海外旅行の準備と手続き、最低限やっておくべきことは?
チェックリストつきで解説
期待も不安も大きい海外旅行。特に出発前の準備や手続きは、何をいつまでにやっておけばいいのか、分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは海外旅行に向けた最低限の準備とそのスケジュール、また現地での不測の事態に備える事前対策について、整理しました。
番号 | チェック項目 | チェック |
---|---|---|
1 | パスポートの準備 | |
2 | ビザ(査証)の確認 | |
3 | 航空券の手配 | |
4 | クレジットカード&通貨の準備 | |
5 | 海外旅行保険への加入 | |
6 | 携帯電話・スマートフォンの設定確認 | |
7 | 薬や服装の準備 |
チェックリスト・その1:パスポートの準備
まず、何はなくともパスポート(旅券)。これがなくては始まりません。パスポートは全世界で通用する身分証明書です。また、渡航先国に対して保護を要請する公文書としての性格も持っています。
初めてパスポートを申請する際の流れは以下の通りです。
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@以下の書類をすべて準備します。
- 1. 一般旅券発給申請書
- 2. 戸籍謄本または戸籍抄本
- 3. 住民票の写し
- 4. 写真
- 5. マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認用書類
一般旅券発給申請書は各都道府県のパスポート申請窓口、または外務省ウェブサイトからダウンロードできます。
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A上記書類をすべて揃え、お住まいの(住民登録をしている)都道府県のパスポート申請窓口に申請します。申請から受理までは通常1週間程度(土日、休日を除く)かかります。
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B後日、申請者本人が再び申請窓口に行き、パスポートを受取ります。受取りには「申請の際に渡される受理票」「手数料(必要額の収入証紙および収入印紙を受理票に貼付)」が必要です。なお、手数料は5年間有効なパスポート(12歳以上)で1万1000円、10年間有効なパスポート(18歳以上)で1万6000円となっています。
パスポートは有効期限に注意!
パスポートを所有していても、残存有効期限によっては渡航ができない可能性があるため注意が必要です。実際、空港でいざチェックインしようとした際に期限不足が判明し、渡航を諦めざるを得ないケースもあるようです。
パスポートの残存有効期限は国により、また、入国の目的や滞在期間により異なりますが、おおよそ3〜6カ月が一般的です。事前に渡航先国の大使館などに必要となるパスポートの残存有効期限を確認し、不足している場合には速やかに新しいパスポートへの切り替えを行いましょう。渡航1カ月前にはチェックを済ませておきたいところです。
ちなみに、パスポートはあらかじめコピーをとっておくと、万が一紛失してしまった時の再発行手続きに使えるため安心です。同じく再発行時に必要となる顔写真2枚と合わせ、常に携帯しておくようにしましょう。
チェックリスト・その2:ビザ(査証)の確認
パスポートとは別に、入国に際しビザ(査証)が必要となる場合があります。
ビザとは、渡航先国が国外からの旅行者などに対し、「入国の可否」を審査のうえ発行するもの。日本人(日本国籍保持者)は多くの国で「ビザなし渡航」が認められているものの、ロシアなど一部の国では渡航前のビザ取得が求められます。
こちらもパスポート同様、余裕を持って渡航1カ月前には準備を進めたいところです。なお、ビザの取得にはパスポートが必要になるため、持っていない場合は、まずパスポートの取得から進めましょう。
また、ビザが免除されている国でも、たとえばアメリカでは「ESTA(電子渡航認証システム)」の申請が必須となっています。渡航前にオンラインで渡航認証を受けるもので、この手続きをふんでいない場合、飛行機の搭乗や入国ができなくなってしまいます。
過去の海外旅行で認証を受けた場合でも、有効期限(2年)が過ぎていたり、有効期間中でもパスポートの有効期限切れや新規取得、名前が変わったりした場合などには再申請が必要です。ビザ同様、こちらも早めの取得が望ましいでしょう。
チェックリスト・その3:航空券の手配
出発日と帰国日、行き先が決まったら、航空券を手配しましょう。こちらも早めの予約が望ましく、特に大型連休やお盆、年末年始などの繁忙期は3カ月前には手配を完了させておきたいところです。
チケット手配の際、まずチェックすべきは予約時の氏名と性別です。氏名はローマ字での表記がパスポートに記載のものと完全に一致していないと搭乗することができず、その場合は再度の購入が必要になります。特に、入籍などで名前が変わった直後は要注意。パスポートが旧姓のままであれば、それに合わせて旧姓で予約する必要があります。
また、航空券もパスポート同様、控えをとっておくと安心です。eチケットは2部プリントアウトしておき、別々の場所に保管しておきましょう。
そのうち1部は「eチケット控え」として、チェックインカウンターでの搭乗手続き(搭乗券の受取り)に使えます。入国審査時に「eチケット控え」の提示を求められることもありますので、必ず予備を含めて携行しておきましょう。
なお、航空券は購入後に時間や便名が予告なく変更されることがあります。出発前はもちろん、帰国便についても現地で最新情報をチェックしておくといいでしょう。
チェックリスト・その4:クレジットカード&通貨の準備
現金
現金は現地通貨のほか、米ドルとユーロ、さらには日本円の少額紙幣も準備しておくといいでしょう。国や地域によっては米ドルやユーロの方が現地通貨より便利なケースもありますし、日本の1000円札で支払いが可能なこともあります。現地通貨の手持ちが少ない時などに重宝するでしょう。
クレジットカード
また、海外旅行では、現金の他にクレジットカードがあると便利です。特に近年はキャッシュレス決済が進んでいる国もあり、スウェーデンのようにICチップ搭載のクレジットカードでなければ利用できないケースもあります。大量の現金を持ち歩くのは、スリ被害に遭った際や財布を紛失した際のリスクを高めるという点でも避けたいところです。
できれば別会社のクレジットカードを2種類以上を用意しておくと、使える店舗が増えてより安心です。紛失時に備えてカード番号や緊急連絡先をメモしておくといいでしょう。
トラベラーズチェック
現金、クレジットカードのほか、海外旅行者向けの小切手である「トラベラーズチェック(T/C)」を利用するのも手です。T/C購入後は必ず、すべての小切手の所有権署名欄にパスポートと同じ氏名表記でサインをします。サインがないと、紛失・盗難時に悪用されたり、再発行ができなくなってしまう可能性がありますのでご注意を。また、こちらも紛失時に備えてT/Cの番号、緊急時連絡先をメモしておきましょう。
なお、これらの現金、クレジットカード、T/Cをすべて一つの財布で管理するのは好ましくありません。紛失や詐欺に遭った際に一文無しで困らないよう、複数箇所に分けておくことをオススメします。
チェックリスト・その5:海外旅行保険への加入
旅先での不測の事態に対処するため、「海外旅行保険」にも加入しておきたいところです。海外での盗難被害、病気、ケガなどに備えておくことができます。
特に、海外での医療費は高額になるケースも多く、手術や入院ともなれば数百万円、数千万円の治療費を請求されるケースも珍しくありません。クレジットカードに海外旅行保険が付帯されているものもありますが、補償内容に不安がある場合は、それとは別に治療費をカバーできる保険に加入おくと安心でしょう。
また、東欧諸国など、外国人旅行者に対し海外旅行保険への加入を義務付けているケースもあります。渡航先国の在日大使館などに問い合わせ、必要な補償内容を確認しておきましょう。
海外旅行保険の保険証書や、購入時に渡されるハンドブックは必ず現地に持参を。ハンドブックには保険を使用する際の連絡先、日本への緊急連絡先、治療を受けられる現地病院の一覧などが書いてあり便利です。
インターネット契約の場合は、冊子ではなくメールで必要な情報が送られることもあるので、印刷しておくといいでしょう。いずれも無い場合も、事前に調べて証券番号の控えとともにメモを用意しておくと安心です。
チェックリスト・その6:携帯電話・スマートフォンの設定確認
海外で携帯電話やスマートフォンを使用(通話やデータ通信)すると、通信費用が高額になってしまう可能性があります。現地でいつも通りに使用したい場合は、定額で利用できる海外旅行向けのプランを使用しましょう。契約しているキャリアの海外旅行向け定額サービスの内容や設定方法、また、そもそも海外でも使える機種かどうかも確認しておきましょう。
通話はせず使用する場合は、渡航中のスマホの設定を「機内モード」にしておくと安心。通話料やデータ通信料が発生しなくなります。なお、機内モードでも機内やホテルのWi-Fi、またはレンタルした現地用のWi-Fiルーターなどを使えば、インターネットに接続できます。
通話のみ行いたい場合は、データローミング設定をオフにしておけばデータ通信料金の課金を回避できます。こちらも、Wi-Fiを利用してインターネットにつなぐことが可能です。
また、充電機器はコンセント型や電圧の違いにより、現地でそのまま使用できない可能性もあります。現地で使える変圧器やプラグなどを必ず持参するようにしましょう。
チェックリスト・その7:薬や服装の準備
現地で体調を崩した時のため、常備薬も忘れず持参しましょう。海外の市販薬を買うよりも、普段服用しているもののほうがやはり安心。絆創膏や消毒液など、ケガをしたときに最低限の手当てができる道具も準備しておきたいところです。
また、持病がある人、アレルギーがある人、治療中の病気があるなど健康不安を抱える人は、その治療内容を明記した「英文処方箋(英文投薬証明書)」を準備しておくと安心。緊急時でも、現地でスピーディーに的確な治療を行うことが可能となります。まずは主治医に相談してみるといいでしょう。
最後に服装ですが、現地の気温、時間や場所による温度変化に対応できるものを用意しておきましょう。ホテルやレストランによってドレスコードがある場合や、寺院などの宗教施設では服装が厳しく制限されている場合もあります。訪れる場所や目的に合わせ、ふさわしい服装をチェックしておくことが必要です。
万全の準備で楽しい思い出を
海外では日本の常識が通用せず、予期せぬトラブルも起こり得ます。そんな時にスムーズに、慌てずに対応するためには、やはり事前準備がものを言います。
初めての海外旅行を楽しい思い出にするためにも、旅行前にチェックリストを作成するなどして、万全の準備を行いたいものです。