道路標示について〜ゼブラゾーンの意味〜
2023年5月時点の内容です。
近年見かけることの多くなってきた「導流帯(ゼブラゾーン)」についてご紹介します。多くのドライバーがあいまいに理解しているこの道路標示の意味をしっかりと確認しましょう。
このコーナーでは、ドライブやカーライフに関する一般的な情報をご紹介しております。
斜線で囲まれた道路標示はすべて進入禁止?
これから紹介する3つの道路標示は、免許取得の際の学科試験によく出題されるものとして覚えているドライバーが多いと思います。しかし、その印象が強いため、「導流帯(ゼブラゾーン)」もこれらと同じ意味のものと思いこんでしまっているドライバーが多いようです。
まずは、以下の道路標示の名称と意味を思いだしてみましょう。
これは「安全地帯」の指示標示です。路面電車に乗り降りする人や道路を横断する人のために設置された指示標示で、この標示の内側に車両は進入できません。また、安全地帯に歩行者がいる場合、そばを通行する車両は徐行しなければなりません。
これは「立ち入り禁止部分」の規制標示で、この標示の内側部分は車両の進入が禁止されています。車線が入りくんでいて進行すべきルートがわかりにくい道路などで、事故を防止する目的で設置されることの多い道路標示です。
これは「停止禁止部分」です。路面電車の進行の妨げになる場所や、警察署や消防署の前などで見かけることが多い規制標示です。黄色の線で囲まれていませんので進入禁止ではありませんが、信号待ちや渋滞時にこの停止禁止部分の内側で停車しないように注意する必要があります。
「導流帯(ゼブラゾーン)」に入っても違反にはならない
次に、「導流帯」についてです。「導流帯」とは道路に縞(しま)模様で描かれた道路標示または区画線で、「ゼブラゾーン」とも呼ばれます。なお、一般的には「横断歩道」やカーブなどに設置される「減速帯」などもゼブラゾーンと呼ばれますので、以後は「導流帯」と記載します。
導流帯は「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所」に設置されています。基本的には「立ち入り禁止部分」同様、道路の中で走行すると危険な部分、間違えて走ってしまいやすい部分に設けられていますので、自動車教習所では走行しないように指導しているところが多いようです。ですが、道路交通法上では導流帯に進入することは禁止されておらず、導流帯の中を走行したからといって取締まりを受けることはありません。
普段あまり気にかけることもなく走行している場合も多いのですが、実際にはさまざまなポイントに導流帯が設けられています。
車線増加ポイント手前の導流帯
導流帯をもっとも多く見かけることが多いのが「右折レーンの手前」部分です。近年は矢印式信号が増えたことで、右折待ちのクルマが長い列を作ってしまう「右折待ち渋滞」が発生しやすくなっており、それを防止するために右折レーンを長く設置することが多くなっています。ただし、あまり交差点の手前で車線が増えてしまうと、間違えて右折レーンへ進入してしまうドライバーが発生しやすくなります。そういった事態を抑制し、正しくレーンへ誘導する目的で手前に導流帯が設けられることが多いようです。
通常、この導流帯がある部分では導流帯に沿う形で右折レーンへ車線変更をすべきですが、直進・左折側の車線が詰まっている場合などに導流帯を通って右折レーンへ車線変更しても違法行為にはなりません。ただし、「導流帯は進行禁止部分」と思いこんでいるドライバーも多いため、非常に接触事故が発生しやすいポイントです。他車の動きには十分に注意してください。
※ゼブラゾーンでの事故に関する情報は、「同じ方向に進む車両同士の事故(進路変更車とゼブラゾーンを進行した後続直進車の事故)」でもご確認ください。
中央線に沿って導流帯が続く道路
車幅が広めの片側1車線の道路で多く見かけるのがこのパターンです。右折可能な交差点が頻繁にある場合などは、接触事故や渋滞を抑制する目的で常時車道の左側へ誘導されている場合が多いようです。また、横断歩道がある、カーブや坂で見通しが悪いといった道では、スピードの出しすぎや無理な追い抜きを抑止する効果を狙って、こうした導流帯が設置されていることもあります。
車線の合分流ポイントや障害物の前の導流帯
こうした部分にある導流帯は、スムーズな合分流を促す誘導のためや中央分離帯や安全地帯などへの接触を避けるために設置されていますが、違法駐停車車両を抑制する目的で設けられているものもあるようです。
ほかの多くの道路標示と違って、道路交通法上の規制力を持たない導流帯はゼブラゾーンならぬグレーゾーンと言えるかもしれません。しかし、その設置目的は安全運転や事故防止のためのものということには違いはありません。できる限り導流帯の誘導を守って走行するように心がけましょう。
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