新車購入時の諸費用の種類は?
初期費用を抑えるポイントをFPが解説

新車購入時の諸費用の種類は?初期費用を抑えるポイントをFPが解説

新車を購入するときは、車本体の費用の他にも様々な費用が必要になります。税金や保険、手数料など、必要な費用の種類をあらかじめ知っておきましょう。さらに、これらの費用を抑えるポイントについてもご紹介します。

新車購入時にかかる諸費用の種類は?

新車購入時にかかる諸費用は、大きく分けると「法定費用」と「その他費用・手数料」の2つです。それぞれの項目を表にまとめました。

■諸費用の主な項目

新車購入時の「法定費用」とは?

「法定費用」とは、車に関する税金や自賠責保険など、法律で納付や加入が義務付けられている費用です。一部、車種や燃費性能などによって変わるものもありますが、基本的に販売店による費用差はありません。

自動車税環境性能割

自動車税環境性能割は、車の購入時や譲り受けたとき等、取得した際に一度だけ課税される税金です。以前は自動車取得税という名称でしたが2019年10月に廃止され、自動車税環境性能割が導入されました。

税額は、車の取得価額に税率をかけて決まります。取得価額については、下記計算式のように、「課税標準基準額」と「オプション品価格」の合計額になります。

取得価額
課税標準基準額
オプション品価格

(自動車購入時につけた
車両と一体化したオプション)

課税標準基準額は、車種やグレードなどによって決められています。新車価格の約90%の額が目安です。また、カーナビやアルミホイールなどのオプション品(付加物)の価格も、取得価額に含まれます。

こうして算出した取得価額に税率をかけますが、税率については車の排出ガス基準や燃費基準の達成割合によって異なり、0(非課税)〜3%(軽自動車は0〜2%)です。つまり、燃費のよい車ほど税額が優遇される仕組みです。

参考:ソニー損保「自動車税環境性能割

自動車税種別割・軽自動車税種別割

自動車税種別割は、毎年4月1日時点で車検証に記載されている所有者が納める税金です。一般的に「自動車税」と呼ばれています。

新車購入時は、購入する月の翌月分から翌年3月(最初に到来する3月)までの分を納め、その後は車を所有している間は毎年1年分を納税します。

また軽自動車の場合は、年度途中での登録は課税されない仕組みとなっています。そのため、4月2日以降に登録すれば、その年度は軽自動車税種別割の納付は必要ありません。

税額は自動車の用途(乗用自動車・貨物自動車など)・総排気量によって異なります。例えば、排気量1500ccの新車を購入する場合、1年間の税額は30,500円です(下表参照)。

■自動車税の税額(乗用・自家用)

用途区分 総排気量 新車登録時期別の税額
2019年10月1日以降
自家用乗用車 1リットル以下 25,000円
1リットル超〜1.5リットル以下 30,500円
1.5リットル超〜2.0リットル以下 36,000円
2.0リットル超〜2.5リットル以下 43,500円
2.5リットル超〜3.0リットル以下 50,000円
3.0リットル超〜3.5リットル以下 57,000円
3.5リットル超〜4.0リットル以下 65,500円
4.0リットル超〜4.5リットル以下 75,500円
4.5リットル超〜6.0リットル以下 87,000円
6.0リットル超 110,000円
自家用乗用軽自動車 一律 10,800円

※ 2023年6月時点

参考:ソニー損保「自動車税種別割・軽自動車税種別割

自動車重量税

自動車重量税は、車の新規登録や車検(新車は3年、以降は2年毎)の際に、車検証の有効期限分をまとめて納める税金です。税額は車の用途や重さ(重量0.5トン毎)、エコカー減税の有無によって異なります。

自家用乗用車の場合、1年分の税額は重量0.5トン毎に4,100円です。車両重量1.3トンの自家用乗用車の場合は、4,100円×3で、1年分は12,300円になります。新車の場合は3年分を支払いますので合計で36,900円です。軽自動車は重量に関係なく、年間で3,300円の定額になります。また、新車の新規登録から13年以上経過すると税額が上がり、18年以上経過するとさらに税額が上がります。

また、燃費基準を満たすエコカー減税の対象車なら、基準の達成度によって25%・50%・100%(免税)の税額の軽減があります。

■自動車重量税の税額(自家用乗用車・3年分)

区分車両
重量
3年自家用
エコカー エコカー エコカー外
(本則税率から軽減)
50%減 25%減 本則税率 軽減なし
0.5トン以下 免税 3,700 5,600 7,500 12,300
〜1 7,500 11,200 15,000 24,600
〜1.5 11,200 16,800 22,500 36,900
〜2 15,000 22,500 30,000 49,200
〜2.5 18,700 28,100 37,500 61,500
〜3 22,500 33,700 45,000 73,800

※ 2023年6月時点

※ 国土交通省「自動車重量税の税額表【新車新規登録等時における自動車重量税の税額】

消費税

車の場合、消費税の税率は10%です(2023年6月時点)。車両本体価格だけではなく、カーナビやアルミホイールなどのオプション品にも、消費税が課税されます。

自賠責保険料

自賠責保険は車を所有する人の加入が法律で義務付けられている保険で、「強制保険」と呼ばれることもあります。通常は、車検の満了期間に合わせて加入しますので、新車で購入すると3年分の保険料を支払います。

保険料は用途車種区分(普通自動車・軽自動車など)や契約期間によって決まります。どの保険会社で加入しても、保険料の違いはありません。

例えば、新車で自家用乗用車を購入すると、最初の継続車検まで3年ありますので、保険料は36ヵ月分で23,690円になります(※)

<自賠責保険の保険料例(2023年4月時点)>

保険期間 24ヵ月 25ヵ月 36ヵ月 37ヵ月
普通乗用車 17,650円 18,160円 23,690円 24,190円
軽自動車 17,540円 18,040円 23,520円 24,010円

参考:損害保険料率算出機構

※ 新車の場合、車検と自賠責保険の有効期間満了のタイミングの違いから、自賠責保険を37ヵ月で加入する場合があります。

リサイクル料金

リサイクル料金は、車を使用しなくなったときに処分するための費用です。一般的には「リサイクル預託金」と呼ばれています。車の購入時に事前に支払う費用で、原則としてほとんどの車に必要です。

車を粉砕したあとに残るシュレッダーダストを始めとして、エアバッグ類・エアコンのフロンなどを処分する料金に加え、自動車リサイクルシステムの運営費用が含まれています。一般的な費用としては6,000〜18,000円程度です。

新車購入時の「その他諸費用・手数料」とは?

「その他諸費用・手数料」は販売店ごとに設定されており、店舗によってかかる費用が変わってきます。中には、自分自身で手続きすることで節約できる費用もあります。ここでは、費用の種類と内容をご説明します。

任意保険料

任意保険は文字通り、加入するかどうかを個々人に任されている保険です。
しかし、自賠責保険の限度額を超える事故は多数ありますし、車やモノについてはまったく補償がないことを考えると、任意保険への加入は必須と言えるでしょう。

車の販売店で任意保険に加入することもできますが、自分自身でもインターネットや電話を通して保険会社を比較しながら加入することができます。基本的に1年更新なので、車の購入時に1年分の保険料を支払います。一般的に、車の納車日にあわせて補償が始まるように契約します。

保険料は、主に車を運転する人の年齢・使用目的・使用地域・車種や、契約する保険会社・補償内容などの様々な要素で決まります。

年代別の保険料相場については、こちらを参考にしてください。

参考:ソニー損保「年代別の保険料相場っていくら?

新規車検登録手数料

新規車検登録は、未登録の新車を車検に通し、車検証とナンバープレートを取得して公道を走れるようにする手続きです。この手続きを販売店などに依頼する場合は、代行手数料が必要になります。

手続きは、管轄する地域の陸運局で行います。代行手数料については、販売店によって異なります。

車庫証明取得費用

車庫証明は、正式には「自動車保管場所証明書」と言い、車の保管場所があることを証明する書類です。原則として、車の所有者は車庫証明の取得が義務となっています。

手続きは、車の保管場所の地域を管轄する警察署で行います。車を購入した販売店が代行手続を行うことが多いですが、車庫証明の手続きはそれほど複雑ではありませんので、自分で行うこともできます。
自分自身で手続きすれば、その分の費用を抑えることができますので、自分でやってみようという方は、下記をご確認ください。

参考:ソニー損保「車庫証明書の取り方の流れ

希望ナンバー取得費用

車のナンバープレートの番号を、自分の希望する番号で取得するための費用です。希望番号には、「一般希望番号」と「抽選対象希望番号」の2種類があります。

一般希望番号は、その番号がすでに払い出されていなければ選ぶことができます。

抽選対象希望番号は「1111」など、特に人気の高い番号を対象に全国一律で抽選制となっているもので、当選者のみ取得できる番号です。また、地域によっては、独自に抽選対象希望番号としている番号もあります。

費用はナンバープレートの種類を通常の「ペイント」か、文字の部分が光る「字光式」のどちらを選ぶのかによって異なります。

納車費用

納車費用は、販売店から自宅まで車を運んでもらうための費用です。販売店から自宅までの距離などによって費用が変わることが多いです。

自分自身で販売店へ車を引き取りに行けば、納車費用がかからないこともありますので、購入時に販売店へ確認しておくとよいでしょう。

新車購入時の諸費用を抑えるポイントは?

ここまで、新車購入にかかる諸費用を見てきました。車本体やオプション品以外にも、多くの費用が必要なことがわかります。ただし、諸費用については、ちょっとした工夫で抑えられるものもありますので、そのポイントついて見ていきましょう。

税率の低い車種を選ぶ

冒頭でも紹介したとおり、自動車税環境性能割や自動車重量税といった法定費用は、環境などに配慮して燃費基準をクリアした車種(ハイブリッドカーなどのエコカー)なら、税金が免除・軽減されます。また、こういった車は燃費のよい車が多いので、購入後の維持費も抑えることができるメリットがあります。

予算が許せば、こういったエコカーを選ぶことで諸費用を抑えることができます。ただし、ハイブリッドカーなどのエコカーは、一般的に同クラスのガソリン車と比べると本体価格が高いことが多いです。車本体の価格や燃費にもよりますが、利用シーンを事前にシミュレーションし、トータルコストで考える必要があるでしょう。

新車の購入時期を考慮する

車は車両本体価格そのままの金額ではなく、一般的に値引き販売されることが多いです。この値引き額は、販売店や購入時期によって変わってきます。

販売店が最も車を売りたい時期を狙って購入することが、値引き額を増やすポイントです。例えば、年末年始などのセール期間中や、販売店の決算時期などが狙い目です。

中でも3月頃は、春からの新生活を始める人が車を購入する時期とも重なり、店舗が販売に力を入れますので、交渉によっては大きく値引きできる可能性があります。

また、法定費用について、先述の通り自動車税種別割は購入の翌月から翌年の3月までの分をまとめて納めます。軽自動車の場合、軽自動車税種別割は、年度途中での登録は課税されない仕組みとなっています。

できる範囲の手続きは自分で行う

車の販売店に依頼している手続きの一部には、自分でできるものもあります。任せずに自分自身で行うことで、代行手数料分を節約できます。

代表的なものは納車費用でしょう。先述の通り、自宅まで届けてもらうのではなく、自分自身で引取りに行けば、納車費用はカットできる可能性があります。

また、車庫証明も自分で手続きすれば、ほとんどの場合、印紙費用なども含めて3,000円程度で済みます。車を購入する際の手続きの中では比較的簡単で、ハードルはそれほど高くありません。

最初にオプション品をつけすぎない

車の購入時にディーラーオプションになっているものは、なるべく最小限にすることで自動車税環境性能割を節約できます。

先述の通り、新車の自動車税環境性能割の元になる取得価額は、「課税標準基準額+オプション品価格」で計算します。

そのため、購入時にカーナビやアルミホイールなど多くのオプションを付けると、その分、取得価額が増えてしまいます。これらを車の購入後に付ければ、その分だけ取得価額を抑えられ、税額の軽減につながります。

ダイレクト型の保険会社を検討する

任意保険を契約する保険会社を選ぶ場合、代理店で取扱う「代理店型」と、インターネット・電話を通じて契約する「ダイレクト型」があります。

代理店型の場合、保険会社が代理店を通じて顧客と契約のやり取りをするため、営業コストがかかります。
一方のダイレクト型では、顧客とダイレクトにやり取りすることで営業コストが抑えられています。

代理店型とダイレクト型比較の図

そのため、一般的に代理店型よりもダイレクト型の方が保険料は安くなります。さらに、ダイレクト型なら24時間いつでもインターネット手続が可能で、インターネット割引が適用される場合があります。

新車購入時の諸費用や維持費を念頭に購入予算を決める

新車には、本体価格以外にも様々な費用がかかります。費用の種類や必要な時期・費用の目安を知っておくことは、車の購入予算を事前に掴んでおくためにも大切です。

「新車の購入時期を考慮する」「できる範囲の手続きは自分で行う」「ダイレクト型の保険会社を検討する」など、ちょっとした工夫で費用を抑えることもできます。

車は所有し続ければ、税金やメンテナンス費用などの維持費がかかります。これらの費用も見込んだ上で、家計の負担にならない車種や購入予算を決めるようにしましょう。