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2022年10月の火災保険の改定について解説

公開日:2023年3月10日

※この記事は、一般的な火災保険商品について説明しております。ソニー損保の新ネット火災保険の詳細はこちらからご確認ください。


近年、火災保険の改定がたびたび行われています。改定はどのような理由で行われ、私たちにどのような影響があるのでしょうか。増加傾向にある保険料を抑える方法についても、具体的に解説します。

2022年10月より複数の損保会社で火災保険料が改定された理由

2022年10月に、多くの損害保険会社(以下「損保会社」)で火災保険料が見直されました。
火災保険は火災のみならず、風水災などの自然災害による建物や家財の損害でも補償を受けることが可能です。ご存じのように、近年は気候変動の影響もあり、各地で風水災による被害が相次いでいます。そのため、風水災等による損害に対する保険金支払いが増えており、火災保険は恒常的な赤字収支が続く現状があります。

火災保険の収支状況
火災保険の収支状況の図 火災保険の収支状況の図

出典:インシュアランス損害保険統計号をもとに一般社団法人 日本損害保険協会作成

火災保険料引上げの主因は、2018年〜2019年の大規模な自然災害により、過去に例を見ない1兆円超もの損害保険金が2年連続で支払われたこと、そして2020年にも、大規模な自然災害が発生したことにあります。そのため、将来の保険金支払いに充てるのに必要な火災保険料の引上げを余儀なくされることになったのです。

風水災で支払われた損害保険金の総額
風水災で支払われた損害保険金の総額の図 風水災で支払われた損害保険金の総額の図

出典:一般社団法人 日本損害保険協会「ファクトブック2018年「日本の損害保険」」および協会リリースより筆者作成

各損保会社が自社の火災保険料を決めるときは、損害保険の業界団体である損害保険料率算出機構が算出する参考値(=「参考純率」)を踏まえて検討します。風水災の激甚化などを受け、近年この参考純率がたびたび引上げられてきており、そのたびに、各損保会社は自社の火災保険料を見直してきました。

火災保険の参考純率改定の値上げ

近年の火災保険(住宅総合保険)参考純率の改定内容
時期 全国平均の参考純率改定率 その他の改定
2014年6月 プラス3.5% 10年超の保険期間廃止
2018年5月 プラス5.5%
2019年10月 プラス4.9% 築浅割引の導入
2021年5月 プラス10.9% 5年超の保険期間廃止

2021年5月の参考純率の改定では、全国平均で前回の改定率の2倍を上回る10.9%の引上げとなり、それを受けて各損保会社の火災保険料が見直されることになりました。

ただし、参考純率の引上げ率は全国平均であり、建物の所在地や構造により保険料は上がったケースもあれば、下がったケースもあります。参考純率と同率で全ての火災保険契約の保険料がアップしたということではありません。

2022年の改定では、同時に地震保険料も改定されています。今回の改定では、住宅の耐震性の向上が反映されるなどして全国平均0.7%の引下げとなりました。そのため、2022年10月以降の新規契約では、多くの地域で地震保険料が据え置き、または下がっています。地震保険料は各社共通なので、どの損保会社でも同様の改定が行われています。

火災保険の改定による主な変更点

2022年10月に行われた火災保険の改定では、主に以下2つの見直しが行われました。

火災保険料率の見直し

前述のとおり、大規模な自然災害の影響を踏まえ、火災保険料率が見直されました。
また、今後は築年数の古い住宅が増加して、災害等による損害が増えることが見込まれています。電気や給排水設備が老朽化した古い住宅は、築年数の浅い住宅よりも火災や水濡れ、台風等による損害が生じる生じリスクが高くなることから、保険金の支払いが今後より膨らむことも予測されます。こうした点も、火災保険料率の見直しに反映されました。

保険期間を最長5年に短縮

風水災の激甚化による火災保険料への影響は今後も避けられず、長期的なリスク評価が困難であることから、これまで最長10年だった保険期間が5年に短縮されました。
保険期間をより長期にして保険料を一括払すると、保険期間1年で毎年保険料を支払うよりもトータルの保険料が抑えられます。より高い割引率が適用される最長10年の契約ができなくなったため、こちらも実質的な保険料の引上げと言えるかもしれません。

建物の評価基準を改定した損保会社もある

そのほか、昨今の物価上昇による建築費アップを踏まえ、今回、建物の評価基準を改定した損保会社もあります。
現在の火災保険では、失った住宅を再建するのに必要な「再調達価額」で保険金額を設定するのが主流です。再調達価額に満たない保険金額では損害時の原状回復が難しくなるおそれがあるため、物価上昇時には保険金額を見直し、増額することも必要になります。
今回、評価基準を改定した損保会社で火災保険の契約をしている場合には、契約更改時の保険金額が更改前と変わっている可能性がありますが、それはこうした理由からです。

これまで述べてきたような理由から、火災保険料は全国平均では上昇傾向ですが、個々に負担する保険料は、住まいのリスク状況に応じた金額になります。つまり、どの地域のどのような住宅に住むかで災害リスクの可能性や程度が異なるため、負担する保険料も変わります。

加えて、火災保険でどのような補償を選択するか、あるいは保険料の支払方法をどのようにするかで負担する保険料は変わります。様々な要因で家計負担が増す中、必要な補償をしっかり備えつつ、補償に優先順位をつけて取捨選択することも大切になっています。

改定により負担増の傾向でも火災保険料を抑える方法

次回の火災保険の更新時に保険料が上がってしまう場合でも、負担を抑える選択肢はあります。火災保険料は建物の所在地や構造などである程度決まるため、保険料水準を大きくは変えられないものの、保険料を抑える要素は他にもあるからです。

ここからは、火災保険料を抑えるポイントを以下の3つにわけて紹介します。

保険期間を長期にして一括払にする

1年の保険期間よりも2年以上の長期契約のほうが、保険料が割引かれて安くなる傾向があります。補償内容が同じ、かつ年1回保険料を支払うことは同じでも、保険期間5年のほうが、保険期間1年で更新を続けるよりも5年間の総額の保険料は安くなる傾向があります。

※保険料が5年間変わらない前提

保険料の支払方法には、保険期間中の保険料をまとめて支払う「一括払」と、分けて支払う「分割払(年払・月払)」があり、同じ保険期間なら分割払より一括払のほうが総額の保険料は安くなる傾向があります。
このように、長期の保険期間、かつ保険料を一括払にすれば、補償内容を変えなくても保険料を抑えることはできるのです。

必要な補償を取捨選択する

補償や特約の必要性に優先順位をつけて選択することも、保険料を抑えるポイントです。言うまでもなく、補償が手厚いほど保険料は増えます。所在地の災害リスクや家計の状況を踏まえ、補償の要・不要を検討しましょう。

その際、生活基盤に深刻な損害を与えかねない風水災や地震の補償は優先度が高いと言え、慎重に選択する必要があります。水災リスクについては、まず各自治体が作成している最新のハザードマップを確認しましょう。そのうえで、居住地に浸水リスクが確認できる場合は水災補償を付帯しておきましょう。

他方で、地震はいつ・どこで・どの規模で発生するかが特定できず、誰でも損害を受けるリスクがあります。住宅ローン残債がある、貯蓄が少ないなど被災後の家計に影響が予測される場合には、地震保険の優先度はより一層高くなります。

補償特約の重複付帯に注意

損保会社によりますが、個人賠償責任補償特約や弁護士費用特約、携行品損害補償特約などの特約は、火災保険以外の保険にも付帯されている場合があります。重複して契約しても、それぞれから損害以上の保険金が支払われるわけではないため、確認して無駄なく付帯することをおすすめします。

火災保険の改定を機に見直しも

たびたびの改定による保険料アップに負担を感じがちな火災保険ですが、いくつかのポイントをおさえれば、保険料を抑えることも可能です。保険料の改定を機に、わが家の火災保険を一度見直してみてはいかがでしょうか。

※掲載内容は公開当時のものであり、現在と異なる場合があります。

執筆者情報 : 清水 香(しみず かおり)

1968年東京生まれ。CFP®認定者。FP1級技能士。社会福祉士。消費生活相談員資格。自由が丘産能短期大学兼任教員。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。2002年、(株)生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。
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