健康診断で潜血(せんけつ)が出たらどうすればいいの? 尿潜血・便潜血についてのまとめ

健康診断で尿や便に潜血があったら、病気のサインかもしれません。決して自己判断はしないで、病院で精密な検査をうけるようにしましょう。

1.潜血(せんけつ)とは?

潜血とは、尿や便の中に血が混じっている状態のことをいいます。

潜血を表す血液のイラスト
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よく「血尿」「血便」といいますが、そうしたものは「血が混じっているのが目に見える状態」を指します。潜血とは文字通り「血が潜んでいる」状態のことを指し、血が目に見えることはありません。日本腎臓学会においては、血尿とは「尿に赤血球が混入した状態」のことを呼んでいます。


しかし、目に見えないからといって決して安心することはできないのが潜血です。排泄物に血液が混ざっているということは、はっきりとした病気の症状がなくても体のどこかで異常が起きていることを示しています。ここでは、潜血があることによって考えられる病気を尿潜血・便潜血に分けて紹介します。

2.尿潜血から考えられる様々な病気

結石

腎臓にできた結石
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尿潜血の検査で陽性が出た場合に多いのが尿路結石症です。尿路とは腎臓で作られた尿が膀胱にためられ、尿管を通って体外に排出されるまでの経路のことをいいますが、その途中のどこかに老廃物がたまって結晶化する症状のことを結石症といいます。尿路結石症は結石のできた場所によって呼び名が異なり、腎臓にできた場合なら腎結石、膀胱ならば膀胱結石、尿管ならば尿管結石と呼ばれます。
結石の成分はカルシウムやシュウ酸ストルバイトなどですが、こうした結石が尿管まで達すると腰や下腹などに「七転八倒」ともいわれるほど非常な痛みが走ります。しかし、そのような症状はなく健康診断で潜血のみが出ることで結石の存在に気づくことも多いです。

膀胱炎(ぼうこうえん)

膀胱炎によって苦しむ人
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膀胱炎は泌尿器の病気の中でもポピュラーなものであり、特に女性に多いことが知られています。いくつかの種類がありますが、多いのは急性膀胱炎です。原因は細菌感染によることが多く、膀胱内で細菌が繁殖して炎症が起こります。
症状としては頻尿・残尿感・下腹部や陰部の痛み・吐き気などが見られます。

腎炎(じんえん)

腎炎に苦しむ女性
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腎臓は胴体下部の背中側にある臓器で、血液中の老廃物をこしとって尿として排出する機能のほか、血圧を調節する機能などが備わっている、とても重要な器官です。この腎臓に炎症が起きるのが腎炎です。腎炎にはいくつかの種類があり、いずれも潜血が症状として出ることがあります。

・糸球体腎炎(急性・慢性)

糸球体とは、腎臓の中で特に老廃物のろ過を行っている部分のことを指します。この糸球体に炎症が発生するのが糸球体腎炎です。急性糸球体腎炎は特に幼児などの若年者に多く、血尿や手足のむくみ、発熱などの症状が現れます。


慢性糸球体腎炎はたんぱく尿や血尿が1年間以上現れ続けるものを指し、1つの病気ではなく様々な症状の総称です。

尿潜血が出たら

尿潜血は、基準値を「−(マイナス)」とし、「+(プラス)」「±(プラスマイナス)」が出た場合「注意」、「+2以上」の場合は「要注意」とされます(東京慈恵会医科大学附属病院における基準)。


ただし、潜血が出たからといってすなわち病気にかかっているというわけではありません。

潜血は病気以外にも痔・月経血の混入・一時的なストレス・激しい運動などによっても陽性となることがしばしばあります。また病気が発見された場合でも、自覚症状がない程度の段階ならばその後の経過観察のみで済むケースも多いようです。


このため、潜血が陽性だったからといってすぐに慌てる必要はありません。しかし病気の可能性もあることは事実ですので、自己判断はせず必ず病院で診断をうけることが大切です。


再受診をうける際は何科に行けばいいのか迷ってしまいますが、泌尿器科や腎臓内科など、泌尿器を専門としているところを受診するとよいでしょう。

3.便潜血から考えられる病気

炎症性腸疾患

大腸に炎症が起きる炎症性腸疾患
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クローン病、潰瘍性大腸炎などの大腸に炎症が起きる病気をまとめて炎症性腸疾患といいます。クローン病は消化管に潰瘍が起きて、疲労・発熱・下痢・血便などが起きる原因不明の病気です。

大腸がん

大腸がんは近年がんの中でも特に増加しており、40代を中心とした若い世代にも多く見られます。特に女性の場合は、乳がんに次いで2番目に多いがんとなっています(2015年の国立がん研究センターの調査)。近代化とともに食生活が急速に西洋化し、脂肪が多く食物繊維の少ない食生活が主な原因といわれています。


大腸がんは比較的症状が軽く治療も容易ながんとして知られており、早めに潜血の異常を発見されたことで精密検査をうけ、適切な治療を行うことで無症状のうちに治癒することが可能です。しかし、自覚症状が乏しいことが高い死亡率につながっている現状もあるため、注意が必要です。

便潜血が出たら

便潜血が出る原因は、必ずしも深刻な病気によるものとは限りません。怖いのは、「自分は痔だから潜血が出るのは仕方ない」などと自己判断して、隠れているかもしれない病気を見逃してしまうことです。

便潜血の再検査は、消化器内科・消化器科・内科・肛門科・胃腸科などに行きましょう。

おわりに

尿検査のイメージ
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潜血は自覚症状がなく、診断されても病気という実感はないかもしれませんが、決して甘くみることはできません。
健康診断で潜血が陽性と診断されたら、専門の病院を受診することをおすすめします。

  • この内容は医師の監修のもと制作していますが、健康に不安のある場合は、正確な診断・治療のために医療機関等を受診してください。