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火災保険の「飛来物や外部からの物体の衝突」とは?
風災補償との違いや補償されるケースを解説

建物の外部からの物体の飛来、あるいは衝突などで建物や家財に損害を受けたときは、火災保険で補償されます。ドローンや車両が衝突する事故などのほか、台風や暴風雨が原因で物体が飛来して損害を受ける場合もあります。ただし、どのような原因で受けた損害であるかにより、適用される補償は異なります。以下で詳しく説明します。

「飛来物や外部からの物体の衝突」とは

火災保険では、外部からの物体の飛来や衝突などで建物や家財に損害を受けたときも補償を受けられます。
たとえば、以下のような損害を受けたケースです。

第三者が操縦したドローンが屋根に落下し屋根が破損した
鳥が飛来し自宅の窓ガラスに突っ込み破損した
第三者の自動車が自宅の門扉に接触し破損した
隣家の屋根瓦が崩落、自宅が破損した
第三者が投げたボールが外から飛んできてノートパソコンが壊れた など

このように、建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突、接触等により、建物や家財が損害を受けたときには、「飛来物や外部からの物体の衝突」として補償を受けられます。補償の名称は損保会社により異なり(※)、「物体の落下、衝突等による損害」などと言われていることもありますが、補償内容はおおむね同じです。

ソニー損保より補足説明ソニー損保の火災保険では、「水ぬれ、外部からの物体の衝突など」という名称です。

「飛来物や外部からの物体の衝突」では補償されないケース

「飛来物や外部からの物体の衝突」の補償対象とならず、他の補償や地震保険によって補償されるケースもあります。

「風災、ひょう災、雪災」で補償されるケース

物体の落下や飛来による損害でも、その原因が台風や暴風雨などで起きることもあります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 暴風により隣家の屋根瓦が落下し自宅が破損した
  • 落雪でフェンスなどが破損した
  • 雹(ひょう)によって太陽光パネルが破損した など

このように、台風や暴風雨、雹(ひょう)、あられや雪によって物体等が落下、飛来して生じた損害は、「風災、ひょう災、雪災」として補償されます。したがって、これらが原因で生じた損害は、「飛来物や外部からの物体の衝突」では補償されません。補償を受けるには「風災、ひょう災、雪災」の補償を付帯しておく必要があります。

なお、砂じんや粉じん、ばい煙などの落下または飛来については「飛来物や外部からの物体の衝突」「風災、ひょう災、雪災」ともに補償対象外となります。

「地震保険」で補償されるケース

地震が原因で起きた物体の飛来や落下による損害は、火災保険では補償されず、地震保険で補償されます。
ただし、地震保険は火災保険とは異なり、実際の修理費が支払われるのではなく、地震保険金額の一定割合が支払われる仕組みです。
たとえば以下のようなケースです。

  • 地震により隣家が倒壊、自宅や家財に損害が発生した
  • 地震により隣家から屋根瓦が落下、自宅が損壊した
  • 噴火にともなう溶岩流や火砕流によって、自宅に火災・損壊・埋没・流失などの損害が発生した など

このように損害保険では、その損害が「何が原因で生じたか」で適用される補償が変わります。自然災害由来でない物体の飛来や落下、衝突は「飛来物や外部からの物体の衝突」で、台風や雹(ひょう)や雪による損害は「風災、ひょう災、雪災」で、地震や津波、噴火が原因で生じた損害であれば「地震保険」で補償されます。
契約の際にこうした点をしっかりおさえておくと、被害を受けた際に慌てずに済みますし、トラブル防止にもつながります。

第三者の所有物により被った損害は

なお、物体の飛来や落下が第三者の過失が原因で生じた場合には、加害者に法律上の損害賠償責任が生じます。そのため、受けた損害について加害者に賠償請求できます。たとえば、第三者の自動車が自宅に衝突するなどして損害を受けた場合、通常は加害者の自動車保険の対物賠償保険で修理を行うことになります。
このように、加害者からすでに損害賠償を受けている場合には、飛来物や外部からの物体の衝突を補償する契約をしていたとしても、自分の火災保険から二重で補償を受けることはできません。

他方、他人から受けた損害であっても、相手からの損害賠償に先行して自分の火災保険から損害保険金を受取ることはできます。その場合、被害者が持つ加害者への損害賠償請求権は、損保会社が被保険者に支払った損害保険金の範囲で損保会社が取得します。そのため損害保険金を受取ったあと、第三者からさらに損害賠償金を受取ることはできません。
このように損害保険は、損害の「穴埋め」がその役割であることから、受けた損害以上の保険金を受取れない仕組みとなっています。
なお、第三者から受けた損害であっても、たとえば地震で隣家が崩落したため自宅が損壊するなど、自然災害が原因で生じた損害は原則、不可抗力とされます。そのため、加害者に賠償請求できません。

「飛来物や外部からの物体の衝突」で支払われる保険金

火災保険の目的は、損害を受けた建物や家財の原状回復です。そのため、実際に生じた損害額、すなわち修理費に相当する金額が保険金として支払われます。事故が起きて損害を受けたときは、損害を受けた箇所の写真や見積、あるいは損保会社による損害調査により、実際に生じた損害額を算出して保険金が計算されます。
ただし、免責金額(自己負担額)を設定している場合には、その金額を差引いた金額が損害保険金として支払われます。

なお、火災保険では損害保険金だけでなく、それに加えて費用保険金が支払われる場合があります。費用保険金は、損害保険金が支払われる場合に上乗せして支払われる保険金で、自動的に付帯されている場合もあれば、任意に付帯できる場合もあります。
そのうちの「残存物取片づけ費用」は、損害を受けた建物や家財の残存物の取片づけの実費が支払われます。例えば、損害を受けた建物の取壊し費用や取片づけ清掃費用、搬出費用などが該当します。支払われる保険金は、たとえば損害保険金の10%などとしている場合がありますが、損保会社により異なります(※)。また、損保会社によってはこれ以外の費用保険金が支払われる場合もあります。

ソニー損保より補足説明ソニー損保の火災保険では、修理費・残存物取片づけ費用・損害範囲確定費用・仮修理費用の合計額を保険金額×1.1倍を限度にお支払いします

飛来物や外部からの物体の衝突による損害で保険金を請求する方法

飛来物や外部からの物体の落下、衝突で建物や家財に損害が生じたら、身の安全を確保したうえで以下の手順で保険金の請求を行います。

  1. 1. 損保会社へ連絡
  2. 2. 写真もしくは立会調査による被害状況の確認
  3. 3. 必要な書類の提出
  4. 4. 調査結果の連絡
  5. 5. 保険金の受取り

まずは安全を確保したうえで、破損した物体を片づけたり修理したりする前にできるだけ多方面から損害状況を撮影しておきましょう。どのような損害が生じていたかは、保険金の金額を決める証拠であり、保険金請求の際に必要不可欠です。

同時に、契約先の損保会社に損害が生じた旨の報告をしましょう。普段から事故受付窓口の連絡先を控えておくと、いざというとき、慌てずに済みます。損害額の算出にあたっては、損保会社が立会調査を行うこともあります。
損害額が決定したら損保会社から通知されますので、その金額に納得したら保険金を受取ります。

火災保険の保険金請求は契約者自身で簡単にできますし、請求時には手数料もかかりません。
しかしながら、「近所で工事をしているが、お宅の屋根が壊れている」「火災保険で無料修理できる」「難しい保険金請求をサポートする」などと勧誘し、契約を結ぼうとする住宅業者やコンサルタントが現れることがあります。無料ならと契約すると、保険金の3割を手数料として要求された、解約を申し出ると違約金として保険金の5割を請求されたなどのトラブルが、国民生活センターなどに近年、多数報告されています。このような多額の手数料を取られては、肝心の修理ができなくなってしまいます。
見ず知らずの業者が現れても耳を貸さず、絶対に相手にしないでください。トラブルに巻き込まれそうになったら、消費者ホットライン「188(いやや!)」にダイヤルして相談しましょう。

同じ飛来物による損害でも、原因によって対象の補償が異なる

以上で見てきたように、同じ物体によって生じた損害でも、何が原因で起きた損害であるかで適用される補償は異なります。とりわけ、同じ飛来物による損害であっても、「飛来物や外部からの物体の衝突」の補償と「風災、ひょう災、雪災」の補償が異なることはあまり認識されていない実情があります。思いもかけない損害を受けたときに慌てずに済むように、契約している補償の内容についても、折をみて確認してみることをお勧めします。

執筆者清水香1968年東京生まれ。CFP 登録商標 認定者。FP1級技能士。社会福祉士。消費生活相談員資格。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。2002年、(株)生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。公式ウェブサイト(外部サイト)