【過失割合】高速道路上での前車の落下物が原因となる事故
2023年5月時点の内容です。
高速道路を走っているとき、高速道路上に物が落ちているのを見かけたことはありませんか?高速道路上の落下物が原因で生じた事故の過失割合について解説します。
【ご注意!】
ここで紹介した過失割合は、あくまでも一般的な基本の割合です。事故や事故当時の状況によって過失割合は異なります。あくまでもご参考とお考えください。
【事例】高速道路上における、前方を走るトラックからの落下物と後続車の接触事故
高速道路の本線車道にて、前方を走っているトラックの荷台から積荷が落ち、後続車が避けきれずにその積荷に接触してしまいました。
なお、ここでの落下物(積荷)については、後続車から見て、比較的近距離になってはじめてその危険性を認識できるものであり、接触によりハンドルやブレーキ操作に影響を与え得るもの(物理的に一定の大きさのあるもの、滑りやすいものなど)とします。
【過失割合】
A(積荷を落下させた前方を走るトラック):B(後続車)=60:40
【解説】
高速道路においては、後続車が高速で走行しながら落下物の危険の程度を即座に判断し、適切な回避措置をとるのは難しいと考えられます。
さらに前方を走るトラックには、一般道路に適用される「積載物の転落や飛散を防ぐため必要な措置を講ずる義務(道路交通法第71条4号)」に加え、高速道路において適用される「積載物の転落や飛散を防ぐため貨物の積載状況を点検する義務(同法第75条の10)」があります。
こうした点をふまえ、積荷を落下させた前方を走るトラックの過失の方が大きくなりますが、後続車にも前方を注視する義務がありますので、その分の過失が発生するという考え方になります。
なお、事故が発生したタイミングが夜間や降雨等で視界が悪い場合や、追越車線上の事故である場合は、落下物の発見や回避が容易ではなくなるため、積荷を落下させた前方を走るトラックの過失が上乗せされる可能性があります。
また、トラック側に積荷の積載方法が著しく不適切であることが確認できた場合は、著しい過失または重過失があると判断され、同様に過失が上乗せされる可能性があります。
反対に、後続車に速度違反や、著しい前方注意義務違反があった場合は、後続車に違反に応じた過失が上乗せされる可能性もあります。
保険金の請求はどうなる?
紹介した事故のケースでは、後続車が積荷と接触したタイミングには前方を走るトラックがはるか前に行ってしまっており、その場での連絡先の確認が難しいことも考えられます。
そのため、落下物と接触してしまった場合は高速道路の管理会社に連絡し、落下物から所有者(=相手方)を確認してもらい、それから相手方との示談交渉など保険金支払いに向けた手続きを進めるという方法が一般的な流れになります。
※まれなケースですが、衝突した落下物の所有者が確認できないという可能性もあります。その場合は、修理費等の損害について、ご自身の自動車保険で補償を受けることができます。
高速道路上で落下物と接触してしまった場合
落下物に接触してしまった場合は、次の方法で通報をしましょう。
非常電話から連絡
高速道路には、非常電話が高速道路本線上(1kmおき)、トンネル内(200mおき)、インターチェンジ、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)、バスストップ、非常停車帯に設置されています。安全を確認のうえ、非常電話から連絡をしましょう。
(受話器を取るだけで道路管制センターにつながります。事故や故障の状況・負傷者の有無などを伝えましょう。)
料金所やSA・PAの係員に伝える
料金所を通過する場合やSA・PAが近い場合は、係員に通報しましょう。
道路緊急ダイヤル(#9910)に電話をする
高速道路を走行中で同乗者の方がいる場合は、同乗者の方から道路緊急ダイヤルに電話をしてもらいましょう。
道路緊急ダイヤル・・・#9910
全国の高速道路・国土交通省が管理する国道はすべて、24時間、通話料無料で利用できます。固定電話、スマートフォンを含む携帯電話、PHSからつながります。
なお、接触はしなかったものの、高速道路上に落下物を発見した場合も、ここで紹介した方法で通報をするようにしましょう。通報を行うと、情報板にて後続車に情報提供が行われます。
積荷を落とさないよう適切に荷物を積むことはドライバーの重要な責任になります。
しかし、これだけのペースで落下物が発生しているのであれば、自分の前方に落下物がいきなり表れるという可能性も否定はできません。
その場合でも適切に回避できるように、高速道路上の電光掲示板に注意を払うことはもちろん、スピードの出し過ぎに気をつけたり、前方に注意を払ったりすることは、日頃から心がけたいですね。
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