環状交差点(ラウンドアバウト)の走り方

2023年5月時点の内容です。

道路交通法の改正により、2014(平成26)年9月1日に「環状交差点における車両等の特例に関する規定の整備」が施行されました。「環状交差点」の概要と通行する際のルールについて紹介します。

環状交差点って何?

環状交差点は「ラウンドアバウト」とも呼ばれ、信号機のない円形交差点の一種です。円形交差点については、欧米諸国の道路を走行したことのある方や映像などでご覧になったことのある方も多いかと思います。一般に、円形状の環道を指示された一方方向にのみ通行するものが円形交差点ですが、環状交差点はさらに安全性やスムーズな交通の流れを実現するために考案されたものです。

国土交通省のまとめた環状交差点の概要は以下の3点になります。

  • 円形の平面交差のうち、環道の交通が優先されるもの
  • 環道の交通が時計回りの一方通行。信号や一時停止の規制を受けない
  • 車は徐行で環道に進入。環道に通行車両がなければ一時停止なしに進入可能

環状交差点は従来の交差点と違って出合い頭の事故が起きにくく、重大事故の発生割合が減少するとされており、また、信号機がないため災害時の停電などの影響を受けにくいという利点もあります。

環状交差点の定義と新たな標識

環状交差点の道路標識

実は日本の道路においても、駅前のロータリーなど小さな規模の円形交差点はこれまでも数多く存在しています。こうした円形交差点はその場所の交通状況に応じて、通行ルールや規制もまちまちです。勘違いしやすいのですが、今回の道路交通法の改正でこれらの交差点がすべて環状交差点となったわけではありません。

今回の道路交通法の改正では、「車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であって、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているものをいう」と環状交差点の定義が明確化されました。これに基づいて2014(平成26)年9月1日に運用が始まり、今後も多くの交差点が指定される予定になっています。そして、環状交差点に指定された交差点には、新たな道路標識が設置されました。円形交差点を通行する際は、しっかりと標識を確認するようにしてください。

環状交差点の通行ルール

それでは、実際に環状交差点を通行する際のルールを確認しておきましょう。

環状交差点内は右回り(時計回り)の一方通行

環状交差点内ではできるだけ左側の側端に沿って徐行しましょう。右へ寄り過ぎると先が見渡せず、中央島に接触してしまう危険性があります。また、通常の交差点同様に、交差点内と交差点の周囲5メートル以内は駐停車禁止になります。なお、自転車も車両ですので、必ず右回りに通行しなければなりません。

環状交差点内を走行する車両が優先

環状交差点では信号がなく一時停止の規制はありませんが、交差点内を走行する車両が優先になります。交差点進入時に前の環状路を横切ろうとしているクルマがある場合は、速度を落とすか一時停止して待ちましょう。また、横断歩道が併設されている環状交差点では、もちろん歩行者が優先になります。

進入時は合図が不要、退出時は左ウインカーを出す

環状交差点の進入では必ず左折になり、ウインカー(方向指示器)による合図は必要ありません。環状交差点内から出る際は、出口直前の出口側側方を通過するときに左のウインカーを点滅させて、交差点を出るまで合図を継続させます。これはどの出口を出る場合でも共通のルールで、「直進(正面方向へ抜ける)だからウインカーは不要」ではないので注意しましょう。また、進入時と同様に、歩行者の横断がないか十分に注意して走行してください。

環状交差点の通行ルール

信号待ちの無駄な時間がなくなり、渋滞やCO2排出量の減少にもつながる環状交差点ですが、設置にはある程度の広いスペースが必要、交通量の多い道には向いていない、などのデメリットもあるため、当面の間はなかなか経験することのないドライバーも多いかと思います。いざというときに焦ってしまわないように、しっかりとルールを覚えておきましょう。