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火災保険で「土砂崩れ」による損害は補償される?
補償例や必要性を解説

公開日:2023年9月28日

※この記事は、一般的な火災保険商品について説明しております。ソニー損保の新ネット火災保険の詳細はこちらからご確認ください。


火災保険では火災のみならず、豪雨で起きた土砂災害による住宅等の損害も「水災」として補償されます。他方、地震等が原因で起きた土砂災害は、水災ではなく地震保険で補償されます。以下で解説します。

土砂災害による損害は原因により適用される補償が異なる

火災保険では火災のみならず、洪水や土砂災害などの自然災害や、一定の偶然な事故による損害でも補償を受けられます。
今回の記事で取上げる土砂災害とは、山地の斜面の土砂や岩石が急激に移動する現象のこと。土砂崩れや山崩れ、地すべり、土石流などが土砂災害に該当します。土砂災害は大雨や融雪、地震等が原因で発生します。どの原因かにより適用される補償は変わります。

※雪崩による損害は「雪災」、融雪洪水による損害は「水災」で補償されます。

土砂災害による自宅等の損害が水災として補償される場合、最大で火災保険金額と同額が補償されます。火災保険金額が3,000万円であれば、住宅全損時の保険金は3,000万円です。この場合、住宅等の原状回復が可能となる保険金を受取れます。

※保険商品によっては、実際に受けた損害を全額補償としないものもあります。

地震が原因の場合、受取れる保険金は火災保険金額の50%が上限

地震が原因で発生した土砂災害は、地震保険で補償されます。ただし、地震保険の保険金額は火災保険金額の50%が上限となります。火災保険金額が3,000万円だと地震保険金額の上限は1,500万円ですから、受取れる保険金は最大で1,500万円です。よって水災補償のように、保険金だけで原状回復が可能な金額にはなりません。しかし、住宅等に大きな地震被害を受けたとき、たとえ50%の金額でも地震保険金を受取れれば、生活再建の助けとなることは言うまでもありません。

火災保険で土砂災害が補償されないケースもある

土砂災害で損害が生じても、以下の場合は補償を受けられません。

などがあります。以下で詳しく見ていきます。

水災の認定基準を満たしていない損害

水災補償の認定基準
補償される:床上浸水等の損害、床上浸水を伴う再調達価額30%未満の土砂災害等、再調達価額の30%以上の損害。補償されない:再調達価額の30%未満の土砂災害等 補償される:床上浸水等の損害、床上浸水を伴う再調達価額30%未満の土砂災害等、再調達価額の30%以上の損害。補償されない:再調達価額の30%未満の土砂災害等

水災の補償を受けるには、以下の認定基準のいずれかを満たす必要があります。(損害保険会社により認定基準が異なる場合があります。)

床上浸水は、居住の用に供する部分の床に、床上以上の浸水で損害が生じていれば補償されます。床上浸水を伴わない土砂災害等では、再調達価額の30%以上の損害であることが要件になります。3,000万円の住宅であれば、土砂災害等で900万円以上の損害が生じた場合に保険金が支払われますが、900万円未満の損害だと保険金が支払われません。土砂災害等のおそれがある居住地では、水災補償のこうした点をしっかりおさえておく必要があります。

豪雨や地震等が原因ではない損害

豪雨や地震等が原因ではなくて起きた損害は、火災保険の水災、地震保険のいずれからも補償を受けられません。たとえば、地下水等が原因で起きた地盤の崩落等で生じた損害があげられます。

火災保険の免責金額に満たない損害、地震保険の一部損に至らない損害

火災保険で設定した免責金額(=自己負担額)に満たない額の損害では、保険金が支払われません。
また、地震で生じた損害については、地震保険の認定基準である一部損(建物の損害では主要構造部の損害額が建物の時価額の3%以上〜20%未満)に至らない損害であったり、窓ガラスが割れただけで屋根や柱、壁などの主要構造部に損害が生じなかったりした場合、保険金は支払われません。

建物や家財以外の損害

建物や家財以外に生じた損害も補償の対象外です。土砂災害等により自動車が埋もれ、破損することがありますが、こちらは火災保険や地震保険ではカバーできません。自動車の損害は、契約により自動車保険の車両保険で補償されます。

ハザードマップで居住地の土砂災害リスクを把握する

居住地の土砂災害リスクを知るには「土砂災害ハザードマップ」を確認しましょう。ハザードマップには洪水、内水氾濫、津波、高潮などさまざまなものがありますが、土砂災害のリスクがある市区町村では土砂災害ハザードマップが作成されています。ハザードマップは市区町村から住民に配布されますが、手元になくても市区町村のウェブサイトで確認できます。
あるいは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」でも、市区町村を超えた広域地図で土砂災害のハザードマップを確認できます。
ハザードマップの確認で、住んでいる場所に土砂災害のリスクがあるとわかったら、水災補償や地震保険の付帯を優先的に検討することをおすすめします。

土砂災害警戒区域の指定は年々増加しており、火災保険の契約内容の見直しも大切

土砂災害などの風水害は毎年のように全国各地で発生しています。宅地開発が進むなか、土砂災害等のリスクを抱える場所も増え続けています。そこで政府は、2001年に土砂災害防止法を制定、土砂災害を防止するための工事を施す対策とともに、市民に土砂災害の危険をハザードマップで知らせたり、避難体制を整備したりする対策を推進してきました。

この法律では、「警戒区域」の指定によって、土砂災害が起こる区域を事前に示すことが求められます。自治体は土砂災害が起こるおそれがある危険箇所を調査し、住民等の生命または身体に危害が生じるおそれがある区域を「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」、建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域を「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定し、ハザードマップによる周知の徹底や、宅地建物取引業者による重要事項説明を義務づけるなど体制の整備を図っています。

土砂災害警戒区域の定義と対策

区域 土砂災害警戒区域
(イエローゾーン)
土砂災害特別警戒区域
(レッドゾーン)
区域の定義 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域
対策
  • 災害時要援護者関連施設利用者のための警戒避難体制の整備
  • 市町村地域防災計画への記載
  • ハザードマップによる周知の徹底
  • 宅地建物取引における措置(宅地建物取引業者は、建物の売買等にあたり警戒区域内である旨、重要事項説明の義務がある)
  • 特定開発行為(住宅地分譲・学校・医療施設等の建築のための行為)に対する許可制
  • 建築物の構造の規制
  • 建築物の移転等の勧告・支援の措置
  • 宅地建物取引における措置(宅地建物取引業者は、都道府県知事の許可を取った後でないと宅地広告や売買契約の締結ができない、かつ重要事項説明の義務がある)
土砂災害警戒区域指定状況
(2023年6月30日時点)
約68万5千区域(うち、土砂災害特別警戒区域は約58万7千区域)
区域 土砂災害警戒区域
(イエローゾーン)
土砂災害特別警戒区域
(レッドゾーン)
区域の定義 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域
対策
  • 災害時要援護者関連施設利用者のための警戒避難体制の整備
  • 市町村地域防災計画への記載
  • ハザードマップによる周知の徹底
  • 宅地建物取引における措置(宅地建物取引業者は、建物の売買等にあたり警戒区域内である旨、重要事項説明の義務がある)
  • 特定開発行為(住宅地分譲・学校・医療施設等の建築のための行為)に対する許可制
  • 建築物の構造の規制
  • 建築物の移転等の勧告・支援の措置
  • 宅地建物取引における措置(宅地建物取引業者は、都道府県知事の許可を取った後でないと宅地広告や売買契約の締結ができない、かつ重要事項説明の義務がある)
土砂災害警戒区域指定状況
(2023年6月30日時点)
約68万5千区域(うち、土砂災害特別警戒区域は約58万7千区域)

※国土交通省「土砂災害防止法の概要」、「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況(R5.6.30時点)」をもとに筆者作成

現在、土砂災害警戒区域に指定されている区域は約68万5千区域で、指定される区域は年々増え続けています。自治体による区域指定が進むと、ハザードマップも更新されます。折を見て居住地のハザードマップを確認し、自宅に影響がある変更があったら火災保険の契約内容も見直しましょう。

※掲載内容は公開当時のものであり、現在と異なる場合があります。

執筆者情報 : 清水 香(しみず かおり)

1968年東京生まれ。CFP®認定者。FP1級技能士。社会福祉士。消費生活相談員資格。自由が丘産能短期大学兼任教員。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。2002年、(株)生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。
公式ウェブサイト(外部サイト)

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