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火災保険で隣家からの「延焼」による損害は補償される?
隣家への損害についても解説

公開日:2023年9月28日

※この記事は、一般的な火災保険商品について説明しております。ソニー損保の新ネット火災保険の詳細はこちらからご確認ください。


火災保険では自分で起こした火災による損害のほか、隣家の火災による損害も補償されます。延焼による損害は火元から損害賠償を受けられないため、自身で火災保険に加入して財産を守るのが基本となります。以下で解説します。

火災保険は自分で起こした火災のほか、延焼による損害もカバーできる

火災保険では、自分で起こした火災のほか、隣家の火災による自宅等の延焼の損害も補償されます。ガス爆発時に引火して火災になったり、落雷により火災になったりした場合も補償されます。火災による直接的な損害ではなくても、隣家の火災への消火活動で自宅に水濡れ損害が生じたり、消防隊による延焼防止目的の住宅破壊の損害が生じたりした場合も、火災保険でカバーできます。
火災による損害として以下があげられます。

火災はめったに起きることではありませんが、ひとたび火災が起きて燃え広がれば、これまで築いた住まいや財産が焼失し、生活基盤を失うおそれがあります。こうしたとき、暮らしを立て直すために必要な手段となるのが火災保険なのです。

なお、同じ火災であっても、地震や噴火が原因で起きた火災は火災保険で補償されません。火災保険に地震保険を付帯して補償を受けることになります。

隣家の火事で被害を受けても損害賠償を受けられない!?火災保険が必要な理由

もうひとつ、火災保険が必要となる理由があります。それは、隣家が起こした火災で自宅に延焼被害を受けたとしても、隣家に故意や重大な過失がない限り、火元の隣家には法的な責任が生じず、損害賠償を受けられないためです。

私人間の日常生活ルールを定めているのは民法です。民法709条には、他人に損害を与えたら、その損害を賠償しなくてはならないとする「不法行為」の規定があります。しかし、火災はこの規定の例外とされています。民法の特別法である「失火の責任に関する法律(通称=失火責任法)」によって、民法709条の効力が打消されているからです。失火責任法は一項のみで構成されている法律で、以下のように定めています。

「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」

分かりやすく説明すると、火元がうっかり火災を起こした(=失火)ときは、民法709条の規定は適用されず、火元に賠償責任は生じない、ということです。

火災を起こせば自分の財産を失うのですから、通常は起こさないように注意をするものです。それでも、うっかりミスは誰にでもあります。かつ木造家屋が多い住宅環境のもとで、十分な防火消防能力を発揮できない状況であったりすると、損害が想定外に拡大する危険性もあります。これらすべての損害の責任を、火元が負うことは難しいのが現実でしょう。こうした理由から、この規定は設けられています。

そのため、延焼被害を受けても火元から損害賠償は受けられません。手元のお金で賄うことが難しい損害が生じた場合、自ら火災保険に加入していなければ、住宅や家財の原状回復は難しくなるでしょう。

失火責任法の対象外となるケース

他方で失火責任法は、火元の重大な過失によって起きた火災については、この限りではないとしています。つまり、重大な過失による火災には失火責任法が適用されず、火元に責任が生じるということです。
重大な過失とは、判例によれば「僅かの注意をすれば容易に有害な結果を予見し、回避することができたのに、漫然と看過したというような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」とされます。
どのようなケースが重大な過失とされるのかは、前提条件や状況により異なりますが、たとえば台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中にその場を離れて出火させたケースが、火元の重大な過失として認定されたことがあります。
火元の重大な過失で起きた火災と認定されると失火責任法は適用されず、火元は延焼先に対する損害賠償責任を負うことになるため、この場合は火元から損害賠償を受けることができます。

火災保険に加入しているか改めて確認を

内閣府の試算によれば、持ち家世帯の建物に関する火災保険・火災共済の加入割合は82%(※)です。多くの方は加入していますが、住宅ローン完済後に加入しないままとなっているケースを見かけることもあります。自身が気をつけることはできても、隣家から発生する火災をコントロールすることは困難です。火災で自宅に被害を受けてから「損害賠償を受けられないことは知らなかった」では済まないでしょう。また、隣家が賠償責任を負ったとしても、火災の場合は損害額が大きくなる可能性も高く、隣家から十分な損害賠償を受けられないことも考えられます。隣家からの延焼被害で深刻な事態を招かないよう、改めて火災保険に加入しているか、契約内容が適切かどうかを確認してみてください。

※出典:内閣府ホームページ防災情報ページ「いざというときに備えて保険・共済に加入しよう」

自分で起こした火災で隣家に被害を及ぼしたら

ここまで、隣家が起こした火災で自宅が延焼被害を受けた場合について解説してきましたが、逆に自らの失火で隣家に損害を与えた場合についても解説します。
自分で起こした火災で隣家に被害を及ぼした場合、故意や重大な過失がない限り、前述のように法律上の賠償責任は生じません。しかし、延焼先の隣家が修繕に足る火災保険金を受取れないことも考えられます。法律上の責任はないとはいえ、隣家の修繕が難しくなれば、火元として気まずい思いを払拭できないでしょう。

火災、破裂・爆発を起こし、近隣の住宅や家財を焼失または損傷させ、かつ延焼先が加入する火災保険で十分な修繕ができないときは「類焼損害補償(※)」でその損害をカバーできる場合があります。

※損害保険会社(以下「損保会社」)により名称や補償内容等は異なります。

支払われる保険金は、近隣の住宅や家財の再調達価額が限度となり、以下のように算出します。

延焼先の損害額
(再調達価額が限度)
延焼先の保険契約等の保険金
類焼損害保険金

類焼損害保険金が支払われるのは、延焼先の隣家が火災保険に加入していない、あるいは保険金を受取ってもなお修繕するのに不足が生じる場合に限られます。つまり、隣家が住宅再建に足る火災保険に加入している場合には保険金は支払われない、ということです。

補償対象も限られます。保険商品によっても異なりますが、補償対象はおおむね居住用の建物と家財となります。自動車や1個または1組30万円以上の骨とう品や宝石、通貨などの損害は補償されません。また、煙の損害や臭気付着の損害も補償対象外です。

このように、類焼損害補償は一定の補償範囲にとどまります。隣家に及ぼした損害をあまねくカバーできるものではないことを知っておく必要があります。

失火見舞費用補償で隣家へ見舞金が支払える

延焼先の隣家へ見舞金を支払える「失火見舞費用補償(※)」もあります。類焼損害補償とセットとなっていたり、特約として単独で付帯したり、自動付帯されたりしている補償です。自宅から発生した火災、破裂・爆発により他人の住宅や収容されている家財が焼失したり、破損したりした場合に、被災1世帯あたり20万円など定額の失火見舞費用保険金が支払われます。なお、この補償でも煙の損害や臭気付着の損害は補償対象外となります。

※損保会社により名称や補償内容等は異なります。

失火責任法の対象外となる場合の補償

前述のように重大な過失による火災には失火責任法が適用されず、火元は延焼先に対する損害賠償責任を負うことになりますが、このとき、火元が個人賠償責任補償特約に加入していれば、隣家に対する損害賠償金をカバーできます。個人賠償責任補償特約は、過失の重さを問わず、被保険者が過失により他人を死傷させたりモノに損害を与えたりし、法律上の損害賠償責任を負ったときに役立つ保険です。ただし、被保険者が故意に起こした事故は補償対象外になります。

他方、火元の重大な過失で起きた火災では、たとえ火元が自宅の火災保険に加入していたとしても、被った自宅の損害は火災保険でカバーできません。重大な過失により起きた火災では、約款上、火災保険金は支払われないと規定されています。重大な過失による火災を起こした火元は、隣家への損害賠償責任を負ったうえ、自宅の損害をカバーすることもできず、大変な状態に追い込まれることになります。

賃貸住宅の場合

賃貸住宅の入居者が火災を起こし、隣家に延焼被害を及ぼした場合も同様、失火責任法が適用されて民法第709条の不法行為責任による賠償責任は生じません。ただし、賃貸オーナーの所有する住宅に与えた損害については、賃貸借契約上、賃借人は借りている居室の原状回復義務を負っているため、居室の損害を修繕してオーナーに返す義務があります。

※掲載内容は公開当時のものであり、現在と異なる場合があります。

執筆者情報 : 清水 香(しみず かおり)

1968年東京生まれ。CFP®認定者。FP1級技能士。社会福祉士。消費生活相談員資格。自由が丘産能短期大学兼任教員。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランニング業務を開始。2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。2002年、(株)生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。
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