火災保険に無駄なく加入するには?
保険料を抑えるポイントを解説
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住宅の所在地や構造などで、火災保険料の水準はある程度決まります。他方、補償や特約、あるいは保険期間や保険料の支払方法の選び方でも保険料は変わってきます。火災保険料を抑えるため、具体的にどのようなポイントに留意すればよいか、以下で解説します。
契約者が選べない「保険料を決める要素」
私たちが負担する火災保険料は、どの場所の、どのような住宅に住むかなどの住環境により、個々に異なります。
要素 | 保険料が |
保険料が |
---|---|---|
居住地 | 災害 |
災害 |
住宅の |
マンション |
木造住宅 |
築年数 | 短い | 長い |
保険 |
低い | 高い |
住宅の所在地や構造によって火災や自然災害等で損害を受けるリスクが異なるため、災害リスクの高い居住地よりも低い居住地、木造の住宅よりもマンションのほうが保険料は安くなる傾向にあります。また、近年は築年数を重ねた住宅で風水災や水濡れによる損害等が大きくなりやすい傾向にあることから、築年数によっても保険料に差異が生じます。
このように火災保険料の多少は、住宅が損害を受けるリスクの高さを示すサインとも言えます。
同じ構造の住宅であっても、より大きな家のほうが建築費は一般に高くとなるため、設定する保険金額も高くなり、その分保険料も高くなります。
私たちが負担する火災保険料のもとになるのは、その住宅のリスクを踏まえて決定される保険料率です。保険料率に住宅の保険金額(通常は、再調達価額=住宅再建に必要となる金額)をかけたものが保険料となるため、保険金額が高くなれば、保険料も高くなるのです。
火災保険金額を設定する際の注意点
火災保険金額を設定する際は注意点があります。それは、火災保険金額を再調達価額にあわせて設定することです。
火災保険の目的は、住宅の原状回復、つまり損害を受けた分を穴埋めすることです。ある程度自由に保険金額を決められる生命保険とは異なり、火災保険では、たとえ好きな金額を設定したとしても、受けた損害額以上の保険金は支払われません。
火災保険金額は、所有する住宅と同等の住宅の再建が可能な「再調達価額」で設定するのが基本になります。
具体的な数字で確認してみましょう。
- @ 「再調達価額2,000万円の住宅 → 保険金額2,000万円」
- これが適切です。住宅が焼失したときの損害額は、損害時の再調達価額である2,000万円です。保険金額を再調達価額である2,000万円としていれば、2,000万円の保険金が支払われます。
- A 「再調達価額2,000万円の住宅 → 保険金額3,000万円」
- 住宅が焼失したときの損害額は2,000万円なので、支払われる保険金は2,000万円です。1,000万円分多く保険料を負担していたとしても3,000万円は支払われません。
- B 「再調達価額2,000万円の住宅 → 保険金額1,000万円」
- 住宅が焼失したとき、支払われるのは1,000万円です。火災保険で支払われる保険金は、損害時の再調達価額、あるいは保険金額のどちらか低いほうが上限となります。そのため再調達価額が2,000万円でも、支払われる保険金は1,000万円となり、所有する住宅と同等の住宅再建はできません。また、損害額が1,000万円以下であっても、損害額と同額の保険金が支払われない場合があります。
契約時は通常、住宅の再調達価額で保険金額を設定することがほとんどでしょう。しかし、契約時に適切な保険金額を設定したとしても、契約後に建築費が変動すれば、再調達価額も変わります。実際に損害を受けたときは、損害を受けた時点の再調達価額で損害額が判定されます。
たとえば保険期間35年の火災保険に過去加入された方などが、建築費が変動しているにもかかわらず保険金額を長年見直さずにいると、上記ABのようなことが起こり得ます。そのため、定期的に適切な火災保険金額に見直しておくことが必要になります。わが家の再調達価額が現時点でいくらなのかは、損害保険会社に問合せれば確認できることもあります。
このように、適切な火災保険金額で契約しておくことは、保険料の無駄を防ぎ、かつ必要な保険金を適切に受取るための大前提となります。居住地や住宅の状況で火災保険料の水準はある程度決まるため、ここで契約者が保険料を抑える余地はあまりありません。
契約者が選べる「保険料を決める要素」
他方、私たちの選択次第で保険料を抑えることができる要素もあります。
要素 | 保険料が |
保険料が |
---|---|---|
補償の |
狭い | 広い |
特約 | 付帯 |
付帯 |
地震保険 | 付帯 |
付帯 |
保険期間 | 長い | 短い |
保険料の |
一括払 | 分割払(年払・月払) |
一般に、保険期間が長いほうが、保険料は割引かれて安くなります。補償内容が同じ、かつ年1回保険料を支払うことは同じでも、保険期間1年で更新を続けるより、保険期間5年とするほうが、5年間の総額の保険料は安くなります。(※)
- 5年間保険料が変わらない前提
また、同じ保険期間5年であっても、年1回保険料を支払う年払より、5年分の保険料を契約時に一括で支払う一括払のほうが、5年間の総額の保険料は安くなります。
つまり、保険期間を長くして一括払にすると、補償内容を変えなくても保険料をより抑えることができます。
火災保険でないと備えられないリスク・貯蓄でも備えられるリスクを切分ける
補償の選び方でも保険料は変わってきます。補償の範囲を広くしたり、特約を付帯したりすれば、言うまでもなく保険料が高くなります。補償範囲と保険料は比例するため、補償や特約を絞り込めば、保険料を抑えることができます。
他方、生活基盤が失われるリスク、とりわけ地震や風水災など自然災害の補償を絞り込むことには、より慎重さが必要です。
特約は、他の契約との重複に注意しましょう。
たとえば、個人賠償責任特約は、火災保険のほか自動車保険や傷害保険などにも付帯できます。
個人賠償責任特約で補償されるのは基本的に実損額までです。重複して契約しても、契約のそれぞれから損害額以上の保険金が支払われるものではありません。1億円超など適切と思う保険金額を確保できているなら、重ねて契約する必要はないでしょう。
火災保険・地震保険で備えたい生活基盤を揺るがすリスク
火災保険は、地震や噴火、これらによる津波を原因とする建物や家財の損害を対象外としています。地震等による損害をカバーするには、地震保険の付帯が必要です。地震保険を付帯すれば、その分保険料は高くなります。しかし、地震は場所を選ばず、どこでも発生し得る災害で、生活基盤に被害を及ぼすこともあることから、地震保険は可能な限り優先したいところです。
また、ハザードマップ上で浸水や土砂災害による被害が生じる可能性があるなら、水災補償は必要でしょう。
これらの自然災害による損害は、以下のようなリスクがあると考えられます。
- 突然、生活基盤にダメージが及ぶ恐れがある
- 公的支援だけでは原状回復が困難になる恐れがある
- 貯蓄では対応が困難になる恐れがある
めったに起きないものの、ひとたび起きればその後の生活に影響がおよび、ライフプランに軌道修正を余儀なくされる恐れがあります。貯蓄での対応が難しいこうしたリスクには、火災保険・地震保険でカバーするのが現実的です。
他方、以下のような事態であれば、必ずしも火災保険で備える必要はないかもしれません。
- 受ける損害がある程度許容できる
- 家計への影響が限定的
- 貯蓄で対応可能
備えの手段を備え検討したうえで、わが家により合理的な準備方法を選択するといいでしょう。
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