骨髄ドナーを応援するにあたり、インタビューを行いました!

骨髄移植(以下、移植)は、白血病などの血液難病を治療する方法のひとつですが、そのもとになっているのは善意による骨髄提供です。この善意による骨髄提供を安定的に仲介するために、国の主導のもとで骨髄バンク事業を主体となって運営している、公益財団法人骨髄移植推進財団広報渉外部※の川島徳子さんにお話を伺いました。

  • ※取材当時の組織名になります。

多くの方に支えられて、ドナー登録者数も年々増加しています。

─ 骨髄ドナー(以下、ドナー)登録の現状についてお聞かせください。

2011年5月末現在の登録者数は、約38.3万人です。これまでの累計では50万人を越える方にご登録いただきました。 累計登録者数よりも現在の登録者数が少ないのは、一旦登録したあとに、登録可能な上限年齢に達したために取消(※1)になってしまったり、何らかの事情により任意での登録取消(※2)が発生したりするためです。

  • 1. ドナー登録をできるのは、ドナーの安全を最優先するため、54歳までという年齢制限があります。
  • 2. 骨髄バンクでは、ドナーの意思を最大限尊重しますので、登録後に取消すことも十分可能です。

─ どのくらいのドナー登録が必要と考えていらっしゃいますか。

現在、国内だけでも毎年約2,000人の患者さんが骨髄バンクに登録されます。一方、年間に実施される骨髄移植の数は約1,200例ですから、移植希望者のおよそ6割しか移植を受けることができない状況です。全ての患者さんに移植を行うためのドナー登録数を計算することは困難ですが、まだ多くの方の協力が必要です。

ドナー登録で、移植の確率が少しでも上がってほしい。

子供がもつHLA型は4通り子供がもつHLA型は4通り

─移植が可能になるのは、ドナーと患者の白血球の型が一致した場合のみと伺っています。どのくらいの確率で一致するのでしょうか。

白血球の型のことをHLA型といいますが、これはA・B・O・ABに分類される赤血球と比べ、複雑でたくさんの種類があります。HLA型は、両親から半分ずつ受継ぐものですので、兄弟間では4分の1の確率で一致しますが、親子間ではぐんと確率が低くなります。血縁関係がない場合はさらに一致する型を見つけることが困難になります。

─ HLA型が一致するドナーが見つかっても、実際に移植を受けることができる患者は約半数であると伺いました。移植に至ることができないのはどのような事情によるものでしょうか。

ドナー側の理由で最も多いのが、健康上の理由によるものです。ドナー登録後の健康状態の変化や、ドナーの安全を最優先するために設けた、通常の健康診断よりも厳しい検査基準などにより、骨髄提供ができなくなる場合があります。
また、骨髄提供にはドナーのご家族のご協力も不可欠ですので、ご家族の同意が得られない場合も、骨髄提供をすることができなくなります。そのほかに、住所変更などによりドナー登録者と連絡が取れなくなってしまうこともあります。さらに、ドナー登録できる年代(18歳から54歳)は、ドナー本人の仕事や結婚、出産など多忙な時期と重なります。そのため、タイミングによっては、数日間の入院が困難な場合も出てきてしまいます。

ソニー損保さんのサポートは本当に心強いと思っています。

─ ソニー損保では、ガン重点型の医療保険SURE<シュア>に自動的にセットされている、「骨髄ドナーサポート特約」(※3)についてはどのように思われますか。

  • 3. 正式名称:骨髄幹細胞採取手術保障特約(傷害および疾病による入院・手術保障特約用)被保険者(保障を受けられる方)がドナーとなり、骨髄幹細胞採取手術を受けられた場合に、10万円の手術保険金と入院日額に応じた入院保険金を日帰り入院からお支払いします。
    詳しくは、骨髄ドナーサポート特約の保障内容を紹介するページをご確認ください。

骨髄提供していただくドナーはすべてボランティアであり、骨髄バンクでは、休業補償までサポートしきれていないのが現状です。そのため、ソニー損保さんのようにドナーをサポートする入院保険金を取り入れていただいたことは、骨髄バンク事業にとって非常に有意義なことであると思っています。また、(通常)3泊4日に及ぶ入院期間中の休業補償がないために骨髄提供をためらってしまうドナーもいると思いますので、そういったドナーにとっても、保険の存在は骨髄提供にむけての大きなバックアップになると思います。本当にありがたいお話しだと思っています。ありがとうございます。

ソニー損保さんのほかにも、ドナーをサポートする同様の保障を導入している保険会社さんもいくつかございますので、今後は保険業界のスタンダードとして、このような保険を導入していただけると、本当に力強いと思っています。

1件の移植を成立させるためには、多くの方の協力が必要です。もちろんドナーの意思が一番ですが、ご家族のサポートや勤務先、学校の理解も必要になります。また、提供時には病院など医療機関の協力も不可欠になります。このように、いろいろな力を必要としているわけですが、そこにソニー損保さんのサポートも加わったことになります。「ひとつひとつ(の力)はもしかするとそれほど大きくないかもしれませんが、その力がひとつに集まると、大きな力になる」と思っています。ぜひ、今後ともご協力をお願いしたいと思います。

─今回の骨髄ドナーサポート特約の新設が、より多くの方に「骨髄移植」について関心を持っていただくきっかけのひとつとなり、移植を待つ方やそのご家族など患者を支える方々の希望につながれば幸いです。

  • この記事は、日本における骨髄バンク事業について伺った内容を紹介しています。

川島 徳子(かわしま とくこ)公益財団法人骨髄移植推進財団 広報渉外部※ 広報チーム
(2010年より骨髄バンクの広報を担当) 骨髄バンクの広報サイト「donorsnet (ドナーズネット)」の運営や、骨髄ドナー登録者向けの情報誌発行、全国各地で開催されるイベントなどを通して、積極的なPR活動を展開中。
  • ※取材当時の組織名になります。

ドナーズネットについて

骨髄提供やドナー登録に関しての詳しい情報については、公益財団法人日本骨髄バンクが運営しておりますdonorsnet(ドナーズネット)をご覧ください。

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