはこの金額を利用者が負担しなければなりません。

レンタカー会社によっては、免責金額を免除するオプション(免責補償制度)や補償プランが用意されています。このオプションは1日あたり1,000円〜2,000円程度の追加料金で加入できることが多いため、万一に備えて検討するのもよいでしょう。

6-3.すべてのトラブルが補償対象となるわけではない

レンタカーの基本補償は事故による損害賠償を中心とした内容であるため、すべてのトラブルに対して補償が受けられるわけではありません。たとえば、以下のような費用は一般的に補償の対象外となることがあります。

  • タイヤのパンクに伴う修理代やタイヤ交換費用
  • ホイールキャップの紛失・損傷に伴う費用

これらの費用を補償対象に含めたい場合は、基本補償に加えてレンタカー会社が用意している上位の補償プラン(オプション)への加入を検討しましょう。プランによっては、タイヤのトラブルやロードサービス費用まで広範囲に補償されるものもあります。

なお、バッテリー上がりやキー閉じこみなどの走行中のトラブルに備え、ロードサービスの有無や対応範囲も合わせて確認しておくとよいでしょう。ちなみに、ご自身の自動車保険に付帯されているロードサービスは、一般的に契約車両(マイカー)を対象としているため、レンタカー利用中のトラブルには対応できないケースがほとんどです。

また、以下のようなケースは、基本的に補償の対象外となります。

  • 警察に事故の届出をしなかった場合(事故証明がない場合)
  • 出発時に登録した運転者以外が運転して起こした事故
  • 無免許運転や酒気帯び運転による事故
  • 借受期間を無断で延滞して使用された場合の事故

6-4.対物賠償などに補償限度額が設定されている場合がある

レンタカーの補償内容は会社やプランによって異なり、対物賠償などに3,000万円までなど、補償限度額が設定されているケースもあります。

レンタカー予約時には、補償の限度額や内容がどのように設定されているかを確認しましょう。補償内容に不足があって不安に感じる場合は、無制限のプランにしたりオプションを追加したりすることで、万一の際の自己負担リスクを最小限に抑えやすくなります。

7.自分の状況に合わせて補償を選ぼう

レンタカー会社の補償プランと自動車保険の他車運転特約は、どちらか一方が必ず優れているというものではありません。補償範囲や自己負担、保険料への影響がそれぞれ異なるため、利用日数や運転者、想定されるリスクを踏まえたうえで選択することが大切です。

レンタカーを借りる予定があるときは、出発前にご自身の保険証券や補償内容を一度確認しておくとよいでしょう。レンタカー会社の補償内容と自分の自動車保険を比較し、必要に応じてオプションの追加や特約の確認を行うことで、より納得感のある判断につながります。