軽自動車税とは?いつ、いくら支払う?
税負担を軽減する方法も解説

赤い乗用車の後ろに保険証券のクリップボード、電卓、ドル袋、硬貨の山を描いた、自動車保険のイメージイラスト

軽自動車は、普通自動車などにくらべて税金の負担が軽く、維持費を抑えられるため購入や買替えを検討する人も多いのではないでしょうか。軽自動車にかかる、税金の種類や税額、納付期限のほか、維持費などについて解説します。

軽自動車にかかる税金はいつ、いくら支払う?

軽自動車にかかる税金には、「軽自動車税(種別割)」「軽自動車税(環境性能割)」「自動車重量税」の3種類があります。はじめに、それぞれの税金の内容や、税額を確認しておきましょう。

*以下、軽自動車税(種別割)は「軽自動車税」と表記します。

軽自動車税(種別割)

軽自動車税は、毎年4月1日時点で車検証に記載された所有者が納める税金です。税金の納付書は居住地の市区町村から5月の初旬に届き、一般的には5月末が納付期限となっています。

軽自動車税の税額は、用途(自家用・営業用)や種類(乗用車・貨物車)によって税額が異なります。自家用乗用の場合は10,800円です(2015年4月1日以降に最初の新規検査を受けた軽自動車の場合)。

また、新規検査から13年を経過した軽自動車(自家用乗用車)の税額は12,900円と、約20%高くなります。なお、電気自動車などの環境性能の高いエコカーについては、経年による重課はありません。

■軽自動車税の税額(自家用乗用)

2015年3月31日までに
最初の新規検査を受けた車両
2015年4月1日以降
最初の新規検査を受けた車両
最初の新規検査
から
13年経過した車両
7,200円 10,800円 12,900円

軽自動車税(環境性能割)

軽自動車税(環境性能割)は、新車・中古車を問わず、軽自動車の購入時や譲り受けたときに一度だけ納付する税金です。かつての「自動車取得税」と入れ替わる形で、2019年10月1日から新たに導入されました。

税額は、車の取得価額に税率をかけて決まります。取得価額の計算方法は新車と中古車で異なり、新車は、「課税標準基準額」と「オプション品価格」の合計額です。中古車は、経過年数により設定された「残価率」と「課税標準基準額」を掛けた金額が取得価額となります。

新車の場合の取得価額の計算方法「取得価額 = 課税標準基準額 × オプション品価格」中古車の場合の取得価額の計算方法「取得価額 = 課税標準基準額 × 残価率」

課税標準基準額とは、正規の新車価格から金額を下げた額です。車種やグレードなどによって決められており、新車価格の約90%の額が目安となっています。また、アルミホイールやカーナビなどのオプション品の価格も、取得価額に含まれます。

このように、課税標準基準額とオプション品の価格を合計した取得価額に税率をかけます。税率は車の燃費基準の達成割合によって異なり、軽自動車の場合は0(非課税)~2%と、燃費のよい車ほど税額が優遇されます。

なお、車の取得価額が50万円以下の場合や、二輪車・原動機付自転車については、軽自動車税(環境性能割)の課税はありません。

■軽自動車税(環境性能割)の税率

自家用乗用 税率
電気自動車 非課税
ガソリン車 2018年排出ガス基準50%低減
または
2005年排出ガス基準75%低減
2030年度
燃費基準
80%達成かつ
2020年度燃費基準達成車
非課税
2030年度
燃費基準
75%達成かつ
2020年度燃費基準達成車
1.0%
2030年度
燃費基準
70%達成かつ
2020年度燃費基準達成車
2.0%
上記に該当のない車両 2.0%

自動車重量税

自動車重量税は、車の用途や重量、新規登録からの経過年数に応じてかかる税金です。軽自動車の税額は、車両の重さに関係なく一律で年間3,300円となっています。

自動車重量税は1年単位でかかる税金ですが、実際に納付するのは新車を購入した新規検査のときと、継続検査のときで、車検の有効期間分をまとめて納付するのが基本です。新車で購入したときは次の車検までの3年分を、継続検査のときには2年分を納付します。

また、新規検査から13年以上経過した車両は税額が上がり、18年以上が経過するとさらに上がります。例えば自家用の場合、13年経過したときの税額は年間4,100円、18年経過で年間4,400円です。営業用の場合は、13年経過で年間2,700円、18年経過で年間2,800円となります。

■自動車重量税(2年分)

  自家用 営業用
新規検査から13年未満 6,600円 5,200円
13〜17年目 8,200円 5,400円
18年目以降 8,800円 5,600円

なお、国土交通省では、次回車検時の自動車重量税の税額を照会できるサービスを用意しています。車台番号と検査予定日があれば確認できるため、車検費用の関係から税額が気になる場合は事前に調べておくとよいでしょう。

次回自動車重量税額照会サービス(国土交通省)
https://www.nextmvtt.mlit.go.jp/nextmvtt-web/

軽自動車税の対象車両

軽自動車と言っても、その種類は二輪車から四輪車までさまざまです。軽自動車税の対象になる車両には下表のような種類があり、それぞれ税額も異なります。

■軽自動車税の対象となる車両一覧

車両種別 用途 税額
四輪の軽自動車 乗用(営業用) 6,900円
乗用(自家用) 10,800円
貨物(業務用) 3,800円
貨物(自家用) 5,000円
原動機付自転車 50cc以下 2,000円
50cc超90cc以下 2,000円
90cc超125cc以下 2,400円
三輪の原動機付自転車 20cc超50cc以下 3,700円
小型特殊自動車 農耕業作業用(トラクターなど) 2,400円
特殊作業用車(フォークリフトなど) 5,900円
二輪の軽自動車 125cc超250cc以下 3,600円
二輪の小型自動車 250cc超 6,000円

軽自動車税と自動車税の違い

軽自動車税は、四輪車の場合、排気量660cc以下の軽自動車を対象とする税金です。税金の納付先は登録の届出をした市区町村になります。税額は先述の通り、自家用乗用の場合で年間10,800円です。

一方で自動車税は、排気量が660ccを超える普通自動車などを対象とする税金です。税金の納付先は都道府県ですが、税額は排気量などによって異なります。例えば、2019年10月1日以降に新車登録された車では、排気量1,000cc超〜1,500cc以下なら30,500円、1,500cc超〜2,000cc以下では36,000円です。

また、税金の納付方法にも違いがあります。自動車税は、新車購入時の場合、購入する月の翌月分から翌年3月(最初に到来する3月)までの分を納付し、その後は車を所有している間は、毎年1年分をまとめて納付します。

一方の軽自動車税は、年度途中での登録は課税されないことになっています。そのため、4月2日以降に登録された場合、その年度(翌年3月まで)については、軽自動車税の納付は必要ありません。

なお、年度の途中で車を抹消登録(廃車)した場合、自動車税については廃車の時期に応じて、過払い分の税金を還付金として納税者に戻す制度があります。

しかし、軽自動車税は年度途中での廃車や譲渡による月割りでの還付はありません。軽自動車税は、課税の基準日が毎年4月1日となっているので、4月2日以降に廃車した場合、その年度分の軽自動車税を納付する必要があることもおぼえておきましょう。

軽自動車税と自動車税では、一般的な小型車と比較した場合でも、税額には3倍程度の開きがあります。毎年納める税金ですから、長期的に考えると納付する額については大きな差が出るといえます。

■自動車税・軽自動車税の税額

  総排気量 新車登録時期別の税額
2019年9月30日以前 2019年10月1日以降
自家用軽乗用車 660cc以下 10,800円 10,800円
自家用乗用車 1,000cc以下 29,500円 25,000円
1,000cc超〜1,500cc以下 34,500円 30,500円
1,500cc超〜2,000cc以下 39,500円 36,000円
2,000cc超〜2,500cc以下 45,000円 43,500円
2,500cc超〜3,000cc以下 51,000円 50,000円
3,000cc超〜3,500cc以下 58,000円 57,000円
3,500cc超〜4,000cc以下 66,500円 65,500円
4,000cc超〜4,500cc以下 76,500円 75,500円
4,500cc超〜6,000cc以下 88,000円 87,000円
6,000cc超 111,000円 110,000円

軽自動車の税金が安くなる減税制度

軽自動車の税金には、要件を満たすと税金が軽減される制度があります。制度の種類と概要を押さえておきましょう。

グリーン化特例

グリーン化特例は、環境に配慮した車を普及させるための税制優遇措置です。排出ガス性能や燃費性能に優れたハイブリッド車や電気自動車などについて、取得した年の翌年度の軽自動車税が軽減されます。

グリーン化特例の対象になるのは、2026年3月31日まで(概ね25%軽減は2025年3月31日まで)に、新車の新規検査を受けた軽自動車です。車両区分や排出ガス性能や燃費性能の達成度により、概ね25%・50%・75%のうちいずれかの軽減が適用されます。

エコカー減税

エコカー減税は、排出ガス性能や燃費性能に優れたハイブリッド車や電気自動車などについて、それらの性能に応じて、自動車重量税を免税・減税する制度です。

エコカー減税の対象になるのは、2026年4月30日までに新車の新規検査を受けた軽自動車で、排出ガス性能や燃費性能の達成度により概ね25%・50%・100%のうちいずれかの軽減が適用されます。

環境性能割

環境性能割は、軽自動車の購入時などに課税される税金です。基本的には、燃費のよい車や排出ガスが少ない車など、環境性能が高い車ほど税額が軽減されます。

税額は、先述したように取得価額に税率をかけて計算します。税率は、軽自動車の排出ガス基準や燃費達成基準などの環境性能に応じて1~2%です。電気自動車や燃費・排出ガスの達成度の高い、より環境負荷の低い車などは非課税になります。

つまり、環境への負荷が小さい燃費のよい車、排出ガスの少ない環境に優しい車の中でも、その達成度が高い車ほど、税率が低くなる制度になっています。

軽自動車税の納付方法

軽自動車税の納税時期については、毎年4月下旬から5月上旬に、車検証に記載された住所宛に市区町村から軽自動車税納税通知書が送付されます。通常は5月31日が納税の期限になります。

納税方法は、指定の金融機関(銀行、郵便局など)やコンビニエンスストアなどで納める方法のほか、自治体によってはパソコンやスマートフォンから、クレジットカード(手数料が必要)、ペイジー、スマートフォン決済アプリによる納税も可能です。

軽自動車税に関する注意点

軽自動車税の納付については、納付期限が過ぎたり、二重納付になってしまったりなどのケースも考えられます。これらの注意点についても押さえておきましょう。

滞納すると延滞金が加算される

軽自動車税は、納付期限が決められています。期限までに納付しなかった場合は、通常の税額に加えて延滞金が加算される可能性があります。延滞金は、納付期限から実際に納付した日までの経過日数によって、税額に一定割合が加算されます。

また、納付せずに滞納していると、次の車検が受けられず、公道を走れなくなります。納付書が届いたら納付期限を確認し、期限までに軽自動車税を納付するようにしましょう。

二重納付にならないよう気を付ける

軽自動車税は、自治体から届く納税通知書に記載された納付方法から選択して納付します。納付方法は先述したとおり、銀行や郵便局、コンビニエンスストアでの現金納付や、クレジットカード・スマートフォンを利用したキャッシュレス決済による納付も可能です。

キャッシュレス決済なら、自宅からでも軽自動車税の納付ができるので便利ですが、すでにキャッシュレス決済で納付したことを忘れてしまい、さらに納付書で現金納付する「二重納付」になる可能性もあります。二重納付したことに気がついた場合、手続きをすることで、他に未納の税金がなければ税金は還付されます。

軽自動車の税負担を軽減する方法

軽自動車は、普通自動車に比べ相対的に税金の負担は少なくなります。税負担が軽減できれば家計にとってはプラスです。軽自動車の税負担を軽減する方法についてご紹介します。

環境に配慮した車を選ぶ

先述したように、軽自動車に関する税金には、グリーン化特例、エコカー減税、環境性能割など、複数の減税制度があります。

これらの減税対象車種を選ぶことで、購入時やその後の維持費の軽減につながります。また、こういった減税対象車種は、一般的に燃費のよい車が多いため、維持費の面ではさらに有利になるでしょう。

新規検査から13年以上経過したら買替えを検討する

新車登録から13年経過すると、軽自動車税の税額が上がります。軽自動車の場合は、13年経過後は12,900円の重課です。また、軽自動車重量税についても13年経過すると、車両重量にかかわらず年間4,100円になり、さらに18年経過した場合には年間4,400円になります。

新車で購入して、長く乗り続けようと考える人は少なくないと思います。とはいえ、少しでも税負担を抑えたい場合は、13年経過前に買替えることも検討するのもありでしょう。なお、ハイブリッドカーや電気自動車などのエコカーについては、税額のアップはありません。

売買・査定時に軽自動車税を考慮する

軽自動車の買替えや売却の時期を一工夫することで、税金の負担を軽減できます。

先述したとおり、軽自動車税は4月1日現在の車検証記載の所有者に課税されます、そのため、4月2日以降に購入すれば、その年度(翌年3月まで)は軽自動車税を納付する必要がありません。4月前後に購入を検討している場合、購入時期を工夫すれば、1年分の軽自動車税を節約することが可能です。

また、売却や廃車にする場合にも、4月1日までに抹消登録や名義変更の手続きを終えれば、翌年度の軽自動車税を納付する必要がなく、税金の節約につながります。

軽自動車は維持費の負担も抑えられる

軽自動車は税金以外にも、自賠責保険や任意保険(自動車保険)の保険料、車検費用などの費用も、一般的に普通車と比べて安く、経済的な負担を抑えることができます。

例えば任意保険で見てみると、軽自動車(乗用)の任意保険の年間保険料は、自家用普通乗用車と比べると約23,000円、自家用小型乗用車と比べると約5,300円安くなっています。

ただし、ここで紹介した保険料はあくまでも平均保険料です。契約者の年齢・車種・補償内容などによって保険料は変わることは念頭に置いておきましょう。

■平均保険料

車種 契約台数 保険料合計 年間保険料
自家用普通乗用車 17,478,306 1,264,229,069千円 72,331円
自家用小型乗用車 14,422,028 790,412,281千円 54,806円
軽自動車(乗用) 18,751,412 928,405,974千円 49,511円

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2023年度」第13表 任意自動車保険 用途・車種別統計表<2022年度>より

*契約台数は新契約の台数、保険料は異動・解約による追加・返戻保険料を加減した金額

*年間保険料:保険料合計÷契約台数(保険料は小数第一位を四捨五入)

万が一に備えて任意保険の加入を検討しよう

軽自動車は、普通車と比べると税金が安く、排出ガス性能や燃費性能などに優れた、環境に配慮した車種なら税金の軽減制度もあります。保険料や車検費用などの維持費も、普通自動車に比べると相対的に安く経済的な負担を軽減することが可能です。

軽自動車は税金や維持費などの有利性に意識が向きがちですが、車を運転する限り、万一の自動車事故のときのため補償も万全にしておきましょう。加入が義務付けられている自賠責保険はもちろんのこと、任意保険にも加入して、自賠責保険では補償されない事故や高額賠償などに備えることが大切です。

任意保険の補償は、対人・対物といった基本補償にプラスして、自身や同乗者のケガ、車の修理費の補償など幅広く用意されています。補償内容と保険料のバランスを考えながら加入すれば、保険料を抑えることもできます。任意保険についても加入は必須と考えておきましょう。

軽自動車税についてよくある質問

Q.軽自動車税の納付書はいつ届きますか?

軽自動車税の納付書は、4月1日時点で車を所有している人(車検証に記載の住所)に、毎年4月下旬から5月上旬頃に届きます。納付期限は、市区町村によって異なりますが、一般的に5月末までとしている市区町村が多いようです。納付を忘れると、延滞税が発生して余分な税金を支払うことになります。納付書が届いたらすぐに開封して納付期限をよく確認し、期限までに確実に納付するようにしましょう。

Q. 軽自動車税の支払方法は?

送付された納税通知書に記載されている方法で納付します。納付方法は、銀行・郵便局、コンビニエンスストアでの現金納付や、クレジットカード・スマートフォンを利用したキャッシュレス決済による納付も可能です。キャッシュレス決済の場合は、自治体によって利用できる決済方法が異なりますので事前に確認してください。最近では、納付書のQRコード(eL-QR)やeL番号を使用し、クレジットカードや電子マネーなどでの納付ができる、「地方税お支払いサイト」が利用できる市区町村もあります。

地方税お支払いサイト

Q. 軽自動車税が12,900円になったのはなぜですか?

税額が12,900円に上がったのは、軽自動車を新車で購入してから13年が経過したからです。通常、軽自動車税の税額は年額10,800円です(2015年4月1日以降に新規登録の場合)。しかし、新規登録から13年を経過した車については「経年重課税」が適用されるため、税額が12,900円になります。なお、新規登録とは、車が最初に検査を受けた日のことを言います。自分の車がいつ最初の検査を受けたのかは、車検証の「初度検査年月」の欄で確認できます。