地震保険
地震保険料はどのように決まる?
仕組みを解説
日本は地震大国であり、地震保険に加入して万一の際に備えておくことが大切です。地震により損害を受けた際に、しっかり補償を受けられるかどうかで、その後の生活が変わる可能性があります。
ここでは、地震保険を正しく理解するために、保険の対象や保険金の仕組みのほか、保険料がどのように決まるのか解説します。
地震保険とは?分かりやすく解説
地震保険とは、地震や噴火、これらによる津波(以下「地震等」といいます。)を原因とする損害が生じた場合に補償される保険です。まずは、地震保険に加入する方法や保険の対象について解説します。
地震保険に加入する方法
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があります。地震保険単独では加入できませんのでご注意ください。すでに火災保険に加入している場合は、保険期間の途中でも地震保険に加入することも可能です。
地震保険の対象
地震保険の対象は、建物と家財です。
建物には、居住用の建物とその建物に付属する門や塀などが含まれます。
家財には、保険の対象となる居住用の建物に収容されている家具やテレビなどの家電のほか、衣類といった家財一式が含まれます。
建物がマンションの場合は、補償範囲が以下に区分されます。
- 共用部分:エントランスや廊下、バルコニーなど
- 専有部分:被保険者(建物・家財の所有者で補償を受けられる方)が単独で所有している住居
マンションにお住まいの方が加入する地震保険では、専有部分のみが建物の補償範囲となります。共用部分については、一般的にマンションの管理組合等が地震保険に加入することで補償されます。
地震保険で支払われる金額の目安
地震保険で支払われる保険金は、実際の修理費ではなく、対象となる建物や家財の損害の程度によって以下の4段階に区分して決定します。
支払われる保険金は、全損で地震保険金額の100%、大半損で地震保険金額の60%、小半損で地震保険金額の30%、一部損で地震保険金額の5%が支払われます。ただし、損害の程度が一部損に至らない場合は、保険金は支払われません。
損害の程度と支払われる保険金について
-
全損 金額の 100% -
大半損 地震保険
(時価額の60%が限度)金額の 60% -
小半損 地震保険
(時価額の30%が限度)金額の 30% -
一部損 地震保険
(時価額の5%が限度)金額の 5%
保険金が支払われない場合もある
地震による損害の程度が一部損に満たない場合以外にも、地震保険に加入していても保険金が支払われない場合があります。
- 保険の対象の紛失または盗難によって生じた損害
- 地震等が発生した日の翌日から10日を経過した後に生じた損害
- 「門」「塀」「垣」のみに生じた損害等
地震保険は保険金の総支払限度額が定められている
地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づいて政府による再保険制度が導入されています。この再保険とは、巨額な損害が伴う地震が発生した場合、損害保険会社の支払能力には限度があるため、再保険により政府が保険金の支払責任を分担するという仕組みです。
2024年3月現在では、1回の地震等により 支払われる保険金の総支払限度額は12兆円です。1回の地震等によって損害保険会社全社の支払うべき地震保険金総額が同額を超える場合は、保険金が減額されることがあります。
なお、財務省のウェブサイトによると、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの巨大地震が発生した際にも、保険金の支払額は総支払限度額内であり、円滑に保険金が支払われています。
地震保険料はどの保険会社でも同じ
地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき政府と民間の保険会社が共同で運営している公共性の高い保険です。地震は災害による損害額が巨額となるおそれがあり、災害の発生時期や発生頻度の予測が困難であるといった特徴もあるため、政府が保険金の支払責任を分担する「再保険」という形で成立っています。
なお、法律により補償内容や保険料が決まっているので、どの保険会社で加入しても内容に違いはありません。
地震保険は損害のすべてを補償する仕組みではない
地震保険の保険金額は、建物と家財ごとに火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定します。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度となります。
なお、地震保険を複数契約している場合は、合算して上記の限度額が適用されます。
このように、地震保険金額の設定には制限があるため、地震保険の保険金だけで建物を元どおりに建て直すことはできません。地震保険は、住まいの完全復旧ではなく、被災者の生活の安定に寄与することを目的としているからです。
地震保険の仕組みを正しく理解したうえで、地震保険に加入して「万が一」に備え、足りない分は貯蓄等で備えましょう。
なお、ソニー損保の新ネット火災保険では、「地震上乗せ特約(全半損時のみ)」をつけることで最大100%の補償(※)にできます。
- 火災保険の保険金額の100%。この特約は地震保険の保険金額を「火災保険の保険金額の50%」に設定した場合のみつけられます。
なお、地震保険の「一部損」の場合は、この特約では補償されません。
地震保険料はいくら?どのように決まるか解説
地震保険料は、地震の揺れによる損壊などの危険度合いを考慮して、以下の要素で決まります。
地震保険料を決める4つの要素
建物の状況で決定するもの
- 建物の所在地
- 所在地により地震発生リスクが異なるため、都道府県により3区分の保険料率が設定されている
- 建物の構造
- 建物の構造によって地震の揺れによる損壊や火災による焼失のリスクが異なるため、イ構造とロ構造の2つに区分されている
- 建物の免震・耐震性能に応じた割引制度
- 建物の免震・耐震性能に応じて4つの割引が設けられている
契約者自身で決定するもの
- 保険期間・支払方法
- 2〜5年で契約した場合、保険期間に応じた長期係数が設けられており、長期契約で一括払にすると保険料が抑えられる
上記のように、地震保険料は建物の所在地と構造、さらに免震・耐震性能により決まります。他方、保険期間と保険料の支払方法などは契約者が決められる要素で、選択により保険料を抑えることも可能です。
地震保険料を決める4つの要素について、順を追って解説します。
建物の所在地
地震発生リスクは地域により異なります。このため、下図のように全国を3つの地域に区分することで、こうした違いを保険料率に反映させています。
たとえば同じ建物が東京都と北海道のそれぞれにあった場合、3等地の東京都よりも1等地の北海道にある建物のほうが保険料は安く設定されます。
建物の構造
建物の構造によって、地震の揺れによる損壊や火災による焼失のリスクが異なります。建物の構造は、「建物の構造(柱の種類)」および「建物の耐火性能」によって判定しています。地震保険の構造は「イ構造」と「ロ構造」の2つに分けられており、「ロ構造」より「イ構造」の建物のほうが保険料は安く設定されます。
- イ構造
- コンクリート造、コンクリートブロック造、鉄骨造、耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物などが該当します。
- ロ構造
- 木造などのイ構造以外の建築物が該当します。
建物の免震・耐震性能に応じた割引制度
地震保険では、建物の性能に応じた割引制度があります。なお、割引は重複して適用することはできません。
割引の種類 | 割引の条件 | 保険料の割引率 | |
---|---|---|---|
免震建築物割引 | 対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 | 50% | |
耐震等級割引 | 対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合 | 耐震等級3 | 50% |
耐震等級2 | 30% | ||
耐震等級1 | 10% | ||
耐震診断割引 | 対象建物が地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 | 10% | |
建築年割引 | 対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 | 10% |
保険期間・支払方法
地震保険の保険期間は最長で5年で、主契約である火災保険の保険期間に応じて2〜5年までの整数年で長期契約ができます。また、支払方法については、月払・年払・一括払を選択できます。
長期契約で一括払の際に適用されるのが以下の長期係数で、算出された1年分の保険料に係数をかけた金額が支払う保険料になります。
期間 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 |
---|---|---|---|---|
係数 | 1.9 | 2.85 | 3.75 | 4.7 |
なお、ソニー損保の新ネット火災保険で「地震上乗せ特約(全半損時のみ)」を付帯した場合、地震保険の保険期間は1年となります。
地震保険に加入して備えよう
日本は地震大国であるため、火災保険だけではなく地震保険にも加入して、万一の際に備えておくことをおすすめします。
地震保険の加入をご検討の際は、「地震上乗せ特約(全半損時のみ)」もつけられる、ソニー損保の新ネット火災保険とあわせてぜひご検討ください。