正しいおやつの食べ方
2023年5月時点の内容です。
子供だけでなく大人も楽しみなおやつ。家事や仕事で疲れた時に、チョコレートをひとつ口にするだけで、ホッとした気分になりませんか。おやつには空腹を軽減する、疲れを癒す、気分をリフレッシュさせるなどの効果があると言われています。また、いろいろな場面においてコミュニケーションを円滑に進める上でも、おやつは重要な役割を持っています。
一方で、生活習慣病が気になるという方や、健康維持のためにおやつを控えめにしているという方もいらっしゃると思います。しかし、食べる量やどのような物を食べるか、そして食べる時間などを工夫することでおやつは私たちの身体にプラスの効果を与えてくれます。そこで、家庭やオフィスでのおやつの食べ方についてお話します。
おやつとは?
おやつは、漢字で「御八つ」と書き、午後2時から4時までの時間をさす江戸時代の言葉「八つ時」(やつどき)に由来します。八つ時に、食事と食事の間の空腹感を抑えるためにとっていた軽い間食が、やがて他の時間に食べる間食も含めて、広く“おやつ”と呼ばれるようになりました。江戸時代の頃は、餅や団子、せんべいや果物などをおやつに食べていたそうです。今の時代と同じように、おやつを食べることでエネルギー補給をしていたのですね。
おやつをいつ食べる?
農林水産省のウェブサイト「食事バランスガイド」では、おやつは、「楽しく適度に」をすすめています。おやつは毎日食べなければいけないというものではなく、おやつを食事のかわりにすることも主客転倒です。まず、朝、昼、夕の3食をきちんととることが基本です。そのうえで、朝食が早かったのでおなかが空いて昼食までもたないとか、残業で夕食が遅くなりそうなときにおやつを食べるのは悪いことではありません。
食事と食事の間隔が空きすぎると、人間の身体は、次の食事でエネルギー源になる糖質や脂肪を蓄積しようとします。また、長時間食事をとらないでいると必要以上に空腹を感じるため、一度に食べる量が多くなり、胃や腸への負担が増すとも言われています。そんな時こそ、時間を決めて、食事の間に軽くおやつを食べておくとよいのです。甘いものを摂ることで気持ちが落ち着き、また脳にもエネルギーが補給されるので、頭がすっきりとさえ、仕事の能率もよくなると思います。
食後、数時間経過すると、食事でとり込んだ血液中のブドウ糖が体中の細胞に吸収されるため血糖値が下がります。すると、ブドウ糖をエネルギー源にしている脳の働きが低下し、仕事の能率などに影響を及ぼすこともあります。お昼前の10時や午後3時におやつを食べることは、エネルギー補給という意味で理にかなっているのです。家事や仕事で忙しい時こそ、おやつタイムをとりたいですね。
一方、夜間におやつを食べると脂肪の蓄積を促してしまいますので、なるべく身体を動かす日中に食べるようにしましょう。どうしても夜間におやつを食べたい場合は、カロリーや脂質が少ないものがよいでしょう。お菓子の袋に書いてある栄養成分表示が参考になります。また、食事の量を減らすために、食事の直前におやつをとることも逆効果です。直前におやつを食べると肝心の食事がはいらなくなることもあるので、食事の2時間前にはおやつを食べ終わるようにしたいですね。おやつは一定の時間に食べることで、食生活にリズムをつくり、消化器への負担を軽減するなど、健康の維持増進につながっていきます。日常の生活環境に照らし合わせて、おやつを食べる時間を決めるようにしましょう。
何を食べる?
おやつには、「補食」としての重要な役目があります。おやつ=甘いもの・お菓子ではなく、3度の食事だけでは十分に摂取できない栄養分を補う種類のものを選ぶようにしましょう。例えば、低脂肪のヨーグルトやチーズ類などで、日本人に不足しがちと言われているカルシウムを補ってみたり、シリアルや果物を適量に食べてみたりすることで、食物繊維やビタミンを摂取することは選択肢の一つだと思います。他には、フルーツ入りの寒天やゼリー、ドライフルーツ、ナッツ類などもヘルシーで良いでしょう。
腹もちの良いおやつを食べることも、その後の食べ過ぎを防ぐコツです。チョコレートやフルーツの入ったヨーグルトは、油脂が少し入っているため糖質だけをとるより血糖値の上昇を抑えることができ、腹もちもよくなります。干し芋やかりんとうなどのおやつも、よく噛むことで満腹感につながります。また、オフィスでのおやつは、個包装で手が汚れにくい、ひとくちサイズといったものが適していそうですね。同僚に配りやすいおやつであれば、一緒に息抜きができて良いコミュニケーションにつながるかもしれません。コンビニなどで売られている小袋サイズのおやつを利用してみてはいかがでしょうか。
残業時間にお腹がすいたら?
夕食が遅くなりそうなときには、おやつの代わりにおにぎりやサンドイッチ・パン類、うどん等の麺類といった消化が良くて腹もちのする軽食を夕食の一部として食べることもおすすめです。帰宅後は、カロリーの低い野菜や海藻類、大豆加工品、果物などで不足しがちな栄養素を補うというように、夕食を2回に分けて食べることも筆者の経験からもカロリーの過剰摂取抑制に効果的だと思います。
おやつはどれくらいなら食べてよい?
おやつを気兼ねなく食べるためには、どのお菓子にどのくらいのカロリーが含まれているのかを知ること、そして食べる量を調整することが大切です。
1日のおやつの適量は、1日の食事の適量の10%程度を目安にするといいでしょう。(参考:農林水産省ウェブサイト「食事バランスガイド/一日分の適量について」)
1日の食事の適量が2,000kcalの人なら、200kcal程度が1日のおやつの適量になります。好きなおやつを好きなだけ食べてしまうと、1日に摂取するカロリーが消費するエネルギーよりも多くなり、肥満につながる可能性もあるので気をつけたいですね。
たとえば、食べだしたら止まらなくなるような大袋入りのスナック菓子などは袋のまま食べるのではなく、小皿に適量を取分けたり、小袋サイズを利用したりすると便利です。カロリー等については、お菓子の袋に記載されている栄養成分表示が参考になります。飲み物のカロリーは、あまり意識されないことも多いと思いますが、糖分の多い市販の炭酸飲料・コーヒー飲料などは、意外とカロリーがありますのでご注意を。おやつを食べ過ぎた時には、次の日に少なめにするなど、食事とのバランスを考えながらある程度の期間内で カロリーの調整をしていくことも大切です。
なお、糖尿病などの持病がある方は、症状に応じた栄養管理が必要ですので、医師からアドバイスを受けたうえでおやつを食べましょう。
3度の食事とは違った楽しみがあるおやつ。正しく食べることで、健康的な食生活を送りたいものですね。
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