電気自動車(EV)の維持費の相場は?
ガソリン車との比較も解説

電気自動車(EV)の維持費の相場は?ガソリン車との比較も解説

電気自動車(EV)は税制優遇があるうえ、燃費が良いため維持費がガソリン車ほどかからない傾向があります。この記事では、電気自動車にかかる維持費の相場を、ガソリン車と比較しながら解説します。電気自動車の維持費をさらに抑える方法についても触れていますので、電気自動車(EV)の購入を考えている方や維持費を抑えたい方は是非参考にしてくださいね。

電気自動車(EV)の維持費の内訳と費用相場

電気自動車は購入時にかかる費用以外に、購入した車を維持するための維持費も必要です。主な車の維持費としては、以下のようなものがあります。

電気自動車の主な維持費

  • ・電気代
  • ・自動車重量税
  • ・自動車税
  • ・車検費用
  • ・自動車保険

各維持費について詳しく紹介します。

電気自動車(EV)の電気代はガソリン代の半分以下

電気自動車(EV)はガソリンを使用せず、電気を動力として走行するため電気代がかかります。電気代はバッテリー容量や充電器の出力量などで異なりますが、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会によると、電気代の単価の目安は31円/kWh(税込)。1kWhあたり8km走行する電気自動車(EV)の場合、年間1万km走行すると約3万9,000円かかる計算です。また自宅に充電設備がなく充電スタンドで急速充電をする場合は、さらに急速充電費用や会員費もかかります。

一方、1リットルあたり15km走行できるガソリン車で、仮にガソリン価格が170円/リットル(税込)のときに1万km走行したとすると、ガソリン代は年間約11万円です。

電気自動車(EV)は税金の優遇がある

車を所有すると購入時に「環境性能割」がかかり、「自動車重量税」「自動車税」は毎年かかります。

本体価格約408万円の電気自動車(EV)の税金と、仮に同車に電気自動車(EV)の特典がなかった場合の税金を比較してみましょう。

■EV特典の有無による違い

税金の種類 EV特典なし EV特典あり
購入時にかかる
税金
環境性能割 ・取得価格の0〜3.0%
(0円〜約12万円)
0円
保有にかかる
税金
自動車重量税※1 約3万円 購入後5年間は0円
自動車税※1 2万5,000円 概ね75%の軽減措置
概ね6,250円※2

※1.車の重量1.6t以上2.0t以下/排気量1,000cc以下/自動車重量税は継続検査時の税額として計算

※2.軽減税率の適用期間は2026年3月31日まで(2024年4月現在)

環境性能割の税率は、自家用乗用車であれば取得価格×3.0%で、電気自動車(EV)であれば非課税です。

自動車重量税とは、新車登録時と車検(継続検査)時に納税する税金で、車体重量によって異なります。自動車重量税は電気自動車の場合、2回目の車検以降、課税されるため購入後5年間は非課税です。

ただし2回目以降の車検においても、EV特典なしの場合1.5t超え2.0t以下車の自動車重量税は3万2,800円ですが、EV特典ありの場合は2万円となり1万2,800円ほど安くなります。

自動車税は、原則4月1日時点における自動車保有者に対して課される地方税で、4月から翌3月までの分を5月にまとめて支払います。なお、年の途中で車を購入したときは、月割りで自動車税がかかります。ただし軽自動車の場合、月割がないため購入した年度は課税されません。

自動車税は車の排気量によって変動し、1,000cc以下は2万5,000円です。電気自動車(EV)は排気量がゼロのため1,000cc以下に該当し2万5,000円になりますが、電気自動車(EV)は概ね75%軽減されるため、概ね6,250円となります。

電気自動車(EV)は割引が適用される任意保険がある

自動車保険はすべての自動車に加入が義務付けられている「自賠責保険」と、任意で加入する「任意保険」の2つに分かれます。

自賠責保険は車種や保険期間などで保険料が変わりますが、電気自動車(EV)の優遇はありません。保険料は普通自動車であれば24カ月(2年間)で1万7,650円です。

任意保険は自賠責保険だけは補いきれない、あるいは補えない部分を補償する保険です。
任意保険の保険料は車種や保険期間以外にも、車に乗る人の年齢や補償の及ぶ範囲、保険金額や補償内容(車両保険の有無など)によっても大きく変わります。任意保険には環境性能に応じて保険料が割引されるエコカー割引があり、電気自動車(EV)であればエコカー割引を受けられる場合があります。

一例として、ソニー損保の保険料を見てみましょう。

▼ソニー損保(参考例)

EV特典あり EV特典なし
年間保険料11万7,990円 11万8,990円

【加入条件】

  • ■保険始期日:2023年12月5日
  • ■車種:日産リーフ
  • ■型式:ZE1
  • ■ノンフリート等級:6E
  • ■事故あり係数適用期間:0年
  • ■契約距離区分:11,000km以下
  • ■初年度登録:2023年10月
  • ■使用目的:主に家庭用
  • ■記名被保険者生年月日:平成元年5月1日
  • ■記名被保険者の免許の色:ゴールド
  • ■車を運転される方:記名被保険者と配偶者限定
  • ■年齢:30歳以上補償
  • ■保険証券割引:なし
  • ■対人対物:無制限
  • ■人身傷害(車内のみ)3,000万円
  • ■車両保険:一般型(保険金額410万円)
  • ■免責:5-10万円
  • ■弁護士特約:自動車事故のみ
  • ■個人賠償特約:なし

車検は「車検基本料」「その他費用」で差が出る

車検費用は大きく「法定費用」「車検基本料」「その他費用」に分かれます。

法定費用とは自動車重量税・自賠責保険料・印紙税の3つで、印紙税以外はどこで車検を受けても費用に差がありません。自動車重量税・自賠責保険料については先に述べた通りです。印紙税は指定工場での車検のほうが安くなります。

■継続車検の場合の印紙税(令和5年1月1日時点)

普通自動車
(3ナンバー)
小型自動車
(5・7ナンバー)
軽自動車
指定工場 1,800円(1,600円)
認証工場 2,300円 2,200円(1,600円)

( )はOSS申請(電子申請)の場合の料金

車検基本料は車検を整備工場などに依頼したときにかかる費用です。車検基本料はさらに「24カ月定期点検料」「測定検査料」「車検代行手数料」などに分けられ、店舗ごとに異なります。

また、その他費用は車検を通すために必要な部品交換や修理台にかかる費用です。これらも部品の購入費や修理費用など店舗によって異なります。

車検はディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどで受けられますが、ディーラー車検は購入する商品が純正である一方、点検項目数が多く車検費用が高くなる傾向があります。

カー用品店は自社工場や提携工場で車検を行います。店舗に数多くの部品が並んでいるため、幅広い品ぞろえの中から自身の希望にあった部品が選べます。安い部品を選ぶことで、より部品にかかる費用が抑えられるでしょう。早期に車検を予約すると、さらに割引を受けられることがあります。

ガソリンスタンドで車検を行った場合も、早期の車検予約などでガソリン価格割引などの特典を受けられることがあります。ガソリンスタンドでの車検も、提携している修理工場や提携工場で修理を行いますが、最寄りにこうした工場がないと時間がかかる場合があるため事前に確認しておきましょう。

車検費用のうち「法定費用」は印紙税以外に見直しの余地がありませんが、「車検基本料」「その他費用」はどこで車検を受けるかで大きく異なることがあるため、メリット・デメリットを理解して、自身の希望にあった店舗を選びましょう。

電気自動車とガソリン車の維持費の比較

これまで紹介した各費用をもとに、電気自動車(EV)とガソリン車の維持費を比較してみましょう。

■電気自動車(EV)とガソリン車の比較

電気自動車(EV) ガソリン車
燃費(年間走行距離1万km) 約3万9,000円 約11万円
自動車重量税 購入後5年間0円 約3万円
自動車税 6,250円※1 2万5,000円
自賠責保険 8,825円(2年分 の自賠責保険料を1年分で換算)
自動車保険(任意保険) 年間11万7,990円 年間11万8,990円
合計※2 17万2,065円 28万3,990円

いずれも車の重量は1.6t以上2.0t以下、排気量1,000cc以下、電気自動車(EV)は40kWとした場合

※1.「グリーン化特例」の適用による新車登録年度の翌年度分の金額。以降は2万5,000円。

※2.車検費用のうち車検基本料とその他費用は、店舗ごとに異なるためここには含めていません

電気自動車(EV) にはガソリン車にはない税制優遇があり、燃費が良くなっていることから維持費の負担は軽くなる傾向です。取得価格は電気自動車(EV)のほうが高くなりがちですが、維持費を含めたトータルコストで比べてみると、ガソリン車よりも安く済む場合もあります。

そのため、購入する車が決まったら、実際にどれくらい費用がかかるのか取得価格だけではなく、税金や車検にかかる維持費用も含めた長期的な視点で試算・比較をしてみると良いでしょう。

電気自動車(EV)の維持費を安く抑えるコツ

自動車の維持費はガソリン車よりも電気自動車(EV)のほうが安くなる傾向があることが分かりました。ここでは電気自動車(EV)の維持費を少しでも安く抑えるコツを紹介します。

購入する電気自動車を軽自動車にする

電気自動車(EV)のうち普通自動車の自動車税はグリーン化特例※により概ね6,250円ですが、軽自動車であれば同特例により2,700円に軽減されるうえ、初年度は非課税となります。

※令和8年3月31日までに取得した自動車に限る

電気自動車の維持費を少しでも安くしたいときは、軽自動車を検討してみましょう。

リースやサブスクリプションを活用する

カーリースやサブスクリプションとは車を購入するのではなく、毎月定額でお金を支払って利用するサービスのことです。毎月リース代、あるいはサブスクリプション代金が定額でかかりますが、代金のなかに車を購入するときの頭金や税金・車検代・任意保険料などが含まれている場合があります。車検や自動車税の納税などでまとまったお金が出て行かないため、家計管理が立てやすいというメリットもあります。

こうした定額サービスを利用するときは、毎月定額のなかにどのような費用が含まれているのか、あらかじめ確認しておくことがポイントです。

ネット型保険と比較・検討してみる

ソニー損保などのネット型保険は、代理店型保険のように代理店手数料が発生しない分、自動車保険料が安く抑えやすい傾向があります。できる限り保険料を安くしたい方は、ネット型保険も検討してみましょう。

自身だけで補償内容を決めるのが不安な方は、コールセンターで疑問点や不明な点を気軽に確認できます。

電気自動車(EV)は維持費が抑えられる

電気自動車はガソリン車よりも購入費用が高い傾向がありますが、税制優遇や燃費・任意保険の割引などの維持費はガソリン車よりも安い傾向があります。車を購入したあとの維持費を抑えたい方は、電気自動車(EV)も検討してみましょう。

さらに購入する電気自動車を軽自動車にしたり、リースやサブスクリプションなどの定額制サービスの利用や、ネット型保険への見直しをしたりすることでも維持費を抑えられる場合があります。