「寝違え」対処方法と「ストレートネック」
2023年5月時点の内容です。
朝起きると首が痛くて回せない経験、誰もが一度や二度はあると思います。
「寝違え」とは、枕の高さやマットレスの硬さなど寝具があわなかったり、不自然な姿勢で寝てしまったりすることで首に無理な負担がかかり、首から肩にかけての筋肉や靭帯(すじ)に炎症がおきて強い痛みや運動制限がおきた状態のことをいいます。
緊張する筋肉のある場所によって頭部が傾いたり、下向きのまま動けなかったりと症状が異なります。
寝違えが起こりやすい状況
睡眠の浅いときや明け方に起こりやすく、疲労や精神的緊張の影響を受けやすいといわれます。起こりやすい状況や後まで痛みが残るなどの特徴は「こむらがえり(足がつること)」と似ていますが、対処方法は異なりますので注意しましょう。
こむらがえりは筋肉の収縮でおこりますので温めるとよいのですが、寝違えは炎症ですから温めてはいけません。
寝違えた場合の対処方法
単純な寝違えは2、3日、少々ひどいものでも1週間ほどで症状は改善します。
無理に動かさず安静を保つことが第一
痛いところを強く指圧したり、揉んだり、無理に首を回したりすると炎症がひどくなります。痛みがある間はストレッチもやめておきましょう。入浴などで緊張をほぐしてからゆっくり動かすようにしてください。
早い時期のアイシングは効果あり
氷のうやアイスパックのほか、目立たないように使える市販のアイシンググッズもあります。湿布は冷湿布と温湿布とがありますが、まずは手元にあるものを使ってください。温冷、どちらでもかまいませんが、選べるなら冷湿布が良いでしょう。
痛みがある間は横たわるという行為自体も辛いものですが、できるだけ枕は頭から首や肩まで当たるようにし、本人が一番楽な高さにします。
痛みが強い場合は鎮痛剤を用いたり、整形外科で「カラー」(首のコルセット)を着けてもらったりすると楽になります。
寝違え予防と隠れた病気の可能性
普段から肩こりのある方は寝違えをおこしやすく痛みが長引く傾向があります。
また、女性のほうが男性に比べて筋肉量が少なく、頭を支える筋肉が疲労しやすいので肩こりや寝違えが起こりやすいといえるでしょう。
寝違え予防は肩こり予防と同じで、ストレッチや、冷え・眼精疲労を防ぐようにすることが効果的です。
上述の通り、寝違えは通常は長くとも1週間くらいで楽になりますが、次のような場合は注意が必要です。
- 痛みの程度が激しい、症状が1週間以上長引く、頻繁に起こる
- 痛みだけでなく発熱や手足の痺れを伴う
これらの症状がみられる場合は頚椎椎間板ヘルニアや頚椎亜脱臼、腫瘍などの病気が隠れている可能性もありますので、まずは整形外科に相談してください。
最近多い、「ストレートネック」
パソコンやスマートフォンの利用頻度とともに増えてきたのが「ストレートネック」です。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、人の体は目が向いている方向に顔が動き、それに伴い頭も動くようになっています。
頚椎(けいつい)は正常であれば30度から40度の前湾角度で頭の重みを分散させていますが、パソコンやスマートフォンの画面に集中し過ぎて頭が前へシフトした姿勢が続くと、頚椎の湾曲はなくなり、ストレートな状態になってしまいます。これを「ストレートネック」と呼んでいます。
このストレートネックになると頭の重みに耐えられず首や肩のコリがひどくなったり、持続的な首や肩への負担が寝違えという形で炎症をひきおこしたりします。また、頚椎の椎間板や関節に常時負担がかかるようになると痺れや痛みが走ることもあります。
レントゲンやMRIを撮ると前湾角度がわかりますが、30度以下をストレートネックと診断します。ただ、このストレートネックには画期的な治療法がなく、痛みを抑えるくらいしかできません。
このためストレートネックにならないように予防することが大切です。
予防には上で紹介した寝違えや肩こりと同様、ストレッチや冷え・眼精疲労を防ぐことが効果的です。
特にうつむきの姿勢を続けないようにすることが大切です。
その他、枕を替える、ストレッチを増やす、姿勢に気をつけるなど、自分でできる範囲の予防策を見つけることをおすすめします。
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