お酒を飲む方は数値に要注意! γ-GTPとはいったい何?
お酒を飲む方は、γ(ガンマ)-GTPの数値に気をつけておくべきです。健康診断で気になる数値が出たら、基本的な知識を身につけましょう!
1.γ-GTPとは?
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γ-GTPとは、アルコールなどを分解する肝臓の作用に関係している酵素です。GTPとは「グルタミルトランスペプチダーゼ」の略です。
肝臓の働きとは?
γ-GTPの数値は肝臓の機能を知るためのデータの一つです。そもそも、肝臓はどのような働きのある臓器なのでしょうか?
肝臓は「アルコールを分解する器官」と思われがちですが、アミノ酸や糖や脂質を代謝したり、造血をしたり、アンモニアを尿素に変換したり、食物の消化を助ける胆汁酸を作ったりと、それ以外にも様々な機能があります。その機能の数は判明しているだけでも500を超えているといわれており、通常考えられているよりもずっと重要な器官です。
「沈黙の臓器」といわれる肝臓
そんな肝臓ですが、肝臓の病気は自覚症状がないままに進行していくことが非常に多く、注意が必要です。そのため、肝臓はしばしば「沈黙の臓器」とも呼ばれます。肝臓の病気を防止するためには、定期的に健康診断をうけて、健康的な生活を送ることが不可欠です。
そのためにも、γ-GTPについて正しい知識を持っておきましょう。一見複雑でわかりにくく思えますが、専門的な知識はなくても要点を抑えておけばOKです。
2.γ-GTPの数値(高い―低い)とは?
厚生労働省によると、γ-GTPの数値の一般的な基準値は男性で50IU/l(International Unit・国際単位/リットル)、女性の場合は約30IU/lです。
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γ-GTPの数値が高い場合、肝臓に何らかの異常が起きている可能性が考えられます。前述の通り、肝臓は「沈黙の臓器」です。病気に思いあたるふしがなくても、会社の健康診断などで「γ-GTPの数値が高い」と指摘されたら必ず病院へ行き、詳しい検査をうけて診断をしてもらいましょう。
肝臓のトラブルで受診するのは内科がおすすめです。大きな総合病院であれば消化器系を専門としている消化器内科があるので、そちらを受診するとよりよいでしょう。
3.なぜ数値が上がるの? 健康への影響は?
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γ-GTPの数値はなぜ上昇するのでしょうか? また、具体的には健康にどのような影響があるのでしょうか?
ここでは、数値上昇の原因や高い数値から考えられる病気などを解説します。
γ-GTPの数値が上昇する原因
γ-GTPの数値が高い状態というのは、アルコールなどの何らかの原因によって肝臓に負担がかかり、γ-GTPが過剰に分泌されたり、肝臓から血液中に漏れだしている状態をいいます。
またγ-GTPは、肝臓からだけでなく胆汁の中から血液に漏れだすこともあります。いずれにしても、肝機能が正常に働いていない状態です。
高い数値から考えられる病気
γ-GTPが正常値(男性:約50IU/l、女性:約30IU/l)をオーバーしている状態は、すなわち肝機能が低下していることを意味します。肝硬変・アルコール性肝障害・薬物性肝障害・脂肪肝・慢性肝炎などといった病気が考えられます。
お酒を飲まない人でも注意が必要!
肝臓の病気=大酒飲みの人がかかる病気。そんなイメージがありますが、実際にはお酒をまったく飲まない人であってもγ-GTPの数値は上昇することがあり、念のため注意しておく必要があります。お酒を飲まなくても、γ-GTPの数値の上昇が見られたらひとまずお医者さんに相談しましょう。
4.γ-GTPを下げる方法
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γ-GTPの数値を下げるにはどのようにすればよいのでしょうか? それにはやはり、生活習慣の見直しがとても大事です!
休肝日を作ろう
γ-GTPの数値を下げるためには、アルコールを一切飲まない休肝日を設けることが重要です。休肝日作りは医師の適切な指導の下で行い、摂生を心がけましょう。
その他の生活習慣
アルコールだけではなく、肥満も肝臓に大きな負担をかけてしまいます。脂肪分が高い食品を避け、適度に運動を行い、内臓への負担を減らすようにしましょう。
おわりに
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γ-GTPと聞くとややこしい印象もありますが、改善のためには休肝日やバランスのよい食事を取り入れ、できるだけ肝臓の負担を減らしていけば、決して難しいことを考える必要はありません。
日常的にお酒を飲む人は、肝臓は「沈黙の臓器」であること、そしてγ-GTPの数値のことを頭の片隅に置いておきましょう。
- この内容は医師の監修のもと制作していますが、健康に不安のある場合は、正確な診断・治療のために医療機関等を受診してください。
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