調査の背景
2022年は、不安定な社会情勢等の影響や原油高・円安などが重なり、日本でも食材や資材などの原材料価格や光熱費、物流費、輸入コストなどの上昇により“値上げラッシュ”の1年となりました。
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帝国データバンクの調査(※1)によると、上場する主要飲食料品メーカー105社における2022年の価格改定品目数は20,822品目、平均値上げ率は14%という結果が明らかになりました。単月でみると10月が最も多く、6,699品目の飲食料品が値上げし、全食品分野・全品目での値上げがここまで短期間に集中した前例はなく、過去30年間でも類を見ないほどの“値上げラッシュ”の1年となりました。
ソニー損保では、定期的に家計の見直しに関する情報を発信しており、3月の卒業シーズンに合わせて、値上げによって“卒業”したもの(これまで続けていたものをやめたり変えたりした)や家計の状況、見直しについて調査を行いました。
※1:帝国データバンク「価格改定動向調査」
調査概要
- 名称:
- ソニー損保 火災保険に関する調査
- 調査対象者:
- 持ち家家庭で世帯における家計管理に携わっている人
- サンプル数:
- 200名
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査期間:
- 2023年2月24日~2月26日
- ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100にならない場合があります。
1. 約9割が2022年の値上げラッシュは家計への影響があり、支出も増加したと回答。一方、半数以上が家計の世帯収入が変わっていないことが判明。
値上げラッシュといわれた2022年の各種値上げによる家計への影響について聞いたところ、約9割(89.0%)の人が「影響があった」と回答しました。また、前年(2021年)と比較した家計の支出の変化について聞いたところ、同様に9割(90.0%)の人が「増えた」と回答し、2022年の“値上げラッシュ”は家計へ大きな影響を与えていることが明らかになりました。
また、約9割の家庭で家計の支出が増加した一方、世帯収入は、前年(2021年)と比較して「変わらない」と答えた人が最も多く半数以上(51.0%)という結果に。支出は増加したが収入が変わっていないため、家計の見直しが重要であることが推察されます。
2. 約4割の人が値上げが原因で“卒業”したものがあると回答。卒業したものランキング上位3位は、1位「外食」2位「買い物場所」3位「オシャレ」。
値上げが原因で“卒業”したもの(これまで続けていたものをやめたり変えたりした)があるか聞いたところ、4割以上(41.0%)が「ある」と回答しました。年代別でみると、30代が最も多く、6割以上(66.7%)の人が“卒業”したものがあることがわかりました。
“卒業”したものについて聞くと、1位「外食(飲み会や定期的な外食などを行わなくなった等)」、2位「買い物場所(日常的に食品や生活用品を購入する店をより安い店に変更をした等)」、3位「オシャレ(ファッションやメイクに使うお金を減らした等)」4位「通信費の契約(MVNOや格安プランへの変更を目的に携帯電話会社を変更した等)」5位「国内旅行(定期的に行っていた国内旅行をやめた等)」「間食(スウィーツやお菓子類の購入をやめた)」7位「お酒(日常的な飲酒をやめた等)」8位「光熱費関連の契約(電力やガスのプランをより安いものに変更した等)」9位「タバコ(禁煙してタバコの購入をやめた、1日に吸う本数を減らした等)」「美容室・理容室(自分で髪を切るようになった、これまでの美容室から格安カットに変更した等)」という結果に。日常的な行動から旅行などの特別な行事など幅広い項目について、やめたり変えたりしていることが窺える結果となりました。
3. 全体の6割以上が家計の節約のために何かしらの対策をしたと回答。若い世代ほど家計の節約を積極的におこなっている傾向に。
6割以上(64.5%)の人が家計の節約のために何かしらの対策したと回答しました。年代別で比較してみると、40~60代は60%以上であったのに対し、30代は100%の人が対策をしていることがわかりました。若い世代の方が値上げラッシュを受けて、積極的に節約をしていることが推察できます。
4. 家計の節約のために行った対策は「食料品の節約」が最も多い結果に。
節約のための対策としておこなっている行動を聞いたところ、1位が「食料品の節約(55.8%)」で最も値上げの影響を身近に受けた品目に対して行動していることがわかりました。位が「日用品の節約(55.0%)」、3位は「外食を控えて内食を増やす(47.3%)」、4位は「趣味・娯楽費の節約(37.2%)」、5位は「通信費の見直し(27.9%)」という結果に。その他には、「節電」などの回答もあり、日常的な支出の品目を節約している家庭が多いといえます。
5. 消費者が節約のために行っている対策は、消費が目に見えてわかりやすい変動費がランキング上位を占める結果に。
ソニー損保が2022年に実施したFP100人を対象とした調査「FP100人がすすめる家計見直しポイントTOP10(※2)」では、生命保険・火災保険や通信費など“固定費”の見直しを行っていくことが重要と多くのFPが提唱し、上位にあげられていました。
しかし今回の調査で、消費者が節約のために行っている対策は、目に見えてわかりやすい“変動費”がランキング上位を占める結果となりました。その中で火災保険の値上げを知らない人は73.6%と、見直しの盲点になっていることがわかりました。こうした細かい固定費に一度目を向けて家計の見直しをしててみるのはいかがでしょうか。
利用条件
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ファイナンシャルプランナー・
馬場 愛梨さんによる解説
電気代や食料品など身近なモノの値上げが相次ぎ、家計が苦しくなったと感じる人も多いでしょう。実際、今回の調査では値上げの影響を受けて支出が増えた人が約9割、収入が変わらないもしくは減った人が約7割と多数を占めています。支出を抑えるために「より安いものを選ぶ」「プチ贅沢をやめる」など具体的な行動を起こして対策している人も約6割にのぼりました。
昨年ソニー損保が実施した調査「FP100人がおすすめする家計の見直しポイント」では、住宅費・通信費・保険料など毎月一定の金額を継続して支払う「固定費」の見直しを行うことが特に重要という結果が出ていました。しかし今回の調査では、値上げが原因で“卒業”したものとして1位「外食」、2位「買い物場所」、3位「オシャレ」、4位「通信費の契約」、5位「国内旅行」「間食」が挙げられています。4位「通信費」が固定費、それ以外は変動費です。実際には食費・衣服代・趣味代など「変動費」の見直しに取り組んでいる人が多いようです。
変動費は、日頃から出費の機会が多く金額を意識しやすいのが特徴です。手っ取り早く節約しやすいのですが、買い物のたびに細かい我慢を重ねることがストレスになって長く継続できず、逆に反動で大きな出費につながってしまうケースもあるので要注意です。適正に家計を管理することは重要ですが、節約に必死になりすぎて苦痛を感じたり体調を崩したりしてしまったら本末転倒です。無理なくしっかり節約し、その効果を長く継続させるためには、変動費だけでなく固定費の見直しにも目を向けてみましょう。
固定費の見直しは、調べたり比較したり検討したり、手間と時間がかかることが多いです。しかし、一度見直しておけばその効果は大きく長く続きます。変動費の支出と違って毎日細かい節約を意識し続ける必要がなく、我慢やストレスを感じにくいのもメリットです。固定費を見直したいと思ったら、まずは家計の中で固定費の一覧を作って整理してみるのもおすすめです。固定費なら、家計簿をつけていなくても通帳やクレジットカードの明細を見れば確認できます。あまり見ていていない動画配信サービス、あまり読んでいない雑誌や新聞の定期購読、よくわからずにとりあえず契約した保険などがあれば“卒業”できないか、あらためて検討する時間を取ってみるとよいでしょう。
なかでも保険は、「難しい」「面倒」などの理由で見直しを避ける人も多いですが、余分な内容を削ったりオプションを外したりすることで大きな節約につながることも。契約してから時間が経つと「本当に必要な内容」と「実際の契約内容」とのあいだでずれが生じてくることもあるので、定期的な見直しがおすすめです。
たとえば火災保険は、「35年契約」「10年契約」など長期間の契約を結んでいて、契約したきりになっている人も少なくありません。しかし実は、住んでいる人数や家族構成が変わると保険料が安くなることもあります。もちろん保険料は、保険会社やどこまで補償を求めるかによっても変わってきます。
固定費は月1回自動的に引き落とされているものも多く、変動費と違って普段意識しにくい面もあります。しかし家計に与える影響はとても大きいものです。この機会に一度、まとめて見直してみてはいかがでしょうか。
ばばえりFP事務所 代表