車両保険で車の火災は補償される?
対象・対象外のケースをFPが分かりやすく解説

事故で前部が破損し煙を上げる2台の自動車のイラスト

この記事は、一般的な自動車保険商品について説明しております。ソニー損保の自動車保険の詳細は「自動車保険トップページ」からご確認ください。

この記事で分かること

  • 火災は一般型・エコノミー型いずれの車両保険でも原則補償される
  • 放火やもらい火、落雷による火災も車両保険の補償対象に含まれる
  • 地震・噴火・津波が原因の火災や故意の放火は補償対象外となる
  • 車両火災で保険を使うと原則1等級ダウンとなり保険料に影響する
  • 定期点検で配線劣化やオイル漏れを解消し、火災リスクを軽減する

車両火災は、放火や落雷を含め多くの場合に車両保険で補償されますが、原因により対象外となるケースもあります。この記事では、車両保険で補償される火災と補償されない火災の違いや、保険金の請求手順、等級への影響など、万が一の際に役立つ知識を整理して解説します。

1.車が火災に遭ったら車両保険は使えるの?

車両保険は、契約している車が事故で壊れた場合やいたずらされた場合などに修理費等を補償する保険であり、火災もその補償対象に含まれています。

車両保険には補償範囲の広い「一般型」と、範囲が限定された「エコノミー型(※)」がありますが、火災はいずれのタイプでも補償対象となっています。そのため、車両保険の種類にかかわらず、火災による損害には保険金が支払われるのが一般的です。

ただし、すべての火災が無条件に補償されるわけではありません。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災については、車両保険では補償されない点に注意が必要です。また、故意に車を燃やした場合や、契約の免責事項に該当する場合など、補償対象外となるケースもあります。

なお、「火災保険」は住宅や建物を対象とする保険であり、車の火災を補償するものではありません。車の火災に備えるには、あくまで自動車保険の車両保険への加入が必要になります。

保険会社によって、「限定型」など名称が異なります。

2.車両火災とはどのような事故を指す?

車両火災とは、事故や故障、外的要因などによって車両が燃焼し、損害を受ける事故のことを指します。衝突事故とは異なり、必ずしも他の車との接触を伴うわけではなく、車単独で発生するケースも少なくありません。

総務省消防庁の「令和7年版消防白書」によると、令和6年中の車両火災の出火件数は3,546件にのぼります。

出火箇所 出火件数 割合
排気管 636件 全体の17.9%
電気機器 316件 全体の8.9%
交通機関内配線 311件 全体の8.8%

また、車両火災の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • エンジンルームや排気系統の過熱・不具合
  • 電気配線や電装品のショート
  • 駐車中の放火や第三者からのもらい火
  • 落雷など自然災害による出火

このように、車両火災は車の故障や劣化、外部からの要因など、さまざまな原因で発生する可能性があります。衝突事故のように相手方がいる事故に限らず、車単独でも起こりうる点を理解しておきましょう。

参照:総務省消防庁「令和7年版 消防白書 本編(第1章〜6章)

3.車両保険で補償される火災のケース

車両保険では、さまざまな原因の火災によって生じた損害が補償の対象となります。ここでは、代表的なケースを紹介します。

3-1.走行中・駐車中に発生した火災

車両保険が補償するのは、偶然な事故や災害による損害です。経年劣化やメンテナンス不足による故障そのものは補償の対象外ですが、故障がきっかけで火災に発展した場合の損害は補償されます。

たとえば、エンジンルーム内の配線がショートして出火した場合や、排気管周辺の過熱が原因で車両が燃えた場合は、走行中や駐車中を問わず多くの車両保険で補償対象となります。

3-2.放火・もらい火による火災

放火や近くで発生した火災が燃え移った場合(もらい火)も、車両保険の補償対象となるのが一般的です。駐車場に停めていた車が放火の被害に遭った場合や、隣接する建物の火災が車に延焼した場合などが該当します。

放火やもらい火の場合、加害者が特定できないことも多く、損害賠償を請求できないケースも考えられます。そうしたリスクに備えるうえでも、車両保険への加入は有効な手段といえるでしょう。

3-3.落雷など自然災害による火災

落雷が原因で車両が炎上した場合も、車両保険の補償対象に含まれることが一般的です。
ただし同じ自然災害でも、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災は、車両保険の補償対象外です。

4.車両保険でも補償されない可能性があるケース

車両保険に加入していても、すべての火災が補償されるわけではありません。以下のようなケースでは、保険金が支払われない可能性があります。

4-1.契約内容(補償範囲)に含まれていない

車両保険には「一般型」と「エコノミー型」などの種類があり、補償範囲が異なります。火災は一般型・エコノミー型のいずれでも補償対象となるケースがほとんどですが、保険会社や契約プランによっては補償範囲が限定されている場合もあります。

万が一に備えて、火災が補償対象となっているか、ご契約内容を事前に確認しておきましょう。

4-2.保険約款で免責とされている

保険約款には、保険金が支払われない事由(免責事項)が定められており、免責事項に該当する原因による火災の場合、保険金は支払われません。代表的な免責事項としては、前述した地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災による損害が挙げられます。

これらの災害による損害に備えたい場合は、地震・噴火・津波が原因の損害を補償する特約を、別途付帯することを検討するとよいでしょう。保険会社によっては、車が全損となった場合に一時金が支払われる特約を取扱っている場合があります。

4-3.故意または重大な過失がある

故意に車を燃やした場合は、当然ながら補償の対象外です。保険金の不正請求を目的とした放火などは、保険金詐欺として刑事罰の対象にもなりえます。

また、著しい不注意(重大な過失)が原因と判断された場合も、保険金が支払われないことがあるため注意が必要です。

5.車両火災で保険金を請求する流れ

車両火災が発生した場合、保険金を受け取るまでにはいくつかの手順を踏む必要があります。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 消防・警察へ通報する
  2. 保険会社の事故受付窓口へ連絡する
  3. 必要書類を準備・提出する
  4. 損害の確認・査定後、保険金が支払われる

火災の場合は、消防署への通報が不可欠になるなど、通常の事故とは少し勝手が異なります。いざというときにスムーズに動けるように、流れを詳しく確認していきましょう。

5-1.消防・警察へ通報する

火災が発生したら速やかに消防署(119番)に通報し、安全な場所に避難してください。身の安全を確保することが最優先です。火災の状況を警察にも届け出ておくと、後の手続きがスムーズになります。

5-2.保険会社の事故受付窓口へ連絡する

契約している保険会社に連絡し、事故の発生日時や場所、火災の状況などをできるだけ正確に伝えましょう。保険会社から、今後の手続きに必要な書類や対応について案内を受けることになります。

5-3.必要書類を準備・提出する

保険金の請求にあたっては、保険金請求書、修理工場による修理見積書、車両の損害状況が分かる写真などの提出を求められることがあります。なお、保険金請求書は保険会社から送付されるため、自分で用意する必要はありません。

5-4.損害の確認・査定後、保険金が支払われる

保険会社による損害の確認・査定が完了すると、保険金額(契約時に設定した金額)を上限として保険金が支払われます。

全損の場合は車両保険金額の全額が支払われます。修理可能な分損の場合は修理費が保険金として支払われますが、免責金額を設定している場合はその分が差し引かれます。

6.車両火災で保険を使うと等級はどうなるの?

自動車保険のノンフリート等級制度では、保険を使った場合の扱いは「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類に分類されます。

等級は過失の有無ではなく、保険金の支払いがあったかどうかで判定されるため、自分に過失がない火災による車両事故であっても、保険を使えば等級に影響が出るのが一般的です。保険を使うかどうかは、修理費と翌年以降の保険料の上がり幅を比較したうえで判断しましょう。

なお、代理店型の保険会社などで取り扱う長期契約(2年・3年など)の場合、保険期間中は事故の有無にかかわらず等級が変わらず、契約満了時にまとめて等級が反映される仕組みになっています。保険を使っても保険期間中の保険料は変わりませんが、満了時に等級が下がり保険料に影響を及ぼす点には注意が必要です。

6-1.3等級ダウン事故

衝突事故や転覆・墜落が原因で火災が発生した場合は「3等級ダウン事故」となります。翌年の等級が3つ下がり、事故あり係数の適用期間も3年間加算され、保険料への影響はより大きくなるでしょう。

6-2.1等級ダウン事故

たとえば「放火」や「もらい火」など、3等級ダウン事故に該当しない火災により、車両保険のみを使う場合は「1等級ダウン事故」に該当します。

6-3.ノーカウント事故

等級に影響しない「ノーカウント事故」という区分もありますが、これは弁護士費用特約や個人賠償責任特約など、特定の補償・特約のみに該当し保険金が支払われた場合の事故をいいます。火災による車の損害を車両保険を使って修理する場合には、たとえ災害といえる原因であっても、車両保険を使用する以上、このノーカウント事故の扱いは適用されません。

7.車両火災に備えるために知っておきたい注意点

万が一の車両火災に備えるために、契約内容の確認や免責金額の設定、日頃の車のメンテナンスなど、押さえておきたいポイントを紹介します。

7-1.免責金額の設定をしていると一定額は自己負担となる

車両保険を契約する際に免責金額(自己負担額)を設定している場合、保険金が支払われるときでも一定額は自分で負担することになります。損害額から免責金額を差し引いた額が保険金として支払われます。

例)免責金額が10万円の車両保険で、修理費が100万円の場合
・保険金支払い:90万円
・自己負担額:10万円

免責金額を高く設定すれば保険料を抑えられますが、いざ火災が発生したときの自己負担額が大きくなります。家計の状況や車の価値を考慮して、適切な金額を設定しましょう。なお、前述のとおり、全損の場合は車両保険金額の全額が支払われ、免責金額は差し引かれません。

7-2.日頃から車のメンテナンスをおこなう

車両火災は突発的な事故だけでなく、車の劣化や不具合を放置したことが原因で発生するケースもあります。そのため、定期的な点検や整備を受けることで、火災そのものを未然に防ぐ対策も重要です。

具体的には、以下のような不具合に注意し、早めに対処することが火災リスクの低減につながります。

  • 電気配線の劣化やショートの兆候
  • エンジン周りのオイル漏れ
  • バッテリーの異常発熱や膨張
  • リコール対象部品の未対応

こうした不具合は、法定点検や日常の目視確認で早期に発見できる場合があります。車検とは別に12ヵ月点検などの定期点検を受けることで、火災リスクを低く抑えることが期待できます。

8.車両保険と火災の関係を正しく理解しよう

車の火災は、車両保険に加入していれば補償されるケースが多い一方で、契約内容や火災の原因によっては保険金が支払われないこともあります。また、地震・噴火・津波に起因する火災が対象外である点や、故意・重大な過失の場合は補償されない点も注意が必要です。

車両保険を使うと等級に影響し、翌年以降の保険料が上がる可能性がある点も理解しておきましょう。修理費と保険料の上がり幅を比較して、保険を使うかどうかを判断することが大切です。

万が一の車両火災に備えるために、まず自分の保険の契約内容を正しく把握すること、そして日頃から車のメンテナンスと安全運転を心がけましょう。

本記事は2026年4月時点の内容です。