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火災保険料の「一括払」「年払」「月払」の違いは?
おすすめの支払方法を解説

リビングルームの家具や家電を示すイラスト。

火災保険料の支払方法には、保険期間中の保険料をまとめて支払う「一括払」、年ごとに支払う「年払」、月ごとに支払う「月払」があります。保険期間が同じでも、どの支払方法を選択するかで支払う保険料の総額が変わります。保険期間は短期よりも長期、かつ保険料の支払は分割払より一括払のほうが保険料は抑えられますが、大切なのは、家計にマッチした支払方法を選ぶことです。今回は、保険料の支払方法について詳しく解説します。

火災保険の支払方法は大きく分けて3種類

火災保険料の支払方法には「一括払」「年払」「月払」の3つがあります。どの支払方法を選択するかで支払う保険料の総額が変わってくるため、支払方法を決める際はそれぞれの方法のメリット・デメリットを知ることが大切です。

一括払

保険期間中の保険料をまとめて支払うのが「一括払」です。
火災保険は保険期間1年のほか、最長5年までの長期契約も選択できます。保険期間1年で保険料を一括払できるほか、長期契約についても、保険期間分の保険料をまとめて一括払にすることができます。
補償内容や保険金額等の条件が同じでも、一括払は保険期間が長くなるほど1年あたりの保険料が安くなる点がポイントです。

ソニー損保より補足説明

下表は同条件で一括払をした際の保険料を保険期間別に比較したもので、同じ一括払でも保険期間を最長の5年に設定したほうが1年あたりの保険料が割安になることがわかります。保険期間を5年にして一括払にすると、5年分の手続きが一度に終わるため、手間も最小限で済みます。

一括払・保険期間別の火災保険料比較
保険期間/
保険料支払方法
1年/一括払 2年/一括払 3年/一括払 4年/一括払 5年/一括払
保険料 2万6,725円 4万9,443円 7万2,158円 9万4,606円 11万5,986円
1年あたり換算の保険料 2万6,725円 2万4,721円 2万4,052円 2万3,651円 2万3,197円
【算出条件】
所在地:東京、構造級別:H構造、建築年月:2025年1月、保険始期日:2025年1月1日、水災リスク区分:3、基本補償:火災・落雷・破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、火災保険金額:建物3,000万円、地震の補償:なし、家財の補償:なし、免責金額(自己負担額):なし、ソニー損保の新ネット火災保険での試算結果
  • 25年1月以降に保険料の改定がない場合
  • 算出条件を元にした保険料であり、実際にご契約する際の保険料を保証するものではありません。
  • 1年あたり換算の保険料は小数点以下を切捨て

他の支払方法と比べて同じ保険期間中に支払う保険料をより抑えられるものの、一度にまとまったお金が必要になります。無理はせず、家計状況に応じて選択しましょう。
一括払では通常、口座振替やクレジットカード払のほか、コンビニ払や郵便局等での払込票払い、銀行振込による請求書払などが可能なケースが多いです。

年払

長期の保険期間中の保険料を、年ごとに分割して支払うのが「年払」です。同じ保険期間で比較すると、年払は一括払より払いやすくはなりますが、1年あたりの支払総額は多くなります。

ソニー損保より補足説明

年払・保険期間別の火災保険料比較
保険期間/
保険料支払方法
1年/一括払 2年/年払 3年/年払 4年/年払 5年/年払
1年あたりの保険料 2万6,725円 2万5,389円 2万4,885円 2万4,588円 2万4,588円
【算出条件】
所在地:東京、構造級別:H構造、建築年月:2025年1月、保険始期日:2025年1月1日、水災リスク区分:3、基本補償:火災・落雷・破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、火災保険金額:建物3,000万円、地震の補償:なし、家財の補償:なし、免責金額(自己負担額):なし、ソニー損保の新ネット火災保険での試算結果
  • 25年1月以降に保険料の改定がない場合
  • 算出条件を元にした保険料であり、実際にご契約する際の保険料を保証するものではありません。

ただし一括払で保険期間1年の契約を毎年更新する場合と比べると、保険期間を2〜5年までに設定して年払にしたほうが、支払う保険料の総額は少なくなります。
年払では通常、口座振替やクレジットカード払ができるケースが多いです。コンビニ払や郵便局等での払込票払い、銀行振込による請求書払などは利用できないケースが多いです。

月払

保険期間中の保険料を、月ごとに分割して支払うのが「月払」です。
一括払や年払と比べると1回に支払う保険料がもっとも安くなります。ただし、月払には所定の割増が適用されています。

ソニー損保より補足説明

月払・保険期間別の火災保険料比較
保険期間/
保険料支払方法
1年/月払 2年/月払 3年/月払 4年/月払 5年/月払 1年/一括払
保険料 2,340円 2,206円 2,184円 2,162円 2,140円 2万6,725円
5年間の総保険料 14万400円 13万2,360円 13万1,040円 12万9,720円 12万8,400円 13万3,625円
【算出条件】
所在地:東京、構造級別:H構造、建築年月:2025年1月、保険始期日:2025年1月1日、水災リスク区分:3、基本補償:火災・落雷・破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、火災保険金額:建物3,000万円、地震の補償:なし、家財の補償:なし、免責金額(自己負担額):なし、ソニー損保の新ネット火災保険での試算結果
  • 25年1月以降に保険料の改定がない場合
  • 算出条件を元にした保険料であり、実際にご契約する際の保険料を保証するものではありません。
  • 5年間の支払総額は月払の保険料に5年分を掛けた理論値で算出

そのため同じ保険期間で比べると、一括払、年払よりも保険料の総額は高くなります。それでも保険期間を2〜5年に設定して月払にしていた場合、保険期間1年で一括払をするより5年間の保険料の総額は安くなります。
なお、月払では通常、口座振替やクレジットカード払が可能なケースが多いです。コンビニ払や郵便局等での払込票払い、銀行振込による請求書払などはできません。

保険料を抑えたいなら保険期間を長期にした一括払を選ぶのがおすすめ

以上でみてきたように、保険料の負担をより抑えたいときは、以下の2つがポイントになります。

現在、新規加入時に設定できる保険期間は最長5年です。保険期間を5年として、5年間分の保険料をまとめて払う一括払にすれば、補償内容が同じでも、同じ保険期間中に支払う保険料の総額はもっとも抑えられることになります。

ソニー損保より補足説明

保険期間・保険料支払方法別の火災保険料比較
保険期間/
保険料支払方法
1年/月払 1年/一括払 5年/年払 5年/一括払
保険料 2,340円 2万6,725円 2万4,588円 11万5,986円
5年間の総保険料 14万400円 13万3,625円 12万2,940円 11万5,986円
【算出条件】
所在地:東京、構造級別:H構造、建築年月:2025年1月、保険始期日:2025年1月1日、水災リスク区分:3、基本補償:火災・落雷・破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、火災保険金額:建物3,000万円、地震の補償:なし、家財の補償:なし、免責金額(自己負担額):なし、ソニー損保の新ネット火災保険での試算結果
  • 25年1月以降に保険料の改定がない場合
  • 算出条件を元にした保険料であり、実際にご契約する際の保険料を保証するものではありません。
  • 5年間の支払総額は月払の保険料に5年分を掛けた理論値で算出

火災保険の支払方法の選び方のポイント

年々、自然災害による被害増加などで保険金の支払いが増えています。そのため、火災保険料は近年引上げ傾向で、負担増となる世帯も増えています。物価高で家計への影響も大きくなっていますが、保険料を抑えるために必要な補償を削ることはおすすめしません。そんなときはまず、保険料の支払方法の選び方で保険料を抑えることを検討しましょう。

保険期間と支払方法の組合せで保険料を比較する

保険期間を5年にして支払方法を一括払にすることがもっとも保険料を抑えられる支払方法ですが、ほかにも保険料を抑える方法はあります。保険期間を長期にして年払、あるいは月払にすると、保険期間1年で保険料を毎年一括払とするより、保険料を抑えられます。

ただし、保険会社や条件により異なる場合があるため、必ず試算をしてから契約するかを判断しましょう。

なお、火災保険に地震保険を付帯する場合、火災保険期間1年の一括払なら、地震保険も同様の保険期間1年の一括払になります。火災保険期間が5年までの長期のときは、地震保険期間を1年とし、翌年から自動継続で保険料を年払する、あるいは地震保険期間を火災保険期間と同期間にして、契約時に火災保険料と地震保険料をあわせて一括払する方法があります。長期一括払をすると、地震保険にも割引(長期係数・下表参照)が適用され、年払と比べ保険料が抑えられます。

地震保険の長期係数
保険期間 地震保険の係数(年払保険料に乗じる割引率)
2年 1.9
3年 2.85
4年 3.75
5年 4.7
  • 2022年10月1日以降始期契約
  • 地震保険の係数(年払保険料に乗じる割引率)は各社一律です。

火災保険の支払方法を変更する際の注意点

「年払から月払に変更したい」「保険期間が1年で支払方法は一括払だった火災保険を、長期一括払にして保険料を抑えたい」このように、火災保険料の支払方法を変えたいときは、現在契約している火災保険を解約して、新たな火災保険に加入し直す手続きが必要です。解約や新規加入に関する注意点をおさえておきましょう。

契約している火災保険を途中で解約した場合、支払った保険料の一部が戻ってくることがある

長期一括払した火災保険契約を解約して新たな保険に加入し直すと、すでに支払った保険料がムダになってしまうのでは、と気になるかもしれません。しかし、保険期間の途中で火災保険を解約した場合、経過していない保険期間(=未経過期間)分の保険料が戻ってきます。たとえば保険期間5年の火災保険を1年後に解約すると、まだ経過していないおよそ4年分にあたる保険料が解約返戻金として戻ってくるといった具合です。ただし、解約の時期が満期直前だと戻らないことがあります。また、保険会社により解約返戻金の計算方法が異なる場合があるので、現在契約している保険会社に確認してみましょう。

解約手続き前に新規契約を。無保険期間を作らない

解約にあたり注意が必要なのが、新たな火災保険に加入するまでの間に補償が切れないようにすることです。現在契約している火災保険を解約し、新しい火災保険に加入する場合、解約してから新たな契約までに日にちが開いてしまうと、空白期間に火災や自然災害などで損害が発生した場合に補償されない「無保険状態」になってしまいます。そのため、解約する場合には無保険期間が生じないようにすることが重要です。

家計の状況に合わせた支払方法を選択することが重要

以上のように、火災保険料の支払い方法は3つあり、それぞれメリット・デメリットがあります。わが家の家計状況に見合った支払方法になっているかこの機会に既存の契約を見直してみて下さい。

執筆者清水香1968年東京生まれ。CFP 登録商標 認定者。FP1級技能士。社会福祉士。消費生活相談員資格。自由が丘産能短期大学兼任教員。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。2002年、(株)生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。公式ウェブサイト(外部サイト)