火災保険・地震保険は年末調整、
確定申告で控除対象になる?
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地震保険は、年末調整や確定申告の手続きで控除を受けられます。
ここでは、火災保険や地震保険の控除対象や金額、手続きについて詳しく見ていきます。
火災保険は年末調整・確定申告による保険料控除の対象外
火災保険や傷害保険などで受けられた損害保険料控除は、2006年末でなくなりました。火災保険に加入しても、現在は控除を受けられません。ただし、2006年までに契約した積立型保険など一定の長期損害保険には経過措置があり、現在でも控除が受けられます。
旧長期損害保険として地震保険料控除の対象になる保険契約
2006年末までに締結し、満期返戻金等があり、保険(共済)期間が10年以上の契約で、2007年以降にその損害保険契約等の変更をしていないもの
- 例
- 上記要件を満たす損害保険会社の各種積立保険、JA共済の建物更生共済など
地震保険は「地震保険料控除」で所得控除の対象となる
一方、地震保険料には「地震保険料控除」があり、控除額は、所得税と住民税のそれぞれについて以下の通りとなります。
- 所得税:最高5万円
- 住民税:最高2万5千円
所得税率が20%、住民税率が10%の場合、最高で合計1万2,500円税金が安くなります。
世界中で起きているマグニチュード6.0以上の地震のうち、2000年〜2009年にかけてその2割が日本付近で起きています。(※)首都直下地震や南海トラフの巨大地震の発生も切迫しているとされます。こうしたなか、生活者が自ら住宅や家財の損害をカバーする手段となるのが、地震保険です。
より多くの生活者が地震損害に備えるためには、国による支援も重要です。そこで、それまでの損害保険料控除が2006年度税制改正で見直され、2007年に地震保険料控除が創設されました。
地震保険料控除の対象になる住宅
地震保険料控除が受けられるのは、「自分や生計を共にする家族が所有し、常時居住している生活用の住宅」または「家具」「電化製品」「衣服」などの「生活用の家財」を対象にした地震保険契約です。
持ち家世帯の住宅および家財はもちろん、賃貸世帯が契約している家財の地震保険契約も控除の対象です。
一方、居宅に店舗や事務所が併用された店舗併用住宅では、居宅部分の地震保険料のみ控除対象になります。
他方、空き家など常時利用していない住宅は地震保険の契約は原則できませんが、仮に加入できる場合でも、地震保険料控除の対象にはなりません。
地震保険料控除の対象になる契約
共済に付帯する地震特約等も対象
地震保険料控除の対象になるのは、地震等の損害を補てんする保険金等が支払われる契約のうち、その年の1月から12月までに支払った保険料です。
保険期間が1年を超える契約で保険料を一括払した場合でも、原則として1年分の保険料に換算した額が毎年の控除対象保険料になり、控除が毎年受けられます。
なお、保険会社の火災保険に付帯する地震保険をはじめ、JA共済や都道府県民共済などの火災共済に付帯する地震特約についても、掛金の地震保険料控除対象掛金部分が地震保険料控除の対象になります。
火災保険に付帯できる「地震危険等上乗せ特約(※)」の特約保険料も、控除の対象です。地震保険金額は、火災保険金額の30〜50%の範囲内で設定することになっていますが、地震保険金と合計で火災保険金額の最大100%が補償される特約で、一部の保険会社が提供しています。
- 特約名称は保険会社により異なります。
控除の対象にならない契約も
ただし、地震等が原因の火災による損害を補償する「地震火災費用特約」では、控除を受けられません。
また、住宅が全壊等の損害を受けたとき、定額の保険金が支払われる少額短期保険の地震費用保険、一定の地震発生時に迅速に見舞金を支払う保険会社の地震関連の費用保険金など、地震に備える保険であっても対象にならないものがあります。
地震保険料控除の金額
そもそも控除とは
そもそも「控除」とは何か、おさらいしておきましょう。
私たちが支払う所得税や住民税は、「課税所得」の額に税率をかけて計算されます。
たとえば、給与所得者の場合、
- 年収(源泉徴収票の「支払金額」)から、給与所得者の必要経費にあたる「給与所得控除」を引いて「給与所得」を求め、
- さらに「各種控除」を引いて、「課税所得」が算出されます。
所得税率が同じなら、課税所得が低いほど所得税は安くなるため、控除が多いほど税金は安くなります。
各種所得控除には、たとえば以下のものがあります。
- 基礎控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- 地震保険料控除
など
冒頭で紹介した通り、地震保険料控除の金額は、
- 所得税が最高5万円
- 住民税が最高2万5千円
です。支払った保険料が5万円以下の場合はその全額、5万円を超える場合は一律5万円が給与所得から控除されます。
積立型保険など旧長期損害保険料の控除額は最高1万5千円で、負担した保険料が
- 1万円以下の場合はその全額
- 1万円超2万円以下の場合は支払金額の50%に5千円を加えた金額
- 2万円超の場合は1万5千円
が給与所得から控除されます。
地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、両方の合計額が最高5万円まで控除されます。
- ひとつの損害保険契約等または長期損害保険契約等で、地震保険料および旧長期損害保険料の両方を支払っている場合には、納税者の選択により地震保険料または旧長期損害保険料のいずれか一方の控除を受けることになります。
区分 | 年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|---|
@地震保険料 | 50,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
50,000円超 | 一律50,000円 | |
A旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
10,000円超〜20,000円以下 | 年間支払保険料×1/2+5,000円 | |
20,000円超 | 一律15,000円 | |
@Aの両方がある場合 | @+Aの控除額の合計額が 50,000円以下 |
@+Aの合計額 |
@+Aの控除額の合計額が 50,000円超 |
一律50,000円 |
住民税の地震保険料控除の金額は所得税の半分で、以下のとおり。最高2万5千円が給与所得から控除されます。
区分 | 年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|---|
@地震保険料 | 50,000円以下 | 年間支払保険料×1/2 |
50,000円超 | 一律25,000円 | |
A旧長期損害保険料 | 5,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
5,000円超〜15,000円以下 | 年間支払保険料×1/2+2,500円 | |
15,000円超 | 一律10,000円 | |
@Aの両方がある場合 | @+Aの控除額の合計額が 25,000円以下 |
@+Aの合計額 |
@+Aの控除額の合計額が 25,000円超 |
一律25,000円 |
地震保険料控除を利用して、実際に安くなる税金はどのくらいでしょうか。
- 年収500万円(所得税率10%・住民税率10%)の場合、最大7,500円
- 年収800万円(所得税率20%・住民税率10%)の場合、最大1万2,500円
が所得税と住民税の合計で安くなる税金の目安です。
地震保険料控除を受ける手続きの方法
地震保険料控除の手続きは、年末調整や確定申告で行います。
所得の内容によって、方法は以下の2通りに分かれます。
- 給与所得者:年末調整
- 自営業者等:確定申告
ただし、給与所得者でも年収が2,000万円を超えている人や、副業の年間収入が20万円を超えるなどの場合は確定申告が必要です。
地震保険料控除証明書を事前に用意する
初年度の「地震保険料控除証明書」は、一般的に契約後に送付される保険証券に添付されています。
2年目からはおおむね10月以降、保険会社等から「地震保険料控除証明書」がはがきや封書で契約者に郵送されます。
旧住宅金融公庫で融資を受けて契約した特約火災保険についても、特約地震保険料部分の控除証明書が発行されます。控除証明書が届かない、あるいは紛失した場合は、保険会社や代理店に連絡して再発行を依頼しましょう。
地震保険料控除を受ける方法
給与所得者は、地震保険料控除証明書を「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して勤務先に提出すれば手続きは完了です。
自営業者は、確定申告書に地震保険料に関する事項を記載して申告します。所轄税務署に書面で提出する場合は、控除証明書から数字を転記し、必要に応じて計算しましょう。
国税庁の国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用する場合、「確定申告書等作成コーナー」で控除証明書に記載されている保険料を記入すると、自動で計算できます。
所得税の年末調整や確定申告を行った場合、住民税(地方税)の申告は不要です。よって住民税の地震保険料控除は自動的に受けられます。
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